女公爵は軽薄に笑う

下菊みこと

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女公爵は闇オークションに足を踏み入れる

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「これが闇オークション…」

「規模が大きいですね」

この闇オークションには、様々なモノが出品された。表には出せない美術品、拷問具、奴隷、人間だったモノのパーツ、合成獣、etc.

リュカは、さすがにアンジェリクに人間だったモノのパーツを見せる訳にはいかないので、それが出品される際にはアンジェリクの目と耳を塞いでいた。

「さあ、お次はメアリー人形!持ち主を必ず非業の死に導く呪いの人形です!芸術的な価値も高い一品となっております!円卓金貨五枚からとさせていただきます。それではスタート!」

「六枚!」

「七枚!」

「十枚!」

「十五枚!」

「十六枚!」

「十七枚!」

「十七枚!現在十七枚です!他に手を挙げる方はいらっしゃいますでしょうか?」

「二十五枚よ」

「二十五枚!?」

「よっぽどのコレクターかしら…」

「人形に二十五枚…?」

「に…二十五枚!二十五枚です!他に手を挙げる方はいらっしゃいますでしょうか!?」

「…」

「二十五枚で落札です!」

「意外と安かったわね」

「無事落札出来て何よりです」

そして闇オークションも終わり受け渡し。客室に呼ばれて、アンジェリクとリュカは円卓金貨を準備して部屋に入る。

「メアリー人形を」

「はい、こちらです」

「円卓金貨二十五枚よ」

「はい、確かに」

取引終了だ。後は密かにネックレス型の映像石に録画した人身売買を証拠にこの組織を追い詰めればいい。何事も無くて良かった。さあ、帰ろう。

…その瞬間、部屋の電気が落ちた。

「…リュカ!」

「ご主人様!」

アンジェリクは危機を察知し竜体化しようとした。しかしそれがいけなかった。

「…魔封じの鎖!?」

魔封じの鎖が瞬時に竜体化しかけていたアンジェリクの身体に巻き付く。アンジェリクは半人半竜の姿のまま身動きが取れなくなる。

「魔封じ…ならば!」

天使の先祖返りであるリュカには魔封じの鎖は効かない。魔ではないから。しかし、人間の姿では夜目が効かない。そこで天使の姿になるが…。

「な、神の鎖!?」

神の鎖という天の使いの力を制限できる鎖が瞬時にリュカに絡みつく。

「…、ご主人様、申し訳ありません!捕らえられました!」

「…リュカ!」

そこで電気がつく。いつのまにか黒服達が広い部屋の半分を埋め尽くし、その中心には…チェンがいた。

「!チェン、貴女!」

「やあ、エルドラド!君のそんな姿が見られるなんて今日はいい日だね!」

「チェン様。この組織は人身売買をしています。ご存知ですか?」

「うん。そしてそれを知った君たちがこの組織を潰そうとしていることもね。困るんだよねぇ?ここの闇オークションが潰されるとさぁ」

「…見損ないました」

「同感ね」

「あはは、なんとでも。それじゃあ、始めよう」
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