オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶

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第一の試練。

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 オレに新たな予言が現れた後、
放課後のガゼボでヴァルター先輩、そしてレグルス先輩とアルベルト先輩と落ち合った。
 先輩はお父上を通じて王宮と調整してくれたようだ。

 レグルス先輩が、

「俺たちはここから応援することしかできないけど、
君たちならやり遂げてくれると信じてるよ」

と声をかけてくれた。

 どうやら引きこもり?から脱出したらしいアルベルト先輩も、

「今まで私たちが準備のフォローをしてきたんだ、大丈夫」

と言ってくれた。

 この二人の先輩がそこまで言ってくれるし、ヴァルター先輩が一緒ならきっと大丈夫。


 そしてとうとう王宮地下の神殿に行く日がやってきた。
 いつもの制服ではなく、
戦闘になっても身軽に動けるような衣装と装備を先輩が用意してくれた。
厳密には王宮側が準備してくれたらしい。
 一応、これでも伝説の神子みこらしいんで。

 ヴァルター先輩が、

「緊張しているか?」

と聞いてきたけど、

 そりゃあ緊張しますって!

 そんなオレの様子を目の当たりにした先輩は、

「テンパっている人を見ると自分は落ち着く、って本当なんだな」

と遠くを見ながらしみじとした表情で言った。
 
「テンパっててスミマセンね!
でも今日もかっこいいですね!!!
いつもと装いが違って、一段とステキですね、先輩!!!!」

とオレが言うと、
先輩はぷっと吹きだした。
 そして、

「クラウスもとてもステキだよ。どんな格好でもクラウスはステキだけどね」

と目を細めて言った。


 王宮地下への神殿への入口までは、
先輩のお父上が案内してくれた。
 お父上が、
「自分の役割をしっかりと果せ。
お前が無事に戻ってくると信じている」
と先輩に言った。
 オレはその会話を聞いてチクっと胸が痛んだ。
 
 オレが先輩を巻き込んでしまった。

 そんなオレの曇った顔を見て、先輩は背中に手を当てて、
「俺達ならきっと大丈夫、二人で無事に戻ろう」
と言ってくれた。

 そしてその後は先輩と二人で長い石の階段を下りていく。
地下なのでもちろん窓もなにもないが、魔導具でほんのり明るく照らされていた。

 大きな扉の前に立つ。

「これは・・・どうやったら開くんだ?」

と先輩が言った。

「うーん・・・予言にはそこまで書いていないんですよねぇ。
あ、この取っ手みたいなところを押せば開くのかな?」

と先輩と二人で押してみたところ、開いた。

「あ、これで開くんだ。重そうな扉なのに」

 ちょっと拍子抜けだ。
 
 中はとても広い空間が広がっていた。
 
「おおー広い。」

そう言いながら歩いて行くと、 
中央に大きな黒っぽい魔獣みたいなものがいた。

 そしてその魔獣みたいなものは
首を持ち上げたかと思うと、なんとオレ達に話しかけてきたのだ。

「よく来たな、神子とそのパートナーよ。
このときを待っていた」

「えっと、どなたですか?」

オレがそう言うと、
(この言葉がこの場にふさわしいかは自分でも疑問に思っている)

「私はこの国の聖獣である、黒竜だ」

 よく見ると、硬そうな鱗に大きな翼、長いしっぽ、胴体についている短めの手足、
そしてヘビを大きくしたような顔。
 そしてすべてが黒い。
 瞳だけが金色に光っている。
 ああ、なるほど、確かに聖獣のうちの1体である、黒竜様だ。

「君たちがここに来たということは、
君たちが何をしなければなならいか、
わかっていると思うのだが、

私たちを従えるには試練を受けてもらわねばならない
まずは私の試練だ」

「試練?」

 ふと先輩のほうを見ると、先輩もややこわばった顔で黒竜様の話を聞いていた。

「それはやはり戦闘力!
お前たちの戦闘力を試したい!
私と一戦交えてもらうぞ!」

とひときわ大きな声で言って黒竜様は身を起こし、
しっぽを薙ぎ払ってオレたちに攻撃をしかけてきた。

「うわぁ!」

 オレは思わず後ずさった。
そして先輩がオレの前にさっと立った。

「クラウス、落ち着いて。いつもの鍛錬を思い出して」

 先輩の声に少し落ち着きを取り戻す。
気付いたら先輩はすでに抜刀していた。
オレもあわてて剣を抜いた。

「王宮に残っていた文献によると、
黒竜は炎の攻撃がメインのはず。
俺たちの得意な水魔法はやや分が悪いが、
そこをなんとかするのが俺の役目だ」

 先輩、頼もしすぎる。

「クラウス、
一面に水滴の幕を張ってくれ」

と先輩が言うので、

 出来る限り広範囲に水滴の幕を張る。

 でもただの水滴だ。防御力などない。

「先輩、ほんとにこんなんで大丈夫なんですか?」

「大丈夫かどうかはわからないが、
とりあえずこれでいい」

と先輩が答えたとき、

 黒竜様がオレたちのほうに高温の火を吐いてきた。

 と、そのとき。

 オレが作った水滴が一気に蒸発して爆発音が起きた。
そしてあたりは発生した水蒸気で白く曇り、周囲が見えなくなった。

 オレが黒竜からの攻撃の第二波に備えて剣を構えるものの、
炎だったら剣ではどうしようもないし、
どうしたら・・・
と逡巡していると。

「いいだろう。まいった」

という黒竜様の声が聞こえてきた。

 そして水蒸気が消えてきて、視界が開けてきた。
 
 オレが目を凝らして黒竜のほうを見上げると。 

 先輩が黒竜様の頭の上にいて、剣を黒竜様の瞳に突き付けていた。

「え、先輩、いつのまにそんなところに!?」

すると先輩は軽やかな足取りで黒竜の背中まで降りると、そこから地面に飛び降りた。

「黒竜様の炎と水滴がぶつかれば、
水蒸気爆発が起きて黒竜をひるませることができるかなと思ったんだ」

「おお、さすが先輩。
しかも先輩ってあんなに俊敏な動きができるんですね。
知らなかったです」

「俺の家業は王族の影の騎士だと言っただろう。
隠密、潜入、隠蔽、そんなこともやるからな、
あれくらいできて当然だ。

しかも黒竜様を傷つけるわけにはいかないからな、
傷つけずに試練とやらに合格させてもらうには
この戦い方が一番いいかと思ったんだ」

 先輩、頼りになりすぎる。
 
 黒竜様が口を開いた。

「パートナーの力量のほうがいささか大きすぎるような気もするが、
いいコンビネーションだった。

その扉から次の聖獣のもとへ行け。

そして次の試練を受けろ」

 どうやら第一関門は無事に突破で来たらしい。





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魔法については、
ファンタジーということで、
ご都合主義ということで、
あまり深く考えないでください。
考察、ダメ、絶対(笑)

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