エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。

下菊みこと

文字の大きさ
40 / 62

アンリエット、回復

しおりを挟む
「ジャンヌ、アンリエット達は?」

「アンリエット様は、ナハト様のお家で休ませていただいています。治癒魔法の魔道具は継続して使っております。ルロワ様とルーヴルナ様には付き添いをお願いしています」

「なるほどな。連れて帰ろう」

「はい」

「ジャンヌー!ジェイド様ー!」

そこに、噂のアンリエットが駆け寄ってきた。ナハトの家から出てきたらしい。

遅れてルロワとルーヴルナもアンリエットたちはを追いかけている。

「ご主人様、まだ走ってはいけません!」

「ぴゃっ!」

「だって、ジェイド様が怪我をしてたら…っ!」

「アンリエットー、俺は無事だぜ?」

ひらひらとジェイドが手を振れば、アンリエットは安心したように笑いジェイドの胸に飛び込んだ。

「ジェイド様、ご無事でなによりです!」

「ん、心配させてごめんな」

そんなアンリエットの頭を優しく撫でるジェイド。

「治癒魔法の魔道具は?」

「あ、ここにちゃんと!」

アンリエットに付いてきて空を飛ぶ治癒魔法の魔道具を見て、ジェイドは満足そうに頷いた。

「ちゃんと治癒は受けっ放しなようでなにより」

「ふふ、はい」

「ちょっと待ってな」

ジェイドは魔道具の記録を見て、アンリエットが貧血から回復したのを確認する。

「うん、これだけ回復していれば問題ない。帰ろうか」

「はい!でもその前に…どうなったか、教えてください」

ナハトの家でずっと治癒され、結局は戦いがどうなったか知らないアンリエット。

疑問を持つのも無理はない。

「人狼に襲われそうになったが、そこのヴァンパイヤ殿に助けられてね。あとは狂信者の三下しかいなかったから、ちょっとお灸を据えて拘束した。後のことは彼ら本人に任せるよ」

「まあ!」

そこで拘束された星見教狂信者に気付くアンリエット。しかし、何をしてあげられるわけでもないのでそっと憐れみの目を向けてから視線をアーベントに移す。アーベントは視線に気付き、口を開いた。

「ヴァンパイヤの一族が長、アーベントだ。血を捧げていただき、大変助かった。集落の者達を救ってくれて、本当にありがとう」

素直な感謝の言葉に、アンリエットは嬉しそうに笑う。

「こちらこそありがとうございました!」

「それと、そこの御仁は多分我の手伝い無しでも人狼に勝てていただろう」

「まあ俺は天才だからな!」

「すごいです、ジェイド様!」

「じゃあ、そろそろ屋敷に帰ろうか」

アンリエットはジェイドに手を握られる。

「はい!では皆様、また今度」

「天使殿。三日月教信者の族長として、深くお礼申し上げる。また、いつでも来てくだされ。歓迎します」

「いえいえそんな…」

「ありがとう、天使様!」

「ありがとう!」

彼らの心からの言葉に、胸が熱くなるアンリエット。そして屋敷に転移した。

結局、アンリエットが拘束された星見教狂信者の処遇を知ることはなかった。

その後、集落では静かに処刑が執行されたという。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。 そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。 それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。 必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが… 正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...