妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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お兄様が魔力を上手くコントロールする術を授けてくれます

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学園から帰ると、お兄様が待っていてくださいました。

「おかえり、エレナ」

「ただいま戻りました、お兄様」

お兄様と早速魔力のコントロールの特訓をします。

「魔力のコントロールとは、具体的にはどうすればいいでしょうか?」

「色々と考えてみたんだが、使い魔を作ってみるのはどうかと思う」

「使い魔ですか…」

魔法学は学んでいないので、ぼんやりとしか存在を知りません。

「使い魔は、魔力を練って作る自分専用のペットだな。魔力を通じて繋がっているから、絶対に主人を守り通してくれる。存在している間はほぼずっと魔力を喰うから、仕舞わずにずっと存在させておけばコントロールなんて考えなくても勝手に魔力が減ってくれる。特訓は、使い魔を存在させることだけで済むから下校後の空き時間で充分身につくはずだ。いいか?」

「はい、お兄様!ありがとうございます!」

お兄様に頭を撫でられます。気持ちいい。幸せ。

「なら、まずは使い魔を練るぞ。最初は多分、練っても練ってもなかなか形にならないし、なってもすぐに消えるから気負うなよ」

「はい!」

特訓開始です!

「作りたい使い魔の姿を思い浮かべて、魔力を手のひらに集中させるんだ」

「はい!…んー」

猫に天使の羽根が生えた幻獣を想像して魔力を練ります。いつだったか、古代の歴史の教科書で見つけたあの幻獣は今でも私の憧れなのです。

「そう、上手だ。もっと魔力を回して…」

「んー?」

魔力の渦が手のひらで発生します。一瞬羽根の様なものが見えた後、魔力の渦は掻き消えました。

「え」

「大丈夫だ。最初はみんなこんなものだ。続けるぞ」

「はい、お兄様!」

もう一度魔力を練ります。魔力の渦が発生したと思ったら、一瞬で消えました。今度は羽根すら出なかったので落ち込みます。

「もう一度」

「はい!」

落ち込んでいる暇もなく次です。魔力を練るのだけは慣れてきたようで、すぐに魔力の渦は現れました。今度は猫の頭だけが出来ました。頭だけは正直怖いです。そして瞬間消えました。

「初めてにしては筋がいい。もう一回!」

「はい!」

幻獣を思い浮かべて魔力を練り、今度はお尻と尻尾が見えました。なんだかシュールです。そして、なんと一瞬で消えることなく少しずつ胴体や頭が出来て、後は羽根だけというところで、ぱちんと消えました。悲しいです。

「よしよし、今日は大分魔力を消費出来ただろう?ここまでにしよう。明日また頑張ろうな、エレナ」

「はい、お兄様!」

お兄様に頭を撫でられます。幸せです。でも、せっかくならやっぱり早く使い魔を作れるようになりたいです。可愛らしい猫型の使い魔は、きっと私の宝物になるでしょう。どんな風に大切に可愛がれるでしょうか?ペットを飼ったことがないから楽しみです!
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