エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。

下菊みこと

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使い魔

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「お父様…あの…」

「どうした?」

「その子はなんですの?」

「ホワイトタイガーの赤ん坊だよ」

「なんでホワイトタイガーの赤ちゃんが屋敷に!?」

アンリエットは思わず叫んだ。しかしジスランはなんてことないように言った。

「アンはネコ科の動物が好きだろう?」

「は、はい…それは…はい…」

「密猟者に無理矢理連れてこられた可哀想なホワイトタイガーの赤ん坊を見つけただろう?」

「まずそこから!そこから何故ですの!?」

「ん?ああ…女王陛下から、我が国の自然動物を密猟する不届き者を成敗せよとのご命令でね」

なんでもないことのように言うジスランだが、それを聞いてアンリエットは青ざめた。

「お、お父様、怪我はしておりませんか!?大丈夫ですの!?どこか痛いところは!?」

ジスランは自分をこんなにも心配してくれるアンリエットに、少し気を良くした。ただ、あまり興奮するとアンリエットの身体に良くない。

「落ち着いて、アン。私はこの通り無事だよ」

「よ、よかった…」

ほっと息を吐き、そのまま呼吸を整えるアンリエット。落ち着いたところで話を戻す。

「それで、密猟者を取っ捕まえて治安部隊に引き渡してね。けれどすでに親を殺されてしまったこの子を放置するわけにもいかず、いっそのことアンの使い魔にでもするかと思って」

「え?でも、私は魔法も魔術も使えません」

「うん。だから、そこでジェイドの出番ってわけさ」

「え?」

「ばあっ!」

ジスランの後ろなら、ジェイドが飛び出た。

…が、アンリエットはポカンとはしたがそれだけだった。

「むう。そこまで驚かないか」

「ジェイド様?」

「やあやあ、アンリエット。ところでアンリエットは魔道具の首輪はご存知か?」

「えっと…?」

「魔法を使えない人でも、使い魔として動物と契約出来るようにする不思議な首輪さ。そこのホワイトタイガーの赤ん坊にこれをつけてみろ」

ジェイドに渡された首輪を、アンリエットはホワイトタイガーの赤ん坊につける。

すると、魔法や魔術を使えないアンリエットにも魔力回路が繋がったのを感じられた。

「あら、不思議な感覚…」

「天使様も、魔力がないわけじゃないからな。回路さえ繋げれば契約出来るんだ」

「なるほど…!」

ということで、幼いホワイトタイガーの赤ん坊はアンリエットの使い魔となった。アンリエットの寿命が尽きない限り、この赤ん坊は長生きするし死ぬことはない。良いのか悪いのか、は置いておいて。これでこの赤ん坊はとりあえず安全だ。

「はい、アンリエット。いつものだ」

ジェイドはいつものように、アンリエットの手のひらに飴玉の雨を降らせる。

「じゃあ、また来るな。今日は用が済んだから、またな」

「ありがとうございます、ジェイド様!」

アンリエットはジェイドを見送ると、ジスランに訊ねる。

「けれど、本当に私の使い魔にしてよかったのですか?お父様」

「女王陛下の許可は得たから大丈夫」

アンリエットは、胸の中の小さな温もりをどうすべきかと頭を悩ませた。
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