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ショタジジイの気持ちを知る
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「今日は楽しかったな、イザベル」
夫婦の寝室で、二人でベッドに横たわってそんな話をする。
「すごく楽しかったです!ありがとうございます、ユルリッシュ様。ユルリッシュ様と一緒にいると、すごく楽しいことばかりです!」
「はは、それは良かった。俺も、イザベルと一緒にいると幸せだ」
…今日のユルリッシュ様はなんだかすごく甘い。
「…どうした?イザベル」
「えっと…」
「なんだ、言ってみろ」
「…その、あんまりにもユルリッシュ様が優しいから、勘違いしてしまいそうというか」
「勘違い?」
ユルリッシュ様は首をかしげる。自意識過剰みたいで、自分で言うのは恥ずかしいんだけど。
「その、ユルリッシュ様に愛されてるのかなぁ…みたいな…」
「?イザベルは俺に愛されているだろう?」
「博愛精神的な意味じゃなくて、あの…恋愛感情で」
「…だから、その意味で愛されているだろう?」
「え?」
私が…ユルリッシュ様に、恋愛感情の意味で愛される?
「…?」
理解が追いつかない。
「…よし、イザベル。寝るのは少し後にしよう。少し話し合いが必要らしい」
にっこり笑ってそう言われて、身体を起こして話を聞く体勢に入る。
「あのな、イザベル。俺はイザベルが好きだぞ?」
やっぱり、改めて言われてもよくわからなかった。
…わからないというか、わかりたくないというか。
そう、また裏切られたら怖いから、理解したくなかったのだ。けれど、ユルリッシュ様の透き通るような綺麗な声での愛の告白は、たしかに頭に残ってしまった。
夫婦の寝室で、二人でベッドに横たわってそんな話をする。
「すごく楽しかったです!ありがとうございます、ユルリッシュ様。ユルリッシュ様と一緒にいると、すごく楽しいことばかりです!」
「はは、それは良かった。俺も、イザベルと一緒にいると幸せだ」
…今日のユルリッシュ様はなんだかすごく甘い。
「…どうした?イザベル」
「えっと…」
「なんだ、言ってみろ」
「…その、あんまりにもユルリッシュ様が優しいから、勘違いしてしまいそうというか」
「勘違い?」
ユルリッシュ様は首をかしげる。自意識過剰みたいで、自分で言うのは恥ずかしいんだけど。
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そう、また裏切られたら怖いから、理解したくなかったのだ。けれど、ユルリッシュ様の透き通るような綺麗な声での愛の告白は、たしかに頭に残ってしまった。
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