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僕の幼馴染と昔馴染みがむかつく
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変な噂が流れるようになってから数日。ユリアはルークと距離を置くようになった。僕もアリアと距離を置いてユリアと一緒に過ごすようにしている。それでも噂は消えない。僕がもっと気をつけていたらユリアに気苦労をかけることはなかったのに…。ごめんね、ユリア。
そして今日はこれから夜会がある。ここであの二人を断罪して変な噂を終わりにする。
「まあ!ユリアナ様ったら恥ずかしげもなくノア様と一緒にいらっしゃるわ!」
「ええ、なんて方なのかしら…」
「私だったら恥ずかしくて夜会になんて出られませんわ!」
「ユリアナ様ったらひどいお方!」
「結局こういう場ではルーカス様を選ばないのね!」
「なんてこと!」
根も葉もない噂なのによくもまあ言えたものだな。心の醜い奴らだ。それに比べて、ユリアは気丈にも背筋を伸ばして凛とした雰囲気で僕の隣に立っている。やっぱりユリアは可愛くてかっこいい素敵な女の子だ。でも、僕はそんなユリアが心配だ。
「大丈夫よ」
僕の前でくらい弱音を吐いてもいいのに。
「ノア様!お会い出来て嬉しいですわ!」
「ユリちゃん、ご機嫌よう!」
アリアとルークが側にやってくる。それだけでまた周りはざわざわしだした。ユリアを守るように、アリアとルークの前に立ちはだかる。
「突然だけど」
「?はい、ノア様」
「僕は今から君達を断罪する!」
「!?」
周りはさっきとは別の意味でざわざわしだす。野次馬も多い。ここで全部終わらせる!
「ノア、待って!」
ユリアが僕に抱きついて必死に止めようとする。でも、やめるわけにはいかない。
「大丈夫。僕は冤罪だけはやらかさないから」
「ねえ、ノア!やめて!」
「ごめんね、やめない…こんなことになるなら最初から排除しておくべきだったね、ごめん」
ユリアを見つめる。ごめんね、ユリア。そのあと真っ直ぐルークとアリアに向き合う。
「一体俺たちに何の罪があるって?」
「…ああ、そうか。ルークは知らないうちに巻き込まれてたんだったな」
「え?」
ルークがアリアを見つめる。アリアは血の気が引いたような顔色になっている。
「ルーク、お前は他の貴族の贈賄やら不正やらを暴くことで王家に忠誠を示して家を盛り立てただろう?」
「ああ」
「それで伯爵家にまで上り詰めたよな」
「そうだが?」
「その噂や証拠の品は全部アリアからもらったんだよな」
「…ああ」
どんどんルークの顔色も悪くなる。まさか、という顔でアリアを見つめる。アリアは黙ったまま。いっそのこと自分から白状すればいいのに。
「それが捏造だって証言をまとめた資料や証拠の品もここにあるんだけど?」
「…え」
ルークが信じられないものを見る目でアリアを見つめる。今まで信じていた全てが根底から覆ったような、そんな絶望的な表情で。まあでも、お前の自業自得だよ。ユリアにちょっかいかけなければこうはならなかったんだから。
「アリア様、嘘ですよね?」
「…」
「アリア様!」
否定して欲しい、そんな必死の叫び。でもこれは影に調べさせた信用に足る証拠。諦めろ。
「わ、私はただノア様のお側にいたくて…そのための手駒が欲しかっただけなの!大体何年も前のことでしょう!時効よ!」
「そんな…!アリア様、なんてことを!」
ルークにとってのアリアは真面目で不正をそのままにしておけない高潔な人だったらしいしまあショックだよね。でもお前もユリアを傷つけたんだから当然の報いだよ。ざまあみろ。
「ルーク様…」
「!ユリちゃん、心配してくれるの…?」
「もちろんですわ。私達、お友達ですもの」
「…ユリちゃん、ごめん」
「え?」
「ごめん…!」
ルークがユリアに謝っているうちに王太子殿下が僕の持ってきた証拠に目を通し、アリアとルークを衛兵に連行させていった。ユリアは悲しそうな表情だ。僕がもっと早くに手を打っていたら…ごめんね、ユリア。
「ノア…」
「ごめんね、ユリア」
「いいの…私こそごめんなさい…」
「ユリアは何も悪くない」
ユリアをそっと抱きしめる。ユリアの涙は止まらない。ごめんね、ユリア。
「ご苦労様、ノア」
王太子殿下が僕に話しかけてくる。ユリアは急いで僕から離れようとするけど、僕は強く抱きしめて離さない。ユリアの泣き顔を見られるのは僕だけの特権だもの。
「の、ノア!」
「いえいえ、王太子殿下のお力になれたのなら幸いです」
「また心にもないことを…全部そこのユリアナ嬢のためだろう?」
「まあ、もちろんそれもあります」
「ちょっとノア!」
だって本当のことだもん!
「あはは。仲がいいようでなによりだ。この分だと噂は所詮噂ってことみたいだな。みんなー、あんまり根も葉もない噂を流しちゃだめだぞー。特に後ろ暗い所がある子はな」
冗談めかして仰る殿下だが、会場はシーンと静まり返る。そりゃそうだ。
「ま、これからもこの調子でよろしく頼む」
「仰せのままに」
そうして殿下は離れていく。会場は徐々に賑わいを取り戻していく。…が、もう変な噂は出てこない。ルークとアリアの話すら話題に上がらない。
「じゃ、ユリア、一緒に踊ろう!」
「え!ちょっと待って、ノア!」
強引に誘い一緒に踊る。ちょっと強引だけど、ユリアを励ますのにはこのくらいでちょうどいい。
「…ありがとう、ノア」
「どういたしまして!楽しいね、ユリア!」
「ええ、とっても!」
結局ユリアはルークがどんな目的で自分に近づいてきたのかは気付かなかったみたい。ユリアの純粋な心を守れてよかった!
そして今日はこれから夜会がある。ここであの二人を断罪して変な噂を終わりにする。
「まあ!ユリアナ様ったら恥ずかしげもなくノア様と一緒にいらっしゃるわ!」
「ええ、なんて方なのかしら…」
「私だったら恥ずかしくて夜会になんて出られませんわ!」
「ユリアナ様ったらひどいお方!」
「結局こういう場ではルーカス様を選ばないのね!」
「なんてこと!」
根も葉もない噂なのによくもまあ言えたものだな。心の醜い奴らだ。それに比べて、ユリアは気丈にも背筋を伸ばして凛とした雰囲気で僕の隣に立っている。やっぱりユリアは可愛くてかっこいい素敵な女の子だ。でも、僕はそんなユリアが心配だ。
「大丈夫よ」
僕の前でくらい弱音を吐いてもいいのに。
「ノア様!お会い出来て嬉しいですわ!」
「ユリちゃん、ご機嫌よう!」
アリアとルークが側にやってくる。それだけでまた周りはざわざわしだした。ユリアを守るように、アリアとルークの前に立ちはだかる。
「突然だけど」
「?はい、ノア様」
「僕は今から君達を断罪する!」
「!?」
周りはさっきとは別の意味でざわざわしだす。野次馬も多い。ここで全部終わらせる!
「ノア、待って!」
ユリアが僕に抱きついて必死に止めようとする。でも、やめるわけにはいかない。
「大丈夫。僕は冤罪だけはやらかさないから」
「ねえ、ノア!やめて!」
「ごめんね、やめない…こんなことになるなら最初から排除しておくべきだったね、ごめん」
ユリアを見つめる。ごめんね、ユリア。そのあと真っ直ぐルークとアリアに向き合う。
「一体俺たちに何の罪があるって?」
「…ああ、そうか。ルークは知らないうちに巻き込まれてたんだったな」
「え?」
ルークがアリアを見つめる。アリアは血の気が引いたような顔色になっている。
「ルーク、お前は他の貴族の贈賄やら不正やらを暴くことで王家に忠誠を示して家を盛り立てただろう?」
「ああ」
「それで伯爵家にまで上り詰めたよな」
「そうだが?」
「その噂や証拠の品は全部アリアからもらったんだよな」
「…ああ」
どんどんルークの顔色も悪くなる。まさか、という顔でアリアを見つめる。アリアは黙ったまま。いっそのこと自分から白状すればいいのに。
「それが捏造だって証言をまとめた資料や証拠の品もここにあるんだけど?」
「…え」
ルークが信じられないものを見る目でアリアを見つめる。今まで信じていた全てが根底から覆ったような、そんな絶望的な表情で。まあでも、お前の自業自得だよ。ユリアにちょっかいかけなければこうはならなかったんだから。
「アリア様、嘘ですよね?」
「…」
「アリア様!」
否定して欲しい、そんな必死の叫び。でもこれは影に調べさせた信用に足る証拠。諦めろ。
「わ、私はただノア様のお側にいたくて…そのための手駒が欲しかっただけなの!大体何年も前のことでしょう!時効よ!」
「そんな…!アリア様、なんてことを!」
ルークにとってのアリアは真面目で不正をそのままにしておけない高潔な人だったらしいしまあショックだよね。でもお前もユリアを傷つけたんだから当然の報いだよ。ざまあみろ。
「ルーク様…」
「!ユリちゃん、心配してくれるの…?」
「もちろんですわ。私達、お友達ですもの」
「…ユリちゃん、ごめん」
「え?」
「ごめん…!」
ルークがユリアに謝っているうちに王太子殿下が僕の持ってきた証拠に目を通し、アリアとルークを衛兵に連行させていった。ユリアは悲しそうな表情だ。僕がもっと早くに手を打っていたら…ごめんね、ユリア。
「ノア…」
「ごめんね、ユリア」
「いいの…私こそごめんなさい…」
「ユリアは何も悪くない」
ユリアをそっと抱きしめる。ユリアの涙は止まらない。ごめんね、ユリア。
「ご苦労様、ノア」
王太子殿下が僕に話しかけてくる。ユリアは急いで僕から離れようとするけど、僕は強く抱きしめて離さない。ユリアの泣き顔を見られるのは僕だけの特権だもの。
「の、ノア!」
「いえいえ、王太子殿下のお力になれたのなら幸いです」
「また心にもないことを…全部そこのユリアナ嬢のためだろう?」
「まあ、もちろんそれもあります」
「ちょっとノア!」
だって本当のことだもん!
「あはは。仲がいいようでなによりだ。この分だと噂は所詮噂ってことみたいだな。みんなー、あんまり根も葉もない噂を流しちゃだめだぞー。特に後ろ暗い所がある子はな」
冗談めかして仰る殿下だが、会場はシーンと静まり返る。そりゃそうだ。
「ま、これからもこの調子でよろしく頼む」
「仰せのままに」
そうして殿下は離れていく。会場は徐々に賑わいを取り戻していく。…が、もう変な噂は出てこない。ルークとアリアの話すら話題に上がらない。
「じゃ、ユリア、一緒に踊ろう!」
「え!ちょっと待って、ノア!」
強引に誘い一緒に踊る。ちょっと強引だけど、ユリアを励ますのにはこのくらいでちょうどいい。
「…ありがとう、ノア」
「どういたしまして!楽しいね、ユリア!」
「ええ、とっても!」
結局ユリアはルークがどんな目的で自分に近づいてきたのかは気付かなかったみたい。ユリアの純粋な心を守れてよかった!
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