エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。

下菊みこと

文字の大きさ
60 / 62

お祝い

しおりを挟む
「アンリエット嬢はジェイド殿とご婚約なされたのか」

ナハトが遊びにきた時に、アンリエットはジェイドとの婚約を報告した。

アンリエットとジェイドの婚約は成立したばかりで、まだ大々的には公表されていない。

近いうちに公表されるが、その前にナハトには報告したいというアンリエットの気持ちをジェイドは尊重した。

「ええ」

「羨ましいだろう?」

にんまり笑ったジェイドに、ナハトは苦笑する。

「はは、正直ものすごく羨ましいものだな。…あまり自慢し過ぎて刺されるなよ?」

「あっはっは!気をつけよう」

「ふふ、ジェイド様ったら」

幸せそうに笑うアンリエットに、ナハトは目元を緩めた。

「…幸せそうだな、アンリエット嬢」

「はい、とっても!」

屈託無く笑うアンリエットに、ナハトは心からの言葉を贈る。

「ジェイド殿とのご婚約、本当におめでとう。どうか、幸せになって欲しい」

「ありがとうございます、ナハトさん」

「ジェイド殿も素晴らしいご婚約、本当におめでとう。…絶対に幸せにしろよ?でないと刺すのは俺かもしれん」

「おお怖い。…ありがとうな、絶対幸せにするぜ」

そう言ってアンリエットの肩を抱くジェイド。そんなジェイドに頬を染めるアンリエット。

「しかし、ジェイド殿。ひとつだけ確認しておきたいんだが」

「なんだ?」

「ジェイド殿はよもや、『俺の女に男は近付くな』…なんてヤバめの束縛男ではあるまいな?」

ナハトの言葉にぶはっと吹き出して大笑いするジェイド。

「はははははっ!さすがにそこまで狭量じゃねぇよ!」

「だよな、よかった。ならこれからもアンリエット嬢とお茶をしても良いか?」

「そりゃもちろん。いやー、まさかそんなちっちゃな男だと思われていたとは」

「いや、すまない。いくらジェイド殿のような大らかな御仁でも、アンリエット嬢のような素晴らしいお嬢さんが相手なら変わるものかと」

「はっはっは!ナハトは口が上手いな?」

終始真顔で確認するナハトにこれは面白いと笑うジェイド。アンリエットは、殿方にはそういう考え方もあるのかと妙な関心をしていた。

「まあだが、アンリエット嬢。これほどの良い男もなかなかいない。大事にな」

「ふふ、もちろんです」

「なんだなんだ、そんなに褒められると照れるぜ?」

ナハトは思う。これほどに美男美女、性格も良いお似合いの二人もなかなかいない。…この間聞いたジェイド殿の実年齢が本当なのであれば、ものすごく年の差が気になるところではあるが。

「今度、婚約祝いに姉の手作りのシュトーレンでも持参しよう」

「では、次はアッサムとミルクを用意してお待ちしていますね」

アンリエットは、シュトーレンが楽しみだと頬を緩めた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。 そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。 それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。 必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが… 正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

処理中です...