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悪役令嬢に転生したので悪役令嬢らしく、みんなにお小言を言い続けていたらなんか溺愛されてました?
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「第二王子殿下!」
「あ、ああ。今度はどうした、マロン」
「貴方様はせっかく顔がいいんですから、もっとマナーに気を遣いなさいませ!」
「そ、そうか?そうか…わかった、気をつける」
ああ、今日もわたくし悪役令嬢らしく振る舞えてますわね!
この乙女ゲームの世界の悪役令嬢として転生したのですもの、きっちり役目をこなさなくては!
最近流行りの【虹の橋の先には】は同人乙女ゲームだ。
同人ゲームながら絶大な人気を誇る。
孤児院出身の平民であるヒロインが、貴族学院…貴族の子女が様々なことを学ぶ場に特待生として特別枠で入学。
そして様々な貴公子と恋に落ち、またストーリーの終盤では実はそんなヒロインが行方不明になっていた隣国の第二妃の産んだ正真正銘のお姫様だと発覚する。
あくまで側室の産んだ子で、隣国には正室の産んだ王太子がもういるので自由に結婚していいこととなり貴公子であるヒーローと無事に結ばれるオチになる。
「で、そのヒロインの名はメリザンド…攻略対象と仲良くなったら呼ばれる愛称はメリー」
メリーはピンクのふわふわの髪に赤い瞳の童顔美少女で、華奢で可愛い理想の女の子だ。
勉強でパラメーターを上げていけば才女にもなる。
「そしてわたくしは悪役令嬢【マドロン・ミシェル・マルタン】」
そう…何を隠そうわたくし、地球という世界の日本という国から転生してきた『転生悪役令嬢』なのである。
ちなみに死因は頭上から鉢植えが落下してきたという不幸な事故で誰も悪くない。
それはともかく…乙女ゲームの設定上マドロンは嫌味な性格で、婚約者である第二王子殿下にすらお小言ばかり。
もちろん使用人たちにだってお小言ばかり。
そして当然ヒロインにもお小言ばかり。
よくいるイヤーな悪役令嬢と違って虐めなどは行わないが、嫌味な性格で人をお小言で口撃し続けるので大差はないかもしれない。
だが幸いある意味的確なお小言ばかりしか言わなかったため断罪まではされず、ヒロインが第二王子ルートに行けば婚約解消、ヒロインが他のルートに行くならそのまま第二王子妃となる。
…嫌われ者ではあるけれど、そこまで酷いレベルで悪い子ではないのだ。
銀色のストレートのお髪に、美しすぎるほど整った顔立ち、少し目つきは悪いが澄んだ青色の瞳も綺麗だ。
そんな子に転生したわたくしは、そんな子に相応しい悪役令嬢として振る舞うことにした。
前世の知識チートを駆使して両親に学力テストを行ってもらい公爵家での勉強はほぼ免除され、そしてその後第二王子殿下の婚約者に選ばれてからも同じ要領で第二王子妃教育をほぼ免除された。
そしてことあるごとに両親や兄、第二王子殿下や侍女にお小言を言いまくった。
「お父様は働きすぎですわ!領民たちのために働く姿は素敵ですが、休息も取ってくださいまし!」
「お母様は美容にお金を使いすぎですわ!そんなことをせずとも美人で若々しいのですから、美容に使うお金は減らしてもっと有意義にお金を使いなさいませ!」
「お兄様は勉強のしすぎですわ!どうせ何をしたって完璧なんですから、それ以上頑張らずたまには息抜きしてくださいませ!」
「第二王子殿下の悪いところはすぐ諦めるところですわ!第二王子殿下はせっかく顔はかっこいいのですから、勉強も兄には敵わないとか言い訳せず頑張りなさいませ!」
「こら!貴女はわたくしの侍女ですのよ!仕事も完璧なのですからそう引っ込み思案にならず、もっと堂々となさい!」
これで悪役令嬢としての演技も完璧…さすがわたくし、お小言まで一流ですわ。
さらにヒロインが第二王子殿下のルートに行かなかった場合、予定通り第二王子になるのを想定して自由に使えるお小遣いはほぼほぼ孤児院と養老院に寄付している。
もちろん孤児院と養老院に慰問にも行って、そこでもお小言を披露しつつもおじいちゃんおばあちゃんに可愛がられ子供達に慕われる最強悪役令嬢になった。
その孤児院に例のヒロインもいるが、まあストーリーに影響はそこまで出るまい。
だってお小言はちゃんと披露してるからね!
