妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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入学準備です

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入学するにあたって、色々と準備が必要だそうです。制服を用意し、文房具も用意しました。体操着やシューズを買い、教科書も購入しました。

毎日色々と買いに出かけて、ようやく落ち着いた頃には入学一週間前でした。

「お嬢様、お疲れ様でした」

「ナタリーこそ、お付き合いありがとうございました。おかげで全部揃いました」

「いえいえ、私は何も…そうだ!お嬢様、制服に腕を通してみませんか?お嬢様の制服姿、早く見たいのです」

「では、着てみましょうか」

制服に腕を通します。もちろんサイズはピッタリです。紺のブレザーの制服はとても可愛らしいと評判です。

「わあ…!お嬢様、とても可愛らしいです!良くお似合いです!」

「ありがとうございます、ナタリー。とっても嬉しいです」

「お嬢様、是非旦那様にも見ていただきましょう。きっとお喜びになられますよ!さあ!」

「ふふ。ナタリーったら」

でもお兄様は私に優しいし、愛情を注いでくださっているから、間違いなくお喜びになられると思います。それはナタリーに同意なので、ナタリーに先導されお兄様の執務室に押しかけます。ノックをして、許可を得て入室します。

「エレナ、どうした…可愛らしいな」

「でしょう?旦那様」

「ああ、控えめに言っても最高だな。ナタリー、良くエレナを連れてきてくれた。感謝する」

「いえいえ、お嬢様を可愛がっていらっしゃる旦那様がいてこそお嬢様は輝くのですから、これくらいは当然です」

私を置いてけぼりにして二人で和気藹々と楽しくお喋りしているのに、ちょっとだけヤキモチ。でも大好きな二人が仲が良くて、私も嬉しいです。

「あの、お兄様」

「どうした、エレナ」

「その、あの…似合います、か?」

くるりとその場で回ってみます。

「可愛い。すごく似合ってるぞ、エレナ」

「あ、ありがとうございます、お兄様」

「いっそ入学なんてやめさせてずっと家にいればいいとすら思うくらいだ」

「え」

「わかります…お嬢様が可愛すぎて、変な貴族に目をつけられないか心配です」

「全くだ。まあ、なにかあれば公爵家の地位を最大限に発揮するがな」

「それでこそ旦那様です!」

…よくわからないけど。褒められているんですよね?

「ありがとうございます。お兄様、ナタリー」

「気にするな。可愛い妹を守るのは兄の特権だ」

「ナタリーはいつだってお嬢様の味方ですからね!」

何か微妙に会話が噛み合ってない気がするけれど、ともかく制服も似合っているようで安心しました。
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