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皇太子殿下が意地悪です

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「エレナ、見て見て」

「どうしました?クリス様」

「君にプレゼントを持ってきたんだ。開けてみて」

「プレゼント?今日は何かありましたか?」

「君にプレゼントを贈るのに理由が必要かい?」

なんと、今日はクリス様からプレゼントをいただきました。しかも理由もなく。

「いいんでしょうか?」

「もちろんだとも。ほら、早く早く!」

ということでプレゼントを開けます。出てきたのはオルゴールです。

「オルゴールですか?」

「そう!なんでも、僕とエレナの婚約記念にと平民達が売っていたものらしくてね。一時期平民達はみんながこぞって買っていたらしいよ。いやー、彼らは商売が上手いな。それで、その話を最近聞いたから僕も君にあげたくて買ってみたんだ。どうかな?」

「すごく嬉しいです…!」

私とクリス様の婚約記念のオルゴールなんて、素敵!音色も綺麗で、見た目もとても可愛らしいです!

「気に入っていただけてなによりだよ。さあ、エレナ。この曲に合わせて、一緒に踊ろう」

「喜んで!」

クリス様とダンスを踊ります。幸い部屋は広いので踊るのに問題はありません。

「クリス様、幸せです」

「僕もだよ」

曲が終わるまでの短い間、夢のようなひと時を過ごしました。

「エレナ、楽しかったね」

「はい、クリス様」

しかし、曲が終わってもクリス様は離れてくれません。

「クリス様…?」

「エレナ…」

クリス様の顔が近づいてきます。ドキドキして、思わず目を瞑ると…唇の横、唇に触れないギリギリのところにキスを落とされました。

「ごめんね。ここは結婚式でのお楽しみだから、もうちょっと待っていて」

私の唇に人差し指を当てて、そう言って悪戯に笑うクリス様。もう、意地悪です!

「ど、ドキドキしちゃったじゃないですか!クリス様の意地悪!」

「あはは。意地悪したくなるほど愛らしい君が悪いんだよ」

そう言って今度は私の髪を一房とり、キスを落とすクリス様。意外とクリス様は私に対してキス魔です。

「あの、クリス様」

「なにかな?」

「私だけ、ですよね」

ちょっとだけ不安になって、思わず聞いてしまいます。するとクリス様は嬉しそうに笑いました。

「なあに、ヤキモチ?可愛いね。大丈夫。僕が意地悪をしたくなるのも、キスをしたくなるのも、愛しているのもエレナだけだよ」

飾らない言葉で愛を囁いてくれるクリス様。

「わ、私もクリス様を愛しています…」

思わず真っ赤になりつつも、きちんと言葉にして伝えます。クリス様のことが好きだから。クリス様は、私の言葉にさらに笑みを深めて今度は頬にキスをします。とっても幸せです。
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