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はじめまして

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ご機嫌よう。メランコーリッシュです。今日は、亜人族の治める大国のひとつ、アトランティデから皇帝陛下がいらっしゃるそうです。一体こんな小国に何の用でしょうか?しかも、何故か私も謁見の席に呼ばれています。緊張します。父や王妃様、兄弟達と会うのはほぼ初めてです。嫌われないといいのですが…。

「王女殿下、ご準備は済みましたか?」

侍女長も何故か今日は私を王女として扱います。一体どうしたのでしょう。

「あ、はい。大丈夫です」

「では、王宮へ参りましょう」

侍女長に連れられて王宮に行きます。

ー…

王宮なんて初めて来た…。こんなに煌びやかなところなんだ…!気後れしてしまいつつもそれを表に出さないように努める。何があったかわからないけれど、やっと家族に認められるかもしれないのだから、頑張ろう!

「こちらです」

侍女長に案内されたのは大きなお部屋。入ると父と王妃様と腹違いの兄弟達が玉座に座っています。

「あ、…えっと。ご、ご機嫌よう」

一瞬初めて会う家族に、呆けてしまったけれどきちんと挨拶をする。

「…」

けれど家族からの返事はない。代わりに、目線で玉座に座るよう諭される。

「…」

緊張しつつも、一番下の兄の隣に座る。家族からの視線は冷たい。…と、アトランティデの皇帝陛下がいらっしゃいました。

「メランコーリッシュ王女殿下においてはお初にお目にかかる。俺はディニタ・ドラーゴ・アトランティデ。今日は、俺の運命の番であり、パラディースの姫君であるメランコーリッシュ王女殿下にお会いしに来た」

「…え?」

私が、アトランティデの皇帝陛下の運命の番?何かの間違い…?

「メランコーリッシュ王女殿下。俺の運命の番…。愛おしいな」

にこにこ笑顔の皇帝陛下。本当に私が、この烏の濡れ羽色の髪を項で結い、黒真珠の瞳を爛々と輝かせた、綺麗過ぎて怖いくらいの方の運命の番なの?

「ご機嫌麗しゅう、皇帝陛下。この度は我が愚娘を引き取ってくださるそうですが、間違いありませんかな?」

「…!?」

え!?私いきなり嫁ぐの!?さすがに心の準備が出来てない!

「ああ。どうやら我が運命の番はこの国ではまともな扱いすら受けていないようだからな」

「え」

「なに?」

「このまま連れて帰って、婚約させていただく。ああ、もちろん先日決めた支援金の話はきちんと履行する。それで問題ないだろう?」

…あ。そっか。そうなんだ。そういうことか。私はお金で売られるのか。…。

でも、皇帝陛下の私への蕩けるような笑顔に偽りはなさそう…な、気がする。いっそ、誰からも愛されないこの国を捨てて皇帝陛下の元へ行く方が幸せかも…。

「ふむ。…娘をよろしく頼む」

「もちろんだ。我がアトランティデの未来の皇后だからな。さあ、行こうか。メランコーリッシュ王女殿下」

「…は、はい!皇帝陛下!」

こうして私は皇帝陛下と共にアトランティデへ向かうのでした。
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