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彼女はたくさんの感謝を集める

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女王陛下とのやりとりから数日、アダラールの父から秘密裏に御礼のお手紙が届けられ、ボーモンとテレーズはアダラールの妹君の回復を二人で喜んだ。

「ボーモン様!よかったですね!」

「ああ。テレーズ、君のおかげだ。我が友人の妹を救ってくれてありがとう」

「いえいえそんな!元はと言えばポロさんやポロさんのご先祖様のおかげです!」

「ポロ、よくやった」

「こ、光栄です」

さらにその数日後には女王陛下肝いりの政策として、スラム街に無償の医療施設が臨時で開かれた。そして、スラム街の衛生管理が徹底して行われた。さらに、炊き出しで美味しく栄養たっぷりのお食事が振舞われた。

女王陛下肝いりの政策を実施したところ、効果はすぐに現れた。

「あれだけ猛威を振るっていた流行病が、女王陛下肝いりの政策によりスラム街で食い止められたそうだ。今のところスラム街以外には広まっていないし、スラム街でも流行はストップした。死者も最低限で抑えられているな」

「よかったです!」

「女王陛下が、テレーズからの進言でこの政策を実施したと公表している。貴族達は女王陛下の身内びいきだと陰口を叩いているが、平民達はテレーズに感謝しているようだ。君の地の底を這うような低い評判も、少しは良くなりつつあるぞ。よかったな」

テレーズはそれを聞き、嬉しそうに笑った。

「えへへ。はい。有り難いですね!」

「私としても、優秀な妻を持って鼻が高い。だが、予防医療なんてどこで学んだんだ?」

「予防医療というほどの知識でもないと思いますが……」

なにしろ前世では大抵の人は知っている程度の知識である。

「んー……夢のお告げ……?」

テレーズは前世の記憶について誰かに話すつもりはない。信じてもらえないとショックだし、嘘つき呼ばわりや異端者扱いされたら最悪だからだ。

「……夢のお告げ?テレーズ、君は本当にすごいな。神にすら愛されているのか」

どうやらボーモンは真に受けたらしい。普段嘘をつかないように気をつけているテレーズの言葉だからだろう。

「えへへ」

テレーズは笑ってごまかす。本当のことは、たとえボーモンでも言えない。

「テレーズは本当に自慢の妻だ。これからもよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします!」

改めてテレーズを大切に思うボーモン。優しい時間が流れていた。
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