女公爵は軽薄に笑う

下菊みこと

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女公爵は題材に抜擢される

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木彫りの彫刻コンテストにエントリーしたリュカ。さて、何を題材に彫刻を作り上げるかが重要である。

「テーマは決まったの?リュカ」

「ええ、ご主人様」

「まあ、早い。何を作るの?」

「エルドラドの邪竜です」

ごほっ、ごほっと噎せるアンジェリク。ふふふとリュカは楽しそうにしている。

「ちょっと…本気?」

「ええ。ですから、ご主人様。ちょっとだけご協力していただけませんか?」

「…貴方ねぇ」

「お願いします、ご主人様」

「…もう!貴方じゃなきゃ見せないからね!我らがお姫様の為なんだからね!」

「はい、ご主人様」

瞬間、広々とした中庭が一気に手狭になる。混沌が渦巻き、邪竜が姿を現した。それは悍ましくも神々しく、闇が具現化したような姿をしていた。宙を舞う漆黒。エルドラドの邪竜だ。

「流石ご主人様。お美しい…」

「天使の貴方に言われたって嫌味にしか聞こえないわよ。それより早く写真に撮って」

「はい。十、九、八、七…」

「なんだなんだ?」

「エルドラドの邪竜だわ!本当に存在したなんて!」

「中庭にはお嬢様がいたはずだろう、大丈夫なのか!?」

「エルドラドの邪竜だもの、主人に手を出すはずないわ」

「わー、でかー…」

「三、二、一…はい、写真に収められましたよ」

「ふん。…流石にここで元に戻ると使用人達が面倒だから、ちょっと空のお散歩してくるわ」

「どのくらいでお戻りになられますか?」

「今は名ばかりの金鉱がある方に向かうわ。そこから辻馬車でも拾って帰るから…三、四時間くらいかしら?」

「ではこちらを」

「…また円卓金貨…貴方、ちょっと金銭感覚おかしくない?」

「ふふ。私は仕事が趣味ですから、余らせてしまっていますからね。使う時にはぱっと使ってしまわなくては」

「はぁ…まあ、貴方がいいなら良いわ。貰っていくわよ?」

「はい、ご主人様」

「それと…私の留守中、使用人達が騒がないようによろしくね?」

「かしこまりました」

「ああ、もうこういうのはごめんだわ…」

アンジェリクは金鉱に向かう。あそこにはもう誰もいないからだ。リュカは使用人達にアンジェリクが急用で出かけていると嘘をつき、魔力で先程の写真を現像する。さあ、主人が出掛けている間に彫刻を仕上げてしまわなくては。

「ああ、三、四時間でしたね…急がなくては…」

そうしてリュカは、人間離れした彫刻技術で作品を仕上げたのであった。
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