妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

文字の大きさ
55 / 103

使い魔を作ります

しおりを挟む
今日も下校してすぐにお兄様に教えていただきながら特訓です。

「やり方は覚えているか?」

「はい、お兄様!」

「なら早速やってみろ」

幻獣をイメージしながら手のひらに魔力を集中させ、幻獣を作り上げます。今回は頭が出来て、そこからどんどん胴体、お尻や尻尾が出来上がって、羽根も出来ました!作れたと思った瞬間ぱちんと消えました。悲しい。

「そんな顔をするな。大丈夫、上手だぞ。エレナは偉いな」

なでなでと頭を撫でられると、不思議と落ち着きます。

「さあ、もう一回だ」

「はい!」

何度も何度もチャレンジしても、出来上がるのに一瞬で消えてしまいますが、ここで諦めはしません。失敗も、魔力消費という意味では充分意味がありますし…何度もチャレンジすれば、いつか出来るはず!教科書の丸暗記よりはマシです!

「もう一回」

「はい!」

もう一度、幻獣を想像しながらすぐに手に魔力を回して練り上げます。尻尾からお尻、胴体、頭が出来て、羽根が出来て…消えません!出来ました!とうとう出来ました!

「お兄様!出来ました!」

「みゅう」

「しかも鳴きました!」

「エレナは筋がいいな。だが、このサイズでいいのか?手のひらサイズだぞ」

「え?普通このサイズなのでは?」

「…いや…大体は、普通の犬猫サイズだな…」

…は、恥ずかしい勘違いをしていました…!

「まあ、使い魔はその都度修正も出来るから…大丈夫だ。ほら、魔力を回して」

「はい…」

魔力を回して使い魔を大きくします。普通の猫サイズの幻獣!可愛い!

「…もう消えませんよね?大丈夫ですよね?」

「ああ。特に姿を変える必要はないか?」

「無いです」

「じゃあ、純粋に魔力を出来る限り流してやれ。それで使い魔として固定してやれる。エレナが消そうとしない限り消えなくなるぞ」

「はい!」

「みゅう」

魔力を大量に使い魔に流します。一瞬、使い魔と私がリンクするような不思議な感覚になり、使い魔はなんだか存在感が一気に増しました。

「名前を付けてやるといい。愛着が湧くぞ。使い魔の寿命は主人が死ぬまで続くから、愛着が湧いても大丈夫だ」

「じゃあ…エル。エルにします」

「みゅう?」

「エル、よろしくね」

「みゅう!」

「エルか。エルは女の子なのか?」

「はい!」

「そうか、可愛らしいな。これからエレナをよろしくな」

「みゅう!」

「お、お嬢様…」

「どうしたんですか?ナタリー」

「エル様が可愛すぎます!撫でていいですか!?」

「一緒に撫でましょう!」

「みゅう!」

ナタリーと一緒にエルを撫でます。毛がふわふわー。もっふもふで可愛いです!

「ふわー!ふわふわですー!」

「可愛いですね、ナタリー!」

「そうですね!お嬢様!」

「お兄様も一緒に撫でましょう!」

「いいのか?」

「もちろんです!」

お兄様は何故か私の頭を撫でます。

「もう、お兄様!」

「はは。…うん、エルはもふもふだな。至福だ」

「エルはとっても良い子ですよね!」

「そうだな。可愛いし」

「みゅう!」

「…ただ、巨大化させたらグリフォンみたいに上に乗れそうな見た目だから普通サイズなのが惜しいな」

「え、普通サイズなのが可愛いんですよ!?」

「大きくても可愛いでしょうけれど、必要に応じてですかね?都度見た目を変えられるんですものね?」

「まあそうだな」

「絶対このサイズが可愛いです!」

「ふふ、そうですね、ナタリー」

新しい家族も増えて、とっても幸せです!
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

婚約破棄、国外追放しておいて、今さら戻ってきてほしいとはなんですか? 〜今さら戻るつもりなどない私は、逃げた先の隣国で溺愛される〜

木嶋隆太
恋愛
すべての女性は15歳を迎えたその日、精霊と契約を結ぶことになっていた。公爵家の長女として、第一王子と婚約関係にあった私も、その日同じように契約を結ぶため、契約の儀に参加していた。精霊学校でも優秀な成績を収めていた私は――しかし、その日、契約を結ぶことはできなかった。なぜか精霊が召喚されず、周りからは、清らかな女ではないと否定され、第一王子には婚約を破棄されてしまう。国外追放が決まり、途方に暮れていた私だったが……他国についたところで、一匹の精霊と出会う。それは、世界最高ともいわれるSランクの精霊であり、私の大逆転劇が始まる。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

処理中です...