他にも教会による棄民たち向けの炊き出しにも協力して教会からの支持を得たりと将来に向けての準備も完璧。
ヒロインが第二王子殿下のルートに行ったとして、婚約解消後もなんとかうまくやっていける下地にもなっているはず。
うーん、完璧!
あとは貴族学院での生活のスタートを待つだけですわ!
そして迎えた十六歳。
貴族学院への入学の歳だ。
なお卒業は十八歳。
そこでわたくしは、ヒロインと出会った。
「あ、マロンお嬢様!ご入学おめでとうございます!」
「あらご入学おめでとう、メリー。ですが貴女、制服のリボンが曲がっていましてよ!新入生だからこそ、しっかりなさい!」
お小言を言ってリボンを直してやる。
するとメリーは顔を赤くした。
屈辱的だったのだろう。
『マロンお嬢様、また私なんかのために注意して下さった…なんて慈悲深い方なんだろう…!』
そしてそこに第二王子殿下が現れた。
「マロン、入学おめでとう」
「第二王子殿下、ご入学おめでとうございます」
「その子は?」
「この子はわたくしが常々話していた見所のある孤児院出身の平民ですわ」
「ああ。マロンがよく話していた子か」
わたくしはヒロインのため、色々なヒロインのいいところを第二王子殿下にことあるごとに話していた。
そのため第二王子殿下の彼女への評価は高いだろう。
ちなみに第二王子殿下は黒髪黒目というこの国では王族のみに現れる色を宿した超美形男子だ。
黒髪黒目だから、前世の祖国日本を思い出してしまう時がある。
だから第二王子殿下のことは結構好きだ。
「マロンがいつもお世話になっているな、俺は第二王子のレオナール・アレクサンドル・ターフェルルンデだ」
「私はメリザンドです、よろしくお願いします!でも、あの、いえ、むしろ私がいつもマロンお嬢様にお世話になっていて…!」
「聞いてるぞ、勉強にもスポーツにも魔術にも真面目に打ち込む優等生だと」
「いえいえそんな…!恐縮です!」
『マロンお嬢様、私なんかをそんなに評価してくださってたんだ…!』
さすがわたくし、第二王子殿下とヒロインの橋渡しも完璧ですわ!
「マロン、そろそろ行こう」
「ええ、ではメリー。入学式でも他の方々に失礼のないように」
「は、はい!」
『マロンお嬢様、こんな私が貴族の学校で孤立しないように気を遣ってくださるんだ…!すごい優しい…!』
こうしてわたくしの悪役令嬢物語はいよいよスタートを切った。
「第二王子殿下」
「どうした、マロン」
「学業成績トップなんて素晴らしいですわ!」
第二王子殿下は、わたくしとメリーと並んで学業成績トップを収めていた。
あれ、なんかおかしい。
第二王子殿下は成績は悪いはずなんだけど…。
まあでも成績がいい分にはいいか。
「マロンこそ学業成績トップとはさすがだな」
「当然ですわ」
「ふふ、マロンらしい…俺はそんなお前の『お小言』のおかげで、学業成績も魔術成績もスポーツ成績もトップなんだぞ」
「さすがですわね。でも油断してはいけませんわよ?わたくしもその全てにおいてトップなんですから」
「わかってるよ」
ふふん、ここでもわたくしの悪役令嬢の演技が光る。
そろそろヒロインが来るはず…!
