妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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小さなヤキモチ

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「やあ、エレナ。ご機嫌よう」

「クリス様、ご機嫌よう!」

「みゅー!」

「エルもご機嫌よう。あはは、くすぐったいな」

今日もクリス様が遊びに来てくださいました。エルもすっかりとクリス様に懐いており、クリス様にお会いできて嬉しいようです。クリス様に飛びついて、その頬に頬を擦り寄せています。ちょっとだけ羨ましいです。

「…エレナ?どうしたの?」

「え、えっと…エルがクリス様とラブラブで羨ましいなって」

「…おや、妬いてくれるの?可愛い」

クリス様は私に近づいて、私の頬に両手を添えて顔を上に向かせます。そして目が合うと、ニッと不敵に笑いました。

「じゃあ、僕が愛しているのが誰か教えてあげるよ」

そしてクリス様は、わざとリップノイズをたてながら私のおでこに、瞼に、頬に、鼻先に、唇に触れないギリギリのところにキスを落としていきます。

「エレナ、顔真っ赤だよ。かーわいい」

「く、クリス様…」

「ああ、そんな蕩けてしまいそうな涙目で見つめないで。僕の方が蕩けてしまいそうだ」

心底愛おしい。そんな瞳で見つめられて、私も蕩けてしまいそう。

「…これ以上は、僕が自制できそうにないから。名残惜しいけれど、ここまで」

そう言って最後におでこにキスをされて、ぎゅっと抱きしめられる。

「あー…本当に可愛い。キスをするだけでこんなにときめくのに、抱きしめるだけでこんなに癒される。エレナって本当に不思議だね。愛してるよ」

「私もクリス様を愛しています。キスはすごくドキドキして、ハグはすごく幸せです」

「あはは。お揃いだね」

「はい、お揃いですね」

「みゅー?」

エルが不思議そうに首を傾げて、クリス様の肩の上に乗ります。

「あ、エルダメよ」

「あはは、このくらいなら構わないよ。エルとは長い付き合いになるのだし」

「クリス様…ありがとうございます」

「みゅー!」

「ほら、エル。おいで、膝の上に乗せてあげるよ。肩だと不安定だろう?」

クリス様が椅子に座ってぽんぽんと膝を叩きます。エルはすぐに飛んで、クリス様の膝に着地。嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしながら、クリス様に撫でられます。

「エルは甘えん坊さんだね。エレナも同じくらい甘えん坊さんなら、デロデロに溶けるまで甘やかしてあげるのに」

「く、クリス様…」

「おや、嫌かい?」

「そんなことないです!ただ、今でもたくさん甘やかしてもらっているのに、ダメな子になっちゃいます…」

私の言葉ににんまりと笑うクリス様。

「おや、それはいいね。僕がいないと生きていけないエレナ。絶対可愛い。ダメな子になっても、たくさん愛してあげるけれど、どう?」

「もう!クリス様ったら」

「冗談じゃないよ。本気で甘やかし尽くしたい。…まあ、エレナは頑張り屋さんだものね。誘惑してもダメか。残念だなぁ」

本当にクリス様は残念そうにため息を吐かれます。あんまり甘やかされると心臓への負担もあるので、我慢していただきましょう。
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