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シュシュとハロウィンを楽しむ

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すっかり秋も深まって、ハロウィンの季節になった。シュシュにとっては初めてのハロウィンとのことで、使用人たちに気合を入れてシュシュを仮装させてやって欲しいと頼んだ。使用人たちも張り切ってくれているようだ。シュシュがなんの仮装をするのか、楽しみだ。ちなみに俺はヴァンパイアの格好である。シュシュは褒めてくれるだろうか?

「シュシュ、入るぞ」

「はい、どうぞ」

シュシュの部屋に入る。

「…」

「あ、あの、ニタ…どうでしょうか?似合いますか?その、黒猫の仮装なんですが…」

そこには天使がいた。いや、仮装自体は黒猫なんだろうが、天使だ。

「…似合ってる。可愛い」

「ほ、本当ですか?よかったぁ」

ふわっと微笑むシュシュが可愛い。こんなに可愛い黒猫はシュシュくらいのものだろう。自慢して周りたい。でも独り占めしたい。

「ニタはヴァンパイアですか?とっても格好いいです!」

手放しで俺の仮装を褒めてくれるシュシュ。仮装した甲斐があったな。

「シュシュ、ありがとう。そう言ってもらえて嬉しい」

「ふふ、はい。えっと…ニタ。trick or treatです!」

シュシュに用意していたチョコレート菓子を渡す。

「どうぞ、可愛らしい黒猫さん」

「わあ…なんだか実際に貰えると楽しいですね!お菓子、ありがとうございます!」

「そうだな。さあ、シュシュ。trick or treat」

シュシュはおもむろにお菓子を取り出して差し出してくれる。

「あの…実はこれ、手作りなんです。お口に合えばいいのですが…」

「シュシュの手作りか!?大事に食べる。ありがとう、シュシュ」

「ふふ、はい」

「わんっ」

シュシュといちゃいちゃしていると、シエルもシュシュの足元に来た。頭には魔法使いっぽい帽子。

「シエルは魔法使いか。似合うな」

「わん」

「ふふ。可愛らしいですよね。シエル、褒めてもらえてよかったね」

「わんっ」

シエルにはおやつ用のドッグフードを持ってきた。シエルに渡す。

「シエル、おやつだ。気に入ってくれるか?」

「わんっ!わんっ!」

嬉しそうに口にくわえてちらりとシュシュを見るシエル。

「食べていいよ」

シュシュから了承を得ると食べ始めるシエル。本当に賢いフェンリルになったな。

「シエルは美味しそうに食べるね。ニタ、シエルのためにありがとうございます」

「ああ。喜んでもらえたようでよかった」

シエルの背を撫でるシュシュと尻尾を振るシエル。

「じゃあ、今日はこのままお茶会にしようか」

「はい、ニタ」

その後もシュシュとシエルとハロウィンを満喫した。来年もその先も、こうして一緒に楽しみたいと思う。
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