「あ、マロンお嬢様!第二王子殿下も、ごきげんよう!学業成績、魔術成績、スポーツ成績ともにトップおめでとうございます!」
「ありがとう、君こそ学業成績と魔術成績のトップおめでとう」
「メリー、ダメじゃない。スポーツ成績もトップを取らないと」
「す、すみませんマロンお嬢様…」
ふふ、これでまたわたくしの第二王子殿下からの評価は落ち、ヒロインの評価が上がるはずですわ!
さすがはわたくし!
『マロンお嬢様…そんなに私に期待して下さってたんだ…嬉しい!!!』
『マロンはなにやっても可愛いな…』
物語の終盤である学院の卒業式が楽しみですわ!!!
そして迎えた学院の卒業式。
だが、婚約解消イベントは起こらなかった。
むしろヒロインは誰ともくっつかなかった。
…なんでぇ?!
幸い隣国の王女様だと判明するイベントは発生して、見事隣国の王女様に返り咲いたのでそれは良かったけど。
「あ、あの、第三王女殿下」
「はい、マロンお嬢様」
「婚約者とかは…」
「あ、私隣国の…祖国の侯爵家の後継さんに輿入れすることになりました!」
「そ、そう。良い人ですの?」
わたくしが恐る恐る聞くと、とびきりの笑顔が見られた。
『…マロンお嬢様、そこまで心配してくださるなんて嬉しいな』
「はい、もちろんです!優秀で、優しくて、紳士で、イケメンで、イケボで、非の打ちどころのない人です!」
「それなら良かったですわ…隣国では上手くやっていけそうですの?」
「はい、この貴族学院で色々なマナーや教養を覚えましたから!全部マロンお嬢様のおかげです!」
「そうですの…」
なら良かった。
上手くわたくしが悪役令嬢を出来なかったせいで可哀想な思いをさせないか不安だったが、大丈夫そうだ。
『マロンお嬢様、心底ほっとしてくださってる。本当に心配してくださってたんだ、こんなにも…私はなんて幸せ者だろう』
「マロンお嬢様、私、本当に幸せです」
「本当に?ならよかった」
本当に良かった、本当に。
悪役令嬢としての役目は上手く出来なかったかも知れないけれど、ヒロインが本当に幸せならそれでいい。
「でも、マロンお嬢様。時々、マロンお嬢様に会いにきても良いですか?文通もしたいです」
「それはもちろんですわ」
隣国との良い交流にもなりそうですし、これからはメリーにキツく当たる必要もないから友達になれそうですもの!
『マロンお嬢様、本当に嬉しそうに微笑んでくださった…受け入れていただけて、本当に嬉しい…』
「では、第三王女殿下。ごきげんよう」
「ごきげんよう、マロンお嬢様」
こうしてヒロインは隣国に旅立っていった。
「寂しいか?マロン」
「え?」
「第三王女殿下がいなくなってから、覇気がない」
「そう…ですわね。少し寂しいですわ」
わたくしがそう言えば、第二王子殿下はわたくしの頬にキスをした…え、なんで!?
「…!?」
「俺の最愛の人、どうか悲しまないでくれ」
「は、最愛!?」
「ん?なんだ伝わってなかったのか?…それは少し残念だ」
第二王子殿下はもう一度わたくしの、今度は額にキスをした。
「お前は俺の最愛だよ、お前が俺を愛してくれたように」
「!?」
なんでそんな解釈をされてますの!?
ま、まあたしかに憎からず思っていますけれども!
ま、まだ愛しては…いや、たしかに途中からヒロインが第二王子殿下のルートに行かないといいなとは思い始めてましたけれども!!!
「愛してる。俺と結婚してくれるか?」
「そ、それはもちろんですわ」
「お前の口からも愛を聞きたい」
「…、あ、愛してますわ」
どうしよう。
言ったら自覚してしまった。
本当にわたくしは、この人を愛している。
今まではヒロインのために気持ちに蓋をしていただけだったのだ。
「結婚式が楽しみだな」
「ええ、そうですわね」
「…本当に愛してる。ここまで支えてくれて、ありがとう」
「わたくしこそ…こんな素敵なハッピーエンドを、ありがとうございます」
第二王子殿下はきょとんとして、それから言った。
「ハッピーエンドはまだまだ先だぞ。これからもずっと一緒なんだから」
「…はい!」
こうしてわたくしは悪役令嬢なのに役目を全うできず、でもみんな幸せ大団円になったのでした。
「あ、ああ。今度はどうした、マロン」
「貴方様はせっかく顔がいいんですから、もっとマナーに気を遣いなさいませ!」
「そ、そうか?そうか…わかった、気をつける」
ああ、今日もわたくし悪役令嬢らしく振る舞えてますわね!
この乙女ゲームの世界の悪役令嬢として転生したのですもの、きっちり役目をこなさなくては!
最近流行りの【虹の橋の先には】は同人乙女ゲームだ。
同人ゲームながら絶大な人気を誇る。
孤児院出身の平民であるヒロインが、貴族学院…貴族の子女が様々なことを学ぶ場に特待生として特別枠で入学。
そして様々な貴公子と恋に落ち、またストーリーの終盤では実はそんなヒロインが行方不明になっていた隣国の第二妃の産んだ正真正銘のお姫様だと発覚する。
あくまで側室の産んだ子で、隣国には正室の産んだ王太子がもういるので自由に結婚していいこととなり貴公子であるヒーローと無事に結ばれるオチになる。
「で、そのヒロインの名はメリザンド…攻略対象と仲良くなったら呼ばれる愛称はメリー」
メリーはピンクのふわふわの髪に赤い瞳の童顔美少女で、華奢で可愛い理想の女の子だ。
勉強でパラメーターを上げていけば才女にもなる。
「そしてわたくしは悪役令嬢【マドロン・ミシェル・マルタン】」
そう…何を隠そうわたくし、地球という世界の日本という国から転生してきた『転生悪役令嬢』なのである。
ちなみに死因は頭上から鉢植えが落下してきたという不幸な事故で誰も悪くない。
それはともかく…乙女ゲームの設定上マドロンは嫌味な性格で、婚約者である第二王子殿下にすらお小言ばかり。
もちろん使用人たちにだってお小言ばかり。
そして当然ヒロインにもお小言ばかり。
よくいるイヤーな悪役令嬢と違って虐めなどは行わないが、嫌味な性格で人をお小言で口撃し続けるので大差はないかもしれない。
だが幸いある意味的確なお小言ばかりしか言わなかったため断罪まではされず、ヒロインが第二王子ルートに行けば婚約解消、ヒロインが他のルートに行くならそのまま第二王子妃となる。
…嫌われ者ではあるけれど、そこまで酷いレベルで悪い子ではないのだ。
銀色のストレートのお髪に、美しすぎるほど整った顔立ち、少し目つきは悪いが澄んだ青色の瞳も綺麗だ。
そんな子に転生したわたくしは、そんな子に相応しい悪役令嬢として振る舞うことにした。
前世の知識チートを駆使して両親に学力テストを行ってもらい公爵家での勉強はほぼ免除され、そしてその後第二王子殿下の婚約者に選ばれてからも同じ要領で第二王子妃教育をほぼ免除された。
そしてことあるごとに両親や兄、第二王子殿下や侍女にお小言を言いまくった。
「お父様は働きすぎですわ!領民たちのために働く姿は素敵ですが、休息も取ってくださいまし!」
「お母様は美容にお金を使いすぎですわ!そんなことをせずとも美人で若々しいのですから、美容に使うお金は減らしてもっと有意義にお金を使いなさいませ!」
「お兄様は勉強のしすぎですわ!どうせ何をしたって完璧なんですから、それ以上頑張らずたまには息抜きしてくださいませ!」
「第二王子殿下の悪いところはすぐ諦めるところですわ!第二王子殿下はせっかく顔はかっこいいのですから、勉強も兄には敵わないとか言い訳せず頑張りなさいませ!」
「こら!貴女はわたくしの侍女ですのよ!仕事も完璧なのですからそう引っ込み思案にならず、もっと堂々となさい!」
これで悪役令嬢としての演技も完璧…さすがわたくし、お小言まで一流ですわ。
さらにヒロインが第二王子殿下のルートに行かなかった場合、予定通り第二王子になるのを想定して自由に使えるお小遣いはほぼほぼ孤児院と養老院に寄付している。
もちろん孤児院と養老院に慰問にも行って、そこでもお小言を披露しつつもおじいちゃんおばあちゃんに可愛がられ子供達に慕われる最強悪役令嬢になった。
その孤児院に例のヒロインもいるが、まあストーリーに影響はそこまで出るまい。
だってお小言はちゃんと披露してるからね!
他にも教会による棄民たち向けの炊き出しにも協力して教会からの支持を得たりと将来に向けての準備も完璧。
ヒロインが第二王子殿下のルートに行ったとして、婚約解消後もなんとかうまくやっていける下地にもなっているはず。
うーん、完璧!
あとは貴族学院での生活のスタートを待つだけですわ!
そして迎えた十六歳。
貴族学院への入学の歳だ。
なお卒業は十八歳。
そこでわたくしは、ヒロインと出会った。
「あ、マロンお嬢様!ご入学おめでとうございます!」
「あらご入学おめでとう、メリー。ですが貴女、制服のリボンが曲がっていましてよ!新入生だからこそ、しっかりなさい!」
お小言を言ってリボンを直してやる。
するとメリーは顔を赤くした。
屈辱的だったのだろう。
『マロンお嬢様、また私なんかのために注意して下さった…なんて慈悲深い方なんだろう…!』
そしてそこに第二王子殿下が現れた。
「マロン、入学おめでとう」
「第二王子殿下、ご入学おめでとうございます」
「その子は?」
「この子はわたくしが常々話していた見所のある孤児院出身の平民ですわ」
「ああ。マロンがよく話していた子か」
わたくしはヒロインのため、色々なヒロインのいいところを第二王子殿下にことあるごとに話していた。
そのため第二王子殿下の彼女への評価は高いだろう。
ちなみに第二王子殿下は黒髪黒目というこの国では王族のみに現れる色を宿した超美形男子だ。
黒髪黒目だから、前世の祖国日本を思い出してしまう時がある。
だから第二王子殿下のことは結構好きだ。
「マロンがいつもお世話になっているな、俺は第二王子のレオナール・アレクサンドル・ターフェルルンデだ」
「私はメリザンドです、よろしくお願いします!でも、あの、いえ、むしろ私がいつもマロンお嬢様にお世話になっていて…!」
「聞いてるぞ、勉強にもスポーツにも魔術にも真面目に打ち込む優等生だと」
「いえいえそんな…!恐縮です!」
『マロンお嬢様、私なんかをそんなに評価してくださってたんだ…!』
さすがわたくし、第二王子殿下とヒロインの橋渡しも完璧ですわ!
「マロン、そろそろ行こう」
「ええ、ではメリー。入学式でも他の方々に失礼のないように」
「は、はい!」
『マロンお嬢様、こんな私が貴族の学校で孤立しないように気を遣ってくださるんだ…!すごい優しい…!』
こうしてわたくしの悪役令嬢物語はいよいよスタートを切った。
「第二王子殿下」
「どうした、マロン」
「学業成績トップなんて素晴らしいですわ!」
第二王子殿下は、わたくしとメリーと並んで学業成績トップを収めていた。
あれ、なんかおかしい。
第二王子殿下は成績は悪いはずなんだけど…。
まあでも成績がいい分にはいいか。
「マロンこそ学業成績トップとはさすがだな」
「当然ですわ」
「ふふ、マロンらしい…俺はそんなお前の『お小言』のおかげで、学業成績も魔術成績もスポーツ成績もトップなんだぞ」
「さすがですわね。でも油断してはいけませんわよ?わたくしもその全てにおいてトップなんですから」
「わかってるよ」
ふふん、ここでもわたくしの悪役令嬢の演技が光る。
そろそろヒロインが来るはず…!
「あ、マロンお嬢様!第二王子殿下も、ごきげんよう!学業成績、魔術成績、スポーツ成績ともにトップおめでとうございます!」
「ありがとう、君こそ学業成績と魔術成績のトップおめでとう」
「メリー、ダメじゃない。スポーツ成績もトップを取らないと」
「す、すみませんマロンお嬢様…」
ふふ、これでまたわたくしの第二王子殿下からの評価は落ち、ヒロインの評価が上がるはずですわ!
さすがはわたくし!
『マロンお嬢様…そんなに私に期待して下さってたんだ…嬉しい!!!』
『マロンはなにやっても可愛いな…』
物語の終盤である学院の卒業式が楽しみですわ!!!
そして迎えた学院の卒業式。
だが、婚約解消イベントは起こらなかった。
むしろヒロインは誰ともくっつかなかった。
…なんでぇ?!
幸い隣国の王女様だと判明するイベントは発生して、見事隣国の王女様に返り咲いたのでそれは良かったけど。
「あ、あの、第三王女殿下」
「はい、マロンお嬢様」
「婚約者とかは…」
「あ、私隣国の…祖国の侯爵家の後継さんに輿入れすることになりました!」
「そ、そう。良い人ですの?」
わたくしが恐る恐る聞くと、とびきりの笑顔が見られた。
『…マロンお嬢様、そこまで心配してくださるなんて嬉しいな』
「はい、もちろんです!優秀で、優しくて、紳士で、イケメンで、イケボで、非の打ちどころのない人です!」
「それなら良かったですわ…隣国では上手くやっていけそうですの?」
「はい、この貴族学院で色々なマナーや教養を覚えましたから!全部マロンお嬢様のおかげです!」
「そうですの…」
なら良かった。
上手くわたくしが悪役令嬢を出来なかったせいで可哀想な思いをさせないか不安だったが、大丈夫そうだ。
『マロンお嬢様、心底ほっとしてくださってる。本当に心配してくださってたんだ、こんなにも…私はなんて幸せ者だろう』
「マロンお嬢様、私、本当に幸せです」
「本当に?ならよかった」
本当に良かった、本当に。
悪役令嬢としての役目は上手く出来なかったかも知れないけれど、ヒロインが本当に幸せならそれでいい。
「でも、マロンお嬢様。時々、マロンお嬢様に会いにきても良いですか?文通もしたいです」
「それはもちろんですわ」
隣国との良い交流にもなりそうですし、これからはメリーにキツく当たる必要もないから友達になれそうですもの!
『マロンお嬢様、本当に嬉しそうに微笑んでくださった…受け入れていただけて、本当に嬉しい…』
「では、第三王女殿下。ごきげんよう」
「ごきげんよう、マロンお嬢様」
こうしてヒロインは隣国に旅立っていった。
「寂しいか?マロン」
「え?」
「第三王女殿下がいなくなってから、覇気がない」
「そう…ですわね。少し寂しいですわ」
わたくしがそう言えば、第二王子殿下はわたくしの頬にキスをした…え、なんで!?
「…!?」
「俺の最愛の人、どうか悲しまないでくれ」
「は、最愛!?」
「ん?なんだ伝わってなかったのか?…それは少し残念だ」
第二王子殿下はもう一度わたくしの、今度は額にキスをした。
「お前は俺の最愛だよ、お前が俺を愛してくれたように」
「!?」
なんでそんな解釈をされてますの!?
ま、まあたしかに憎からず思っていますけれども!
ま、まだ愛しては…いや、たしかに途中からヒロインが第二王子殿下のルートに行かないといいなとは思い始めてましたけれども!!!
「愛してる。俺と結婚してくれるか?」
「そ、それはもちろんですわ」
「お前の口からも愛を聞きたい」
「…、あ、愛してますわ」
どうしよう。
言ったら自覚してしまった。
本当