田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと

文字の大きさ
52 / 67

黒の少年に告白した

「あの、クロヴィス様」

「なんだ?」

むすっとしてしまう。大人気ない。

「その…ヤキモチを妬いてくれたんですか?」

「…ああ、そうだ」

かっこ悪いが、確かにこれはヤキモチだ。

「えっと…嬉しいです」

「え?」

「クロヴィス様にヤキモチ妬いて貰えて、僕すごく嬉しいです」

ニヤニヤしながらそう言うアリス。私は顔が真っ赤になる。

「…私にヤキモチを妬かれて嬉しい、のか?」

「はい!」

「…ああもう!」

私は頭を強く振る。思わずこの場で抱きしめたい衝動に駆られたからだ。告白して、想いが通じあってからでなければ。…そう。告白して。

「…アリス、いい加減私も覚悟を決める」

「クロヴィス様?」

「アリス、君が好きだ」

アリスが固まった。

「…えっと?」

「恋愛感情、という意味で」

「え、え?」

「君の気持ちを聞かせて欲しい」

アリスは顔が真っ赤になる。アリスはパニックになった様子で、その場から逃げ出した。

「く、クロヴィス様、僕ちょっと頭を冷やして来ます!」

「…アリスっ!」

追いかけたかったが、足が動かなかった。











「あーあ。お兄様、やっちゃった」

「何もこんなところで公開告白なさらなくてもよろしいですのに」

「悪手でしたね」

口々に責められてぐうの音も出ない。

「やってしまった…」

「アリスティアお兄ちゃん大丈夫かな」

「おそらくマリスビリーがいれば大丈夫ですよ」

義姉上は平然と言い放つ。

「とはいえ。アリスティアはあれで繊細な子ですから、混乱させるようなことはしないで欲しかったですけど」

「感情の色に喜びも混じってたからまあ百パーセントギルティとは言わないけどさぁ。お兄様もう少し冷静になれなかった?」

「は、初めて恋を自覚して…冷静でいられなかった」

義姉上達はぎょっとする。

「…まさかクロヴィス様、その見た目で初恋とか言いませんわよね?さぞモテモテでしょう?」

「…初恋です」

義姉上は頭を抱えた。

「焚きつけた私も悪かったですわ…申し訳ございません。てっきり百戦錬磨のつわものかと…」

「ハニー、その言い方はさすがにクロヴィス様もプライドとか色々傷つくから。ね?」

「あら。重ね重ね申し訳ございません」

「いえ…おかげさまでアリスへの気持ちを認めざるをえなくなりましたし。進展させるにはいい機会をもらいました。ただ、私が暴走してアリスを混乱させてしまったのは本当に申し訳ないのですが…」

アリスを好きだと認識したせいか、冷静になれなかった。恋とはこうもままならないものなのか。

「恋は、難しいですね」

「それはそうだよ、お兄様。お兄様ちょっと怖いくらいアリスティアお兄ちゃんのこと好きだもん。それをいきなりぶつけたら誰だって逃げるよ」

「え」

「お兄様って執着心強いんだね」

シエルに言われてなんとも情けなくて頭を抱える。

「つくづく申し訳ない…」

「ま、まあ、その方が却って弟を幸せにできそうですわ!」

「そ、そうですね。貴殿がそこまで執着心の塊だとはちょっと驚きましたが良いことではありませんか!浮気の心配もありませんし!」

シエルの言葉で義姉上達は若干引き気味だ。

「あ、でも。あの子を過度に束縛したりはしないでくださいね。あの子を幸せにできないなら返してもらいますから」

「…承知した。肝に命じます」

「とはいえ、ここからどう挽回しましょうか。マリスビリーという彼がある程度フォローしてくれているといいのですが」

「ダーリン。マリスビリーはアリスティアの幼馴染のようなものだし、あれで気は効くから心配いらないわ。あとはこっちのフォロー次第よ」

義姉上のどストレートな言葉に落ち込む。私は幼馴染以下か。

「…クロヴィス様」

「はい」

「こうなったらもう、逆に押せ押せで行っちゃいましょう!」

「え」

思わぬ言葉に固まる。

「だって、あの子の心のケアはマリスビリーに任せておけば大丈夫だし。あんな大胆な告白をしていきなりまた前までの態度に戻ったらあの子が余計に不安になるし。もう、こうなると押していくしか選択肢がないわ!」

