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婚約の破談と新しい婚約者
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「アニエス、ちょっと話があるんだ」
「モーリス、どうしたの?」
私は生れながらの婚約者であるモーリスに、真剣な表情で話しを切り出される。
「申し訳ないが、婚約は解消して欲しいんだ」
「…え?ど、どうして?そんな、そろそろ結婚も近いのに」
突然の事態に、私の頭は追いつかない。
彼とは上手くいっていると思っていた。彼の両親もとても親切で、私達の関係を優しく見守ってくれていた。彼の弟妹達からも、早く本当の姉になって欲しいと言われていたのに。
「う、浮気したの?」
「違うんだ、えっと…本当にすまない。今説明する」
彼曰く、こういうことらしい。
彼の遠縁の親戚に、裕福な侯爵がいる。その一人娘と彼との婚約を打診されたそうだ。普通は生まれついての婚約者が優先されるはずだが、彼と彼の両親は爵位とお金に目が眩み私との婚約を解消することにしたらしい。
「ごめん。相場の倍は慰謝料を払うから。だから別れてくれないか。ずっと君と結婚するものだと思って生きてきたけれど、違う人生が提示された今はそちらの方を優先したくなったんだ」
ああ、私ってその程度なのか。彼の言葉が心に突き刺さり、息が苦しくなる。
「私はモーリスが好きよ。結婚をずっと夢みてた。モーリスは、私のことはなんとも思わないの?」
「ごめん、でも、仕方ないんだ。君に対する感情は、なんというか…妹、みたいで。恋愛対象としてというより家族みたいな感情で、結婚するのも不安だったんだ…」
あまりに酷い言葉に、泣きたくなる。
しかし、もうこうなればどうしようもないと諦めもついた。
父と母に婚約解消の打診があったことを伝えて、そのまま父と母に全部任せた。相場の倍の慰謝料をもらって、私の懐は潤った。
「あーあ、虚しいなぁ」
しばらく私は、屋敷に引きこもった。父も母も気遣ってくれるが、それどころではなかった。
しかしそんな日々を送るある日、私にも新しい縁談が舞い込んだ。
相手は傷心の私に寄り添ってくれる、優しい年上の男性。彼との顔合わせの日、不安だった私に彼は優しく微笑んで私のペースに合わせてくれた。
それからは時折、デートを重ねて少しずつ信頼関係を築いていった。冗談を言って笑わせてくれたり、一緒にはしゃいでくれたり。私はいつからか、モーリスへの気持ちが吹っ切れて新しい婚約者であるナルシス様を好きになっていた。
「ナルシス様!この子が今日、初めて歩いたんですよ!ほら!」
「わあ!すごいじゃないか!」
その後ナルシス様と私は結婚して、子宝にも恵まれた。モーリスと結婚していたら、きっとこんなに幸せはなかったと今は思う。
モーリスは結局あの後、件の女性の家に婿養子にいったそうだ。しかし後悔しているらしい。なんでも、件の女性は度を超えたわがまま娘だとか。婿養子として贅沢三昧な日々、なんて夢物語だったとのことだ。彼女が持ってきたトラブルの対処に追われる日々だと聞いた。
「やっぱり、誠実に生きる方が幸せになれるわよね」
「どうしたの?急に」
「なんでもないです。ただ、幸せを満喫しているだけですよ」
「ふふ、変なの」
今私は、モーリスと別れたおかげですごく幸せだ。
「モーリス、どうしたの?」
私は生れながらの婚約者であるモーリスに、真剣な表情で話しを切り出される。
「申し訳ないが、婚約は解消して欲しいんだ」
「…え?ど、どうして?そんな、そろそろ結婚も近いのに」
突然の事態に、私の頭は追いつかない。
彼とは上手くいっていると思っていた。彼の両親もとても親切で、私達の関係を優しく見守ってくれていた。彼の弟妹達からも、早く本当の姉になって欲しいと言われていたのに。
「う、浮気したの?」
「違うんだ、えっと…本当にすまない。今説明する」
彼曰く、こういうことらしい。
彼の遠縁の親戚に、裕福な侯爵がいる。その一人娘と彼との婚約を打診されたそうだ。普通は生まれついての婚約者が優先されるはずだが、彼と彼の両親は爵位とお金に目が眩み私との婚約を解消することにしたらしい。
「ごめん。相場の倍は慰謝料を払うから。だから別れてくれないか。ずっと君と結婚するものだと思って生きてきたけれど、違う人生が提示された今はそちらの方を優先したくなったんだ」
ああ、私ってその程度なのか。彼の言葉が心に突き刺さり、息が苦しくなる。
「私はモーリスが好きよ。結婚をずっと夢みてた。モーリスは、私のことはなんとも思わないの?」
「ごめん、でも、仕方ないんだ。君に対する感情は、なんというか…妹、みたいで。恋愛対象としてというより家族みたいな感情で、結婚するのも不安だったんだ…」
あまりに酷い言葉に、泣きたくなる。
しかし、もうこうなればどうしようもないと諦めもついた。
父と母に婚約解消の打診があったことを伝えて、そのまま父と母に全部任せた。相場の倍の慰謝料をもらって、私の懐は潤った。
「あーあ、虚しいなぁ」
しばらく私は、屋敷に引きこもった。父も母も気遣ってくれるが、それどころではなかった。
しかしそんな日々を送るある日、私にも新しい縁談が舞い込んだ。
相手は傷心の私に寄り添ってくれる、優しい年上の男性。彼との顔合わせの日、不安だった私に彼は優しく微笑んで私のペースに合わせてくれた。
それからは時折、デートを重ねて少しずつ信頼関係を築いていった。冗談を言って笑わせてくれたり、一緒にはしゃいでくれたり。私はいつからか、モーリスへの気持ちが吹っ切れて新しい婚約者であるナルシス様を好きになっていた。
「ナルシス様!この子が今日、初めて歩いたんですよ!ほら!」
「わあ!すごいじゃないか!」
その後ナルシス様と私は結婚して、子宝にも恵まれた。モーリスと結婚していたら、きっとこんなに幸せはなかったと今は思う。
モーリスは結局あの後、件の女性の家に婿養子にいったそうだ。しかし後悔しているらしい。なんでも、件の女性は度を超えたわがまま娘だとか。婿養子として贅沢三昧な日々、なんて夢物語だったとのことだ。彼女が持ってきたトラブルの対処に追われる日々だと聞いた。
「やっぱり、誠実に生きる方が幸せになれるわよね」
「どうしたの?急に」
「なんでもないです。ただ、幸せを満喫しているだけですよ」
「ふふ、変なの」
今私は、モーリスと別れたおかげですごく幸せだ。
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