君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう

下菊みこと

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手に入れたもの

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あの子を嫌がらせした結果、得られたもの、手に入れたもの。

それは望んでいたものではなかった。

あの子はお友達に守られてノーダメージ。

私は、嫌がらせしているところをクラスメイトに見られてしまった。

そして、逆に嫌がらせを受ける立場になってしまった。

「あの子、転入したてなのに隣のクラスの女の子に嫌がらせしてたらしいよ」

「じゃあ私たちがあの子に嫌がらせしても文句ないよね?」

「ないでしょ」

「最初から気に食わなかったのよね」

「あ、トイレ入ったよ。水ぶっかけてやろうよ」

前の学校と同じようにいじめられた。

どうしてあの子はあんなにもたくさんのものを持っていて、私ばかりこんな目に遭うのか。

私はその日早くに帰された。

早退して、親と相談してしばらく学校を休むことになった。

その間にナギさんに祈祷を依頼した。

いじめがなくなりますようにと。

そうしたら、ナギさんは言った。

「転校すれば、その先の学校ではいじめられないと思うよ」

ナギさんの言葉に従って、別の学校に引っ越した。

その学校では嫌われず、いじめられず、むしろ可愛いねって人気者になったけど…それ以降ナギさんに依頼しても、断られるようになってしまった。

ナギさんに、あの子にしたことがバレたのかもしれない。

ナギさんに嫌われたのかもしれない。

どうして私はあんなに愚かなことをしてしまったのか。

自分が憎くて仕方がない。

「…ナギさんっ」

転校はしたけど、そんなに遠くには引っ越ししていない。

お父さんの転勤先のもっと近くに行っただけ。

ナギさんに会おうとしたら、いつだって会える。

けれど、私は多分ナギさんに嫌われた。

ナギさんがこんなに好きなのに、もうこの想いは叶わない。

本当に、どうしてあんなにバカなことをしてしまったのか。

一時の激情に身を任せて、嫉妬心を剥き出しにしてあの子に嫌がらせをして。

嫌がらせを受ける辛さを、わたしは誰よりも知っていたというのに。

…あの子にも、申し訳ないことをしてしまった。

あの子はお友達に守られていたからそこまで辛くなかっただろうけれど…あの子に酷いことをしたのには変わらない。

…せめて、新しい学校ではもう酷いことをしないようにしよう。

それしか出来ることはない。

………ナギさん、ごめんなさい。巫さんもごめんなさい。でも、ナギさん。

本当に、本当に、貴方のことが好きでした。

ごめんなさい。
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