「あー、アリスティアお兄ちゃんもコロコロ態度変わられたら不安に思うよね。お兄様、頑張ってアタックし続けてみよう!」

「もうそれしかありませんね。そうだ、女性の間で今流行っているラブロマンス小説を参考にしてみるとか。…いや、時間もないしアリスティア様は男性だしな」

「いやでもそれもアリかも」

そのままの流れでわちゃわちゃと、アリスに押せ押せで迫るという作戦の会議が開かれる。

「今流行りといえばアレだよね!壁ドン!」

シエルが無邪気な笑顔でものすごく勇気のいる作戦を提案してくる。

「そうね!壁ドンはいいかも。アリスティアもきっとときめくわ!」

「か、壁ドン…」

私に出来るだろうか。むしろその後、抑えが効くだろうか。

「あとは…優しいキスとかでしょうか。もちろん、唇は想いが通じあってからとして…頬とか手とか髪とか」

「まあそれもアリよね。どうせなら壁ドンした上でそれとか良くない?」

「わあ!かっこいいね!お兄様、やってみてよ!絶対アリスティアお兄ちゃん喜ぶよ!」

シエルは無邪気にはしゃぐが、そんなに上手く行くだろうか?さっきの告白も失敗したのに…とはいえ自分では妙案はない。アドバイスに従うべきだろうか?

「あとは…色っぽく耳元で囁くとか?」

「大人っぽーい!かっこいい!」

「壁ドン状態でそれなら逃げようもないし、いいかもしれませんね」

「アリスティアもおそらくはクロヴィス様とちゃんと向き合うつもりで戻って来るでしょうから、あの子にとってもクロヴィス様の本気が伝わっていいんじゃないかしら」

ということで、結局は作戦全部決行出来るならやってしまえという結論に至った。そこまでやって、俺の理性は保つだろうか。頑張って保たせよう。

「…マリスビリー、遅いわね。そろそろアリスティアを連れてくる頃だと思うのだけど」

「そろそろ帰ってくると思うよ!」

「クロヴィス様、頑張ってくださいね。上手くいけばラブラブカップルの成立ですよ」

「煽らないでください…!」

緊張する。けれど、ここまで来たら頑張って振り向かせる他ない。そしてマリスビリーがアリスを連れて戻ってきた。アリスは、すごく真剣な緊張した表情でこちらに向かって歩いてくる。目を合わせると一瞬真っ赤になって俯いたが、もう一度目を合わせて微笑んでくれた。
感想 19

あなたにおすすめの小説

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる

kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。 かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。 そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。 「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」 おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

発光食品
BL
『リュミエール王国と光の騎士〜愛と魔法で世界を救え〜』 そんないかにもなタイトルで始まる冒険RPG通称リュミ騎士。結構自由度の高いゲームで種族から、地位、自分の持つ魔法、職業なんかを決め、好きにプレーできるということで人気を誇っていた。そんな中主人公のみに共通して持っている力は光属性。前提として主人公は光属性の力を使い、世界を救わなければいけない。そのエンドコンテンツとして、世界中を旅するも良し、結婚して子供を作ることができる。これまた凄い機能なのだが、この世界は女同士でも男同士でも結婚することが出来る。子供も光属性の加護?とやらで作れるというめちゃくちゃ設定だ。 そんな世界に転生してしまった隼人。もちろん主人公に転生したものと思っていたが、属性は闇。 あれ?おかしいぞ?そう思った隼人だったが、すぐそばにいたこの世界の兄を見て現実を知ってしまう。 「あ、こいつが主人公だ」 超絶美形完璧光属性兄攻め×そんな兄から逃げたい闇属性受けの繰り広げるファンタジーラブストーリー

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました