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帝国の危機への準備。
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オレが帝国の危機を救うための神子になることを了承し、
ヴァルター先輩もパートナーとして一緒に戦ってくれることになって。
オレとヴァルター先輩は新たな予言が現れるのを待ちつつ、戦闘の鍛錬を積んでいた。
魔獣の長と戦うんだから、現在この世界に存在する魔獣のどの個体よりも強いのに違いない。
しかも戦闘データもない。
苦しい戦いになるのは明白だった。
この日はいつもの鍛練場にレグルス先輩が来ていた。
「今日はアルベルトとレグルスにも鍛練に協力してもらおうと思ってたんだが、
レグルス、アルベルトはどうした!?」
「ああ、
アルベルトは魔獣の森でジークハルトに負けそうってなったショックからまだ立ち直れてないからね、
今日もまっすぐ家に帰って自室に引きこもってるか自主練してるんじゃないかな」
「なんだそれは・・・
兄の威厳というのはメンドクサイものだな」
ヴァルター先輩がやれやれといった表情でレグルス先輩に言うと、
「うちはそんなことないよ。
ラルフが強くなろうが、そうでなかろうが、
俺の大事な弟だ」
レグルス先輩はなんてことないように言う。
「そういえば、この帝国の危機のことはお前の弟には伝えないのか?
毎日鍛練場で特訓をしているんだろう?
・・・殿下と一緒に。
俺たちと同じ攻略対象だし、参加する資格はあると思うが」
とヴァルター先輩が言うと、
「うん、言わなくていいんじゃないかな。
全員が力を合わせて、という予言があるわけではないし、
彼らには彼らの役割があるんだと思う。
ジークハルトもアルベルトからひどい扱いされてショックを受けていると思うし、
さらに負担を増やすのはかわいそうだからね。
なんとか俺たちだけでやってみようか」
「そうだな、
クラウスがアルベルトの特訓なんか受けたら命の危険があるし、
他のヤツらも、不用意にクラウスと接触しなくていい。
俺達だけでなんとかしよう」
「ヴァルター、それって結局ただの独占欲じゃ・・・」
レグルス先輩がくすっと笑うと、
「うるさい。それの何が悪い」
とヴァルター先輩は開き直ったのだった。
レグルス先輩の特訓はヴァルター先輩以上にわかりやすく、
厳しいけれど身になっていくのがとても実感できた。
レグルス先輩のゲーゲンバウアー家は魔法が得意な家系ということもあって、
すごい魔法を使えるんだけど、
こんな平凡なオレでも使えるように、わかりやすくて使い勝手のいい魔法を教えてくれた。
「とにかく、クラウス君は自分の身を守ることを考えようね。
魔獣への致命傷を与えるような攻撃は聖獣やヴァルターに任せたほうがいいと思う。
万が一、君が負傷したり、命を落としたりするようなことがあったら
すべてが終わるからね。
・・・そんなことになったらヴァルターが魔王化しちゃう」
真面目そうなレグルス先輩もそんな冗談言うんだ。
と思ったけど、二人の様子をみているとあながち冗談でもないのかも。
「はい、なんとしてでも自分の身は自分で守ります!」
「はは、その意気だ。」
笑うレグルス先輩の前に表示されている『ステータス画面』を見て、
オレは気付いた。
「あれ?下のハートがまた増えてる。2コになりました。」
「へぇ。このハートの数は変化していくんだね。」
「そうみたいですねぇ。ん?この×みたいなのはなんだろう?」
オレは『ステータス画面』の右下に×があるのに気づいた。
「このへんに見えているんですよ・・・て先輩たちには見えないですよね」
とオレが指を指したときにそれに触れてしまった。
そして『ステータス画面』が消えた。
「あれ!?『ステータス画面』が消えた!
今までこんなことなかったのに!」
オレは予想外のことが起きて、あわあわしてしまった。
「落ち着け。落ち着いて今の状況を把握しろ」
とヴァルター先輩がオレの肩に手を乗せた。
オレは深呼吸してから、周りを見回した。
するといつもオレの左上に見えている本が光っているのに気付いた。
オレは本に触れていつもの長方形を出してみたら、
『ミッション』と書かれているところには変化がなかったが、
レグルス先輩の『ステータス画面』が追加されていた。
「ん?どういうこと?」
レグルス先輩がオレに聞いてきた。
「よくわかんないんですけど、
『ステータス画面』の×のところを触ると、
先輩の前にあるやつが消えて、予言の本のところに移動するっぽいですね」
「そうなのか、
俺のもやってみたらどうだ?」
とヴァルター先輩が言ってきた。
他の部分は触ることができずに手がすり抜けてしまうのに、
×の場所に触ってみたら、やはり『ステータス画面』は消えた。
そしてヴァルター先輩の『ステータス画面』も、本のほうに追加されていた。
「へぇ、これ、消せるんだ。
正直ちょっとジャマだなって思う時もあったから、
これは助かる」
「結局何なのかはよくわからないけどな、消えてよかったな」
とヴァルター先輩がオレの頭をぽんぽんしながら言った。
「ねえ、さっき慌てているクラウス君を見て思い出したんだけど、
クラウス君、小さい頃に王都で迷子になったことがあるんじゃない?
昔、こんな感じの迷子の子を助けたことがあった気がするんだよ」
とレグルス先輩が言い出した。
「え!あれ、レグルス先輩だったんですか!?
そうです、オレです!!
あのときは大変お世話になりました」
オレは深々と頭を下げる。
こんなところでオレの恩人に会えるとは。
すると超絶不機嫌な顔をしたヴァルター先輩が口をはさむ。
「それは前にクラウスが言っていた、雷の話のヤツか!?」
「そうです、あのときのお兄さんです」
とオレがヴァルター先輩に言うと、
急に先輩はオレを抱き寄せ、レグルス先輩をにらんだ。
「実は二人は幼い頃に出会っていて、その思い出から恋心が発展した、
なんて展開は俺は認めないからな!
何で俺じゃないんだ・・・俺も困っている幼いクラウスを助けたかった・・・」
レグルス先輩に威嚇するヴァルター先輩を見て、レグルス先輩は苦笑いをした。
「待ってヴァルター、思考が飛躍しすぎだよ。
あのときは困っている子がいたから助けただけだし、
そんなことはよくあることだし。
ヴァルターとクラウスがお互い想いあっていることは十分にわかってるよ。
・・・それに俺にも心に決めた人がいることはヴァルターも知っているよね!?」
レグルス先輩の言葉を聞いて、ヴァルター先輩は落ち着きを取り戻したようだった。
「レグルス、悪い。取り乱した。
どうもクラウスのことになると駄目なんだ」
ヴァルター先輩がしょんぼりし始めた。
くぅ、かわいいなぁ。
「ほんと、クラウス君、愛されてるよねー。そろそろお邪魔な俺はおいとましようかな」
と、レグルス先輩はさっさと帰っていってしまった。
ヴァルター先輩もパートナーとして一緒に戦ってくれることになって。
オレとヴァルター先輩は新たな予言が現れるのを待ちつつ、戦闘の鍛錬を積んでいた。
魔獣の長と戦うんだから、現在この世界に存在する魔獣のどの個体よりも強いのに違いない。
しかも戦闘データもない。
苦しい戦いになるのは明白だった。
この日はいつもの鍛練場にレグルス先輩が来ていた。
「今日はアルベルトとレグルスにも鍛練に協力してもらおうと思ってたんだが、
レグルス、アルベルトはどうした!?」
「ああ、
アルベルトは魔獣の森でジークハルトに負けそうってなったショックからまだ立ち直れてないからね、
今日もまっすぐ家に帰って自室に引きこもってるか自主練してるんじゃないかな」
「なんだそれは・・・
兄の威厳というのはメンドクサイものだな」
ヴァルター先輩がやれやれといった表情でレグルス先輩に言うと、
「うちはそんなことないよ。
ラルフが強くなろうが、そうでなかろうが、
俺の大事な弟だ」
レグルス先輩はなんてことないように言う。
「そういえば、この帝国の危機のことはお前の弟には伝えないのか?
毎日鍛練場で特訓をしているんだろう?
・・・殿下と一緒に。
俺たちと同じ攻略対象だし、参加する資格はあると思うが」
とヴァルター先輩が言うと、
「うん、言わなくていいんじゃないかな。
全員が力を合わせて、という予言があるわけではないし、
彼らには彼らの役割があるんだと思う。
ジークハルトもアルベルトからひどい扱いされてショックを受けていると思うし、
さらに負担を増やすのはかわいそうだからね。
なんとか俺たちだけでやってみようか」
「そうだな、
クラウスがアルベルトの特訓なんか受けたら命の危険があるし、
他のヤツらも、不用意にクラウスと接触しなくていい。
俺達だけでなんとかしよう」
「ヴァルター、それって結局ただの独占欲じゃ・・・」
レグルス先輩がくすっと笑うと、
「うるさい。それの何が悪い」
とヴァルター先輩は開き直ったのだった。
レグルス先輩の特訓はヴァルター先輩以上にわかりやすく、
厳しいけれど身になっていくのがとても実感できた。
レグルス先輩のゲーゲンバウアー家は魔法が得意な家系ということもあって、
すごい魔法を使えるんだけど、
こんな平凡なオレでも使えるように、わかりやすくて使い勝手のいい魔法を教えてくれた。
「とにかく、クラウス君は自分の身を守ることを考えようね。
魔獣への致命傷を与えるような攻撃は聖獣やヴァルターに任せたほうがいいと思う。
万が一、君が負傷したり、命を落としたりするようなことがあったら
すべてが終わるからね。
・・・そんなことになったらヴァルターが魔王化しちゃう」
真面目そうなレグルス先輩もそんな冗談言うんだ。
と思ったけど、二人の様子をみているとあながち冗談でもないのかも。
「はい、なんとしてでも自分の身は自分で守ります!」
「はは、その意気だ。」
笑うレグルス先輩の前に表示されている『ステータス画面』を見て、
オレは気付いた。
「あれ?下のハートがまた増えてる。2コになりました。」
「へぇ。このハートの数は変化していくんだね。」
「そうみたいですねぇ。ん?この×みたいなのはなんだろう?」
オレは『ステータス画面』の右下に×があるのに気づいた。
「このへんに見えているんですよ・・・て先輩たちには見えないですよね」
とオレが指を指したときにそれに触れてしまった。
そして『ステータス画面』が消えた。
「あれ!?『ステータス画面』が消えた!
今までこんなことなかったのに!」
オレは予想外のことが起きて、あわあわしてしまった。
「落ち着け。落ち着いて今の状況を把握しろ」
とヴァルター先輩がオレの肩に手を乗せた。
オレは深呼吸してから、周りを見回した。
するといつもオレの左上に見えている本が光っているのに気付いた。
オレは本に触れていつもの長方形を出してみたら、
『ミッション』と書かれているところには変化がなかったが、
レグルス先輩の『ステータス画面』が追加されていた。
「ん?どういうこと?」
レグルス先輩がオレに聞いてきた。
「よくわかんないんですけど、
『ステータス画面』の×のところを触ると、
先輩の前にあるやつが消えて、予言の本のところに移動するっぽいですね」
「そうなのか、
俺のもやってみたらどうだ?」
とヴァルター先輩が言ってきた。
他の部分は触ることができずに手がすり抜けてしまうのに、
×の場所に触ってみたら、やはり『ステータス画面』は消えた。
そしてヴァルター先輩の『ステータス画面』も、本のほうに追加されていた。
「へぇ、これ、消せるんだ。
正直ちょっとジャマだなって思う時もあったから、
これは助かる」
「結局何なのかはよくわからないけどな、消えてよかったな」
とヴァルター先輩がオレの頭をぽんぽんしながら言った。
「ねえ、さっき慌てているクラウス君を見て思い出したんだけど、
クラウス君、小さい頃に王都で迷子になったことがあるんじゃない?
昔、こんな感じの迷子の子を助けたことがあった気がするんだよ」
とレグルス先輩が言い出した。
「え!あれ、レグルス先輩だったんですか!?
そうです、オレです!!
あのときは大変お世話になりました」
オレは深々と頭を下げる。
こんなところでオレの恩人に会えるとは。
すると超絶不機嫌な顔をしたヴァルター先輩が口をはさむ。
「それは前にクラウスが言っていた、雷の話のヤツか!?」
「そうです、あのときのお兄さんです」
とオレがヴァルター先輩に言うと、
急に先輩はオレを抱き寄せ、レグルス先輩をにらんだ。
「実は二人は幼い頃に出会っていて、その思い出から恋心が発展した、
なんて展開は俺は認めないからな!
何で俺じゃないんだ・・・俺も困っている幼いクラウスを助けたかった・・・」
レグルス先輩に威嚇するヴァルター先輩を見て、レグルス先輩は苦笑いをした。
「待ってヴァルター、思考が飛躍しすぎだよ。
あのときは困っている子がいたから助けただけだし、
そんなことはよくあることだし。
ヴァルターとクラウスがお互い想いあっていることは十分にわかってるよ。
・・・それに俺にも心に決めた人がいることはヴァルターも知っているよね!?」
レグルス先輩の言葉を聞いて、ヴァルター先輩は落ち着きを取り戻したようだった。
「レグルス、悪い。取り乱した。
どうもクラウスのことになると駄目なんだ」
ヴァルター先輩がしょんぼりし始めた。
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「ほんと、クラウス君、愛されてるよねー。そろそろお邪魔な俺はおいとましようかな」
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