妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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使い魔と戯れます

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今日は休日。学園もお休みなので、お庭でエルと戯れます。

「お嬢様!猫じゃらしを買って参りました!」

「ありがとうございます、ナタリー!ほら、エル!猫じゃらしだよー」

「みゅう?みゅう!」

猫じゃらしを振ると、ピンと尻尾を伸ばして黒目がクリクリになったエルが猫パンチを繰り出します。可愛い。

「ふわー。可愛いですね、お嬢様!」

「可愛いですね、ナタリー!」

二人でエルを可愛い可愛いと言っていると、エルが首を傾げてみゅうと鳴きます。可愛い。あんまりにも可愛いので撫でちゃいます。

「エル、良い子だねー」

「エル様、可愛らしいですよー」

二人でエルを撫で回しているとエルがみゅうと鳴いて羽を使って器用に飛びます。そして私の頭の上に乗っかりました。

「みゅう!」

「あ、エル様ダメですよ!お嬢様の御髪が傷んでしまいます!」

「いいんです、ナタリー。だって可愛いから」

「た、たしかに…」

「…お前達は何をやっているんだ?」

お兄様が何やら大きな袋を抱えた侍従と一緒にお庭に来ました。

「エル様と遊んでいました!」

「私にはエレナがエルに遊ばれているように見えるが」

「エルは意外とお転婆な性格のようです、お兄様」

「そのようだな」

お兄様が私の頭の上にいたエルを抱き上げます。

「主人の頭の上には乗らない。わかったか?」

「みゅう!」

「…本当にわかったんだよな?」

「みゅう!」

お兄様はポンポンとエルの頭を撫でました。

「そんなお利口さんなお前にはご褒美をやろう」

侍従さんが大きな袋からクッションのような大きな猫用のベッドを取り出しました。

「エル様の為に旦那様が特別に取り寄せた品ですぞ。エル様は貴族の使い魔の中でも特別に可愛がられておりますなぁ」

「みゅう!」

エルがお兄様にお礼を言うように何度もお兄様の周りを飛び回ります。

「今度、猫用のジャングルジムのような…なんと言ったか」

「キャットタワーですか?お兄様」

「ああ。それも買ってやる。どこに置くかはエレナの好きにしろ」

「私の部屋に置こうね、エル」

「みゅう!」

「エルには使い魔だから首輪は要らないが、何かしら着飾ればもっと可愛らしいだろうな」

お兄様の言葉に、首輪をつけたエルを想像する。うん、可愛い。

「それなら、首に優しくリボンをつけて差し上げてはどうでしょう?エル様は使い魔ですから成長はされませんし」

「それなら首輪でいいだろう。鈴付きの」

「可愛らしいですが、使い魔に首輪をつけるのはその…ダサいとされていますし…」

「…ダサいのか」

「…はい」

「リボンは流行りなのか?」

「使い魔のいる貴族女性の間では結構人気がありますよ。エル様は白猫ですからどの色も似合うと思います!」

「なるほど。エレナ、エルにリボンをつけてやるか?」

「はい、是非!」

「何色にする?」

「ええっと…白猫で紫の瞳だから…うん、紫のリボンにします!」

「わかった。キャットタワーと一緒に注文しておく」

「ありがとうございます、お兄様!」

「他にも注文するものがあるから、早ければ明日の午後には届くだろう。楽しみにしているといい」

「お兄様、大好きです!」

「私もエレナを愛してる」

優しくおでこにキスをされる。なんだかすごく安心する。

「みゅう!」

エルが真似をして私とお兄様のおでこにキスをした。可愛い。

「では、私は執務に戻る。何かあればすぐに部屋に来い」

「ありがとうございます、お兄様」

お兄様とエルのおかげで、今日も楽しい一日になりました。
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