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彼女は女王陛下に呼ばれる

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ある日、テレーズは女王陛下に呼ばれて王宮に向かった。なんでもテレーズと秘密のお話をしたいとのこと。テレーズは秘密のお話ってなんだろうとワクワクしながら女王陛下の元へ行く。

「女王陛下ー!来ましたよー!ご機嫌よう!」

「あらあら、テレーズ。御機嫌よう。今日も一段とご機嫌ですね。バスチアン家に嫁いでから、明るくなりましたね」

女王陛下はテレーズを優しく迎え入れる。侍女は連れてきているものの、それ以外は誰もいないので親戚のお姉さんモードの女王陛下である。

「ふふ、わかりますか?ボーモン様達が優しいから、幸せなんです!」

「ふふ。本当に良い方向に変わって……テレーズは良い子ですね」

「えへへ!それで、秘密のお話ってなんですか?」

キラキラと目を輝かせるテレーズに、女王陛下は優しく微笑んで言った。

「ベルトラン公国の件です。覚えはあるでしょう?」

「は、はい!」

「アダラール殿下の妹君、ルシア殿下は無事完治したそうですよ。王家には使い魔を飛ばしてすぐに御礼の手紙が届きましたが、おそらく近日中にバスチアン侯爵家にも御礼の手紙が届くでしょうね」

「本当ですか!?わあい!よかったぁ!」

我が事のように喜ぶテレーズの様子に、さらに笑みを深くする女王陛下。

「ルシア殿下のご病気を隠していたベルトラン公国からは表向きには発表はないものの、秘密裏にこのコンスタン王国とバスチアン侯爵家、そしてテレーズへの御礼の言葉がありました」

「私?」

「テレーズの歌のおかげで幸福の木は実を付けたのでしょう?当然のことです」

テレーズのことを誇らしげにそう言う女王陛下に、テレーズは照れ笑いを浮かべた。

「これを機に我がコンスタン王国とベルトラン公国は同盟を結ぶ運びとなりました。全てはテレーズ。貴女のおかげです。頑張りましたね。よくやってくれました」

女王陛下は子供の頃のようにテレーズの頭を撫でる。テレーズは、その心地よさに身を委ねた。今は、ただ甘えることを覚えたテレーズ。女王陛下はますますテレーズが可愛くなってしまう。

「……やはり、テレーズにはぜひ嫁に来て欲しかったですね」

「?」

「まあ、今更馬に蹴られるような真似はしませんが」

それでもやはり息子達の誰かと結婚させるべきだったかとも思うが、今のテレーズを引き出したのは他でもないボーモン。ボーモンと結婚出来たからテレーズは変われたのだから、今更邪魔はできない。しかし、テレーズは本当に日に日に自分の価値を高める。嫁にもらえなかったのがつくづく惜しい。それでも女王陛下は、せめてボーモンとテレーズの末長い幸せを願う。
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