王女なのに虐げられて育った私が、隣国の俺様皇帝の番ですか?-または龍神皇帝の溺愛日記-

下菊みこと

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メランコーリッシュ、秋から冬への移ろいを感じる

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今日はニタとシエルと中庭を散歩しています。季節は移り変わり、すっかり肌寒くなってきました。この分ならもうすぐ、人生初めての『雪』を楽しめるかもしれません。楽しみです。

「ニタ、アトランティデに雪は降りますか?」

「ああ、降るぞ。シュシュは雪は初めてか?」

「はい。塔にいたので」

「そうか…寒いが、とても綺麗だぞ。楽しみにしているといい」

「はい!」

「わんっ!わんっ!」

シエルが尻尾を振って私の足に顔を擦り付けてきます。今日もご機嫌ですね。

「ふふ。シエルにとっても初めての雪だよね。楽しみだね、シエル」

「わんっ!」

シエルは雪を見たらどんな反応をするでしょうか?楽しみです。

「シュシュ、今ならちょうど水仙が咲いているか ら、あっちの方まで散歩して帰ろう。可愛らしい花を咲かせているはずだ」

「本当ですか?是非見たいです!」

「わんっ!わんっ!」

ニタと水仙を見に行きます。今まではこのエリアには足を運んでいなかったので、なんだか新鮮です。

「ほら、シュシュ。水仙だ。気に入ってくれるか?」

「わあ…とっても可愛らしい花ですね。好きになりました!」

「それなら良かった。シュシュは花が好きだな」

「はい。健やかに育った花はとても可愛らしくて、美しくて…憧れます」

私がそういうと、ニタは私の頭を撫でます。

「ニタ?」

「そんな風に思えるシュシュは、充分に可愛らしいし美しいよ。俺はそんなシュシュが好きだ」

「…ニタ」

そっと触れるだけのキスをしてくれるニタ。なんだかすごく幸せな気分です。

「わんっ!」

シエルがヤキモチを妬いたのか、私とニタの足元をぐるぐると回ります。そんなシエルを恨めしそうに見つめるニタがなんだか可愛いです。

「シエル、シエルも大好きだよ」

私はシエルを思い切り抱きしめます。シエルは嬉しそうに尻尾を振っています。

「せっかく良い雰囲気だったのに。シエル、恨むぞ」

「わんっ!」

お好きにどうぞと言わんばかりのシエルにニタはわしわしと頭を撫でます。

「ふふ。シエルとニタはすっかり仲良しさんですね」

「まあな」

「わん」

シエルとニタが打ち解けてくれて本当に嬉しいです。
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