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妖精の愛し子

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リスとラヴァンド、ロゼッタとソールは妖精について調べに王都の中央図書館にやって来た。

「わあ、本ばっかり」

「妖精の愛し子について調べるんだったな」

「うん。よろしくね、ラヴァンド」

「僕に任せておけ」

「ロゼッタ、俺たちもそれ関連の本を探してこよう」

「はい、ソール様!」

そうして司書の手も借りつつ妖精の愛し子関連の本を片っ端から集めて、読み始める四人。

四人で協力して得られた情報は以下の通りだ。

・妖精の愛し子には、特殊な聖女の力を持つ人間が選ばれる。

・その特殊な聖女の力とは、寿命を迎えて消え行く妖精達に力を分け与え、寿命を延ばす力と、妖精達の側にいるだけで妖精達が多幸感を得る力である。

・そのため妖精達にとっては喉から手が出るくらい欲しい存在である。

・しかしその力を発現するためには、身近で大切な人間の死、そしてその絶望が必要である。

・また、妖精の愛し子を妖精國に連れて行くには妖精の愛し子本人の同意が必要である。

・そのため、妖精達は妖精の愛し子を見つけると「もし大きくなっても独りぼっちなら妖精國においで」と甘言で誘惑し、約束という名の契約を結ぶ。そして、周りの人間の精神に干渉して妖精の愛し子を孤立させる。ただし干渉できるのは最初だけ。

・しかし数人だけ、妖精の愛し子の周りにいるお人好しな人間には干渉しない。

・そして妖精の愛し子と仲良くなったところで、そのお人好し達の中で一番殺しやすい人間を殺す。

・ただ、妖精達は自分達が殺したと妖精の愛し子に知られたくないため、妖精が見える人間の暗殺者を雇って殺すのが常らしい。

・そして、絶望した妖精の愛し子を妖精國に連れ去る。

「ほう。つまりはリスとロゼッタを守り続ける必要があると」

「これは面倒だな…」

「あー…なんかごめんね?」

「どうにか契約を取り消す手段はないのでしょうか?」

「どうなんだろう…まあでも、うん。とりあえず知りたいことはわかったかな」

「心配しなくてもリスには僕がいるし、ロゼッタにはソールがいる。なんとかなるさ」

「そうだね!じゃあ、お屋敷に帰ろうか!」

「中央図書館に篭り続ける理由も無くなったしな。早く帰ろう」

「みんな今日はありがとう!助かったよ!」

「ふふ。皆様お疲れでしょうから、帰ったらハーブティーなどいかがでしょうか?」

「いいね!さすがロゼッタ、気が効くねぇ」

「ありがとうございます、お姉様」

「まあ帰るまでが遠足というやつだ。帰ってからのこともいいが、今は気を引き締めてな」

「暗殺者が来ても俺たちが守るが、用心するに越したことはないからな」

「はーい」

「わかりました!」

こうしてリスとラヴァンド、ロゼッタとソールは王都を後にした。
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