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労働が楽になった

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この村はとてもいいところだ。

他の村と比べてかなり綺麗だし、上下水道も整備されている。マルセル公爵家様様だ。そんな村で羊飼いをやっているおらは、その日も病気で動かなくなった左手をぶらさげながら働いていた。

だから、マルセル公爵家のお嬢様、ミレイユ様からのお慈悲で魔法薬を受け取った時には歓喜した。これで子供らを両手で抱っこ出来る、左手が動くようになると。

ぐびっと飲んだ。魔法薬が身体に馴染むまでの間焦らされたが、本当に左手が動くようになった。

ミレイユ様から遣わされたルナという侍女様は、ミレイユ様に感謝して労働に励むようにと言い残して去っていった。

おら達は欠損や病気や怪我が有った者も、無かった者も集まって飲み終えて残った薬をどう使うか話し合った。そして、それを冒険者ギルドに売って、そのお金でミレイユ様を讃える像を村の中心に設置することに決めた。おら達は最大級のお慈悲に、最大級の敬意と忠誠で応えるのだ!

そして冒険者ギルドに魔法薬を売って、ミレイユ様を讃える像の制作を鍛治ギルドのお偉方に依頼。あっという間に村の中心に飾られたそれは、まさに天使の如き美しさ。今のお嬢様はちょっと太ったので、痩せている頃の肖像画を使って作ったらしいが、よく出来ていると思う。

ああ、いつか、ミレイユ様がこの村に視察に訪れた時、喜んでくださったらいいなぁ。

考えることは皆同じのようで、ふと目が合うとお互いに笑いあった。いつかそんな日が来ればいいなと肩を叩き合う。

そういえば、ミレイユ様はマルセル公爵領の中でも最も発展した街のスラムにも魔法薬を配られるとルナ様が言っていた。スラムの方では今、流行病の噂を聞く。きっとみんな、ミレイユ様のお慈悲に驚くだろうなぁ。
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