オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶

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どうやらオレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見えるらしい。

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 口は禍の元とはよく言うが、
まさかこの言葉を心の底から実感することになるとは。


 オレの名前はクラウス=アイゼンシュタット。
魔法騎士学院の2年生。
黒い瞳と青みがかかった黒い髪。
まあ、ブサイクとはいわないが、特別整ってもいない、
そこそこ平凡なオトコノコだ。

 地方のそこそこの貴族に生まれ、
そこそこの魔法が使えるため、
魔法騎士になるのもいいな、と国立の魔法騎士学院に入学した。

 この国、
シャルフェンブルク帝国には3つの騎士団がある。
王族の警備を担当する金獅子騎士団、
王都や市街地の警備を主に担当している銀鷲騎士団、
魔獣退治を主に担当している黒竜騎士団、
この3つの騎士団。

 そして騎士団に所属するには、
魔法騎士学院を卒業し、魔法と剣の技術を習得する必要がある。

 そうそう、シャルフェンブルク帝国には貴族の階級があるが、
貴族間の血筋による上下関係はあまりない。
特に騎士団の中での上下関係は、力が全てだ。強い者が統べる。そういう世界。

 オレも入学当初は
「絶対一番になってやる!そして騎士団でもトップの団長を目指す!」
なんて意気込んでいたけど、
魔法騎士学院生活も2年目ともなると、
うまいこと学院生活をこなす悪知恵もずいぶんとついてきてしまった。
このまま、平凡に、平和に、つつがなく、学院生活を送りたい。

とはいえ、今のところ仲の良いクラスメイトにも恵まれ、楽しい学院生活を送っている。
特に親友のルーカスと過ごすのはとても楽しい。

 楽しい、んだけど・・・

 正直、オレはルーカスのことを親友であると同時に、好きだと思っているっぽい。
いわゆる、淡い恋心をいだいている、というやつだ。

 そしてオレには長所であり、短所である(認めたくないが。)ところがある。

それは、
「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」
である。

 もちろん人を傷つけるようなことは言わない。
けど、
そうじゃなければ、
自分の思いを心に仕舞っておく、なんてことはできなくて、
なんでも口に出して言ってしまうのだ。

 だからルーカスにも、
「ルーカスが大好きだー!もっと仲良くなりたーい!」
ってじゃれつきながら、毎日のようにいつも言っているんだけど、
ルーカスに、
「おう!オレもクラウスのことが大好きだぜ!
もっと仲良くなりたいってなんだよ、今でも十分仲いいじゃん。
じゃあ一緒に居残り特訓でもする?」
って言われて、

オレの気持ちは1ミリも伝わっている気がしないんだ。
しかもルーカスは魔法バカで、自分の魔法が強くなることしか考えてないんだ!
もっと青春楽しもうぜ!!!この魔法バカ!!!

 そんなオレだけど、
さすがにこれは他人に言ってはまずいかなぁって思って
誰にも言っていない、秘密がある。

 それは、
この学院に入学してから気づいたことなんだけど、
この学院内のある特定の人物の個人情報が見えてしまうのだ。

その人物の姿を見ると、
その人物の前に半透明の四角い板みたいなのが出現して、

そこには、
名前やら、得意魔法やら、その人の性格やらが書いてあるのだ。

例えばクラスメイトのジークハルトとか。

そんな魔法?は聞いたことがない。
なので、なんとなく、他人には言わない方がいいよなぁ、とオレだけの秘密にしている。

ちなみにその板の上部には
『ステータス画面』
って書いてある。

ステータスがめん、ってなんなんだ?


 そんなある日、
学院内を1人で歩いているとき、
『ステータス画面』が出ている人物の一人を見かけた。

5年生のヴァルター先輩。

肩まで切り揃えられたまっすぐな水色の髪がキラキラと光って目立つ。
瞳の色も髪の毛と同じ、水色だ。

5年生で『ステータス画面』が出ている人物は3人いる。
残りの二人はアルベルト先輩と、レグルス先輩。
この3人はこの学院内では強さで無双していると有名人だ。
あと、とてもモテる。

 今日もヴァルター先輩は取り巻きの女の子や男の子に取り囲まれていた。

「ねー、ヴァルター、今度一緒に遊びに行こうよ!」
「いいね、行こう行こう」
「あの、ヴァルターさん、この前褒めてくれた髪型ちょっと変えてみたの。
今度はどうかな?」
「うん、前回の髪型もよかったけど、今回の髪型はもっとかわいい。」
「ヴァルター先輩、ここの勉強がわからないんですけど、教えてもらってもいいですか?」
「ちょっと、あんた、そんなことにヴァルターの手をわずらわせないでよ!」
「待って待って、そんなことでケンカしないで。どこがわからないのかな?
俺で教えられることなら協力するよ」

そんな会話が繰り広げられていた。

でもオレは不思議に思った。

なぜならそのステータス画面とやらには
『性格:人間嫌い』
と書かれているのだ。

そして
『息を吐くようにウソをつく』
とも書かれていた。

まさか、この会話、全部ウソってこと!?
この先輩、すごすぎないか。

そしてオレはうっかり、

「この先輩、人間嫌いとは思えないな」

と口に出してしまった。

 するとヴァルター先輩がオレのほうを見た。

え、なんで聞こえるの!?
うっかり口に出してしまったとはいえ、音量小さめの独り言だぞ!?

あ、そういえば、
ステータス画面とやらに
『得意魔法:水魔法。特に索敵能力が高い』
って書いてあったわ・・・。

って、オレは敵扱いってことかよ。ヤバい!

そんなことを思いながらうろたえている間に、
ヴァルター先輩は取り巻きの子達を置いて、
オレのほうに1人歩いてきた。

そしてオレを見てニッコリ笑った。

あれ?さっきの独り言が聞こえたと思ったのは勘違いだったのかな?

そんなオレの気持ちを絶望に落とすかのように、
ヴァルター先輩はオレの耳元に顔を近づけて、

「君はなんでそのことを知っているの?」

と低い声でささやいたのだった。






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ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、
同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、

「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」

とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑)

特に、

「乙女ゲームの難関攻略対象~」

は、主人公の親友として登場しましたルーカスくんと同級生のジークハルトくんの、
この作品から数年後の騎士団生活でのお話になっております。

そしてルーカスくんは
「前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生したんだけど、
ゲームの内容をあんまり覚えていないんだよねー。」
という子であります。

「乙女ゲームの難関攻略対象~」内でルーカスくんは
「ゲームがいつ始まったのかもわからない」と言っておりますが、
実はとっくに、しかも親友が主人公で始まって終わっていた、という・・・

いや、まだ第一話なのでこれからゲームが始まるのですが・・・

この作品にでてくる子たちは乙女ゲーなんて知らないし、
唯一教えてくれそうな転生者も前世でのゲームの記憶があいまいなせいで
読者だけが「いや、これ、乙女ゲーだから!」とツッコめる作品となっております。

そんな楽しみ方もできますので、
ぜひそちらの作品も読んでいただけたらうれしいです!

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