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女王陛下の悩み

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「さあ、話が長くなりましたね。いつまでも立ち話では疲れますから、こちらへおいで」

「はい、女王陛下!」

女王陛下の勧めで椅子に腰掛けるテレーズ。正面に女王陛下も座った。そうすると、女王陛下の侍女たちが紅茶を淹れお茶菓子を用意してくれる。今日はイチゴをふんだんに使ったピンク色の可愛らしいケーキである。

「わあ……!可愛い!」

「どうぞ、お食べなさい」

「ありがとうございます、いただきます!女王陛下大好きです!」

「ふふ、現金な子ですね」

顔を綻ばせて喜ぶテレーズに、女王陛下も思わずにっこりである。美味しい美味しいと幸せそうに食べるテレーズに満足した女王陛下は、しかしため息を吐いた。

「……女王陛下?どうしたんですか?」

「いえ、実は……最近、流行病が国を襲い始めているのです。今はスラム街での被害が中心ですが、やがては国に広まるのではないかと……」

女王陛下は、流行病に頭を悩ませていた。テレーズは一生懸命に考える。どうすれば女王陛下の憂いを晴らせるだろう。

「んーと、とりあえず手洗いうがいは基本ですよね!」

「手洗いうがい?」

「はい!流行病とかの病気はウイルスとかが原因ですから、移らないように衛生管理を徹底するのが基本かなって。きちんと石鹸で手を洗って清潔なタオルで手を拭いて、薬液を薄めたうがい薬でうがいするのが大切ですよね!」

「……なるほど」

女王陛下はそんな知識をテレーズがどこで拾ってきたのかはわからないが、たしかに説得力はあると思った。

「あと、病原体?が身体に入っても発症しないように、えーっと、免疫力!免疫力を高めるんです。だから、栄養たっぷりのお食事が大事ですよね」

「ふむ」

「スラム街で被害を押しとどめるなら、やっぱりスラム街の人達のための医療施設を臨時で作って、病気を発症していない人達の衛生管理を徹底して、あと栄養たっぷりのお食事を無償であげたらいいんじゃないでしょうか?」

簡単に言うテレーズだが、それだけのことをするとなるとかなりの労力と資金が必要になる。

……が、流行病が国を本格的に襲えばそれ以上の労力と資金が必要になるので、むしろテレーズの案を採用する方が国のためになるだろう。女王陛下はそう判断した。

「わかりました。テレーズ、良い案をありがとうございます。参考にしましょう」

「お役に立ちましたか?」

「ええ、とっても」

「わーい!」

役に立てたと嬉しそうなテレーズに、女王陛下は優しく微笑んでまた頭を撫でた。
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