悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

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ところで、歴史小説を覚えたのはいいけどまたお小遣いが一年分貯まってしまった。

これ、どうやって使い切ろう。

使わないと経済が回らないし、かと言って使い道もない。

「先生、先生」

「どうしました、お嬢様」

「たとえば養老院の環境整備っていくらかかります？」

「…かなり掛かりますね、今の養老院は倒壊寸前なのを私の魔術で補っている状態ですし」

「では、その後の養老院の維持には？」

「それなりにかかりますね」

「では、養老院のお年寄りへなにか職を斡旋するとしたら？たとえば、刺繍とか」

「…お年寄りの生き甲斐作りですか。指導も必要でしょうし、全部合わせて、お嬢様の一年分のお小遣いちょうどくらい………ですね」

おっし今回も使いきれそうだ。

ならば。

「一年間貯めっぱなしだったお小遣いです。これを使って先生の権力で養老院を支援してください」

「わかりました、任せてください」

「先生ありがとう！」

ということで私は、貯まりに貯まったお小遣いを見事に使い切った。

これで経済も回るでしょう、うん。
















お嬢様はやはり天才だ。

そしてお優しい。

養老院の再建のためにお小遣いを全て私に託した。

ならば私も頑張ろう。

私は私とお嬢様の名の下に養老院を再建し、維持して、お年寄りたちに生き甲斐を作った。

お年寄りへの指導者には信頼できる弟子たちを選んだ。

公爵家の養老院は、随分と立派になった。

職員たちもお年寄りたちも喜ぶ。

そしてお嬢様に密かに忠誠を誓っていた。

















儂は養老院に住むジジイ、ランスロット。

ぼろっちい養老院に住んで、ぼろっちい衣服を着て、美味しくないご飯を食べていた毎日だった。

ところがある日、お嬢様の温情だと言って養老院が新しくなった

衣服も新しくなった。

ご飯も栄養満点で美味しくなった。

「お嬢様…ありがとう」

お嬢様に、人知れず忠誠を誓う。

お嬢様にご恩返しするため、今日も刺繍を頑張って公爵家の収入を少しでも増やすべく働いた。