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妹はフェリクス様に手紙を送ってくるそうです

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今日は珍しく朝イチでフェリクス様がやってきた。しかもなんか苦虫を噛み潰したような表情をしている。

「ミレイ」

「はい、フェリクス様」

「癒して…」

いきなりフェリクス様に抱きしめられます。あまりにも力強く抱きしめられて苦しい。助けを求めるようにルナさんとエドを見るも、二人ともニヤニヤ笑って助けてくれない。もう!

「フェリクス様、どうしたんですか?」

「疲れた…」

「何かありましたか?話なら聞きますよ?」

私がそういうと、フェリクス様は私を離した。そこには困惑したような表情のフェリクス様がいた。

「本当は…君には黙っておこうと思ったんだけど…」

「はい?…もしかしてマノン関係ですか?」

「…うん」

「あー…すみません、ご迷惑をおかけします…」

そりゃあ言いづらいよね!フェリクス様ごめんなさい!

「いや、君は悪くないから…」

「いえいえ…それで、何があったんですか?」

「最近、鬼のように手紙を送りつけてくるんだよ。それこそ本当に机の上が手紙まみれになるほどに。しかも、全部今自分がどれだけ可哀想な目に遭っているかとか、ミレイユへの悪口ばかりで…自分がやらかした結果だろうに…なにか下手なことが書いてあったら大変だから目を通さない訳にも行かなくて、でも読む度ストレスがかかって、辛くて…ミレイ、癒して…」

私の頬をむにょむにょと弄るフェリクス様。

「お疲れ様です…」

「本当に疲れた…」

「フェリクス様、お父様とお母様にご相談致しましょう。そしたら妹への待遇が厳しくなって、手紙を送りつけてくる暇も無くなりますよ」

「…けれど、ご両親もマノンのことで頭を悩ませているじゃないか。あまり可愛そうなことはしたくない」

ああ、やっぱり皮肉屋さんではあるけれど、根は優しい人なんだなぁ。

「でも、フェリクス様がそれで心労が祟ったりしたら元も子もないじゃないですか。大丈夫。フェリクス様は一人でなんでも抱え込む必要はないんですよ」

「…ミレイ。ありがとう」

フェリクス様はまた私をぎゅっと抱きしめる。

「…なら、これからご両親の所に行ってくるね」

「私も行きましょうか?」

「いや…いい。悪口の内容があまりにも…行き過ぎだったから、君には聞かせられない」

一体何が書いてあったんだろう。フェリクス様の表情がかなり険しい。

「分かりました。じゃあ、待ってますね」

「うん、ありがとう」

その後、両親と話をしてきたフェリクス様は私をまたぎゅっと抱きしめてから帰った。ご迷惑をおかけします…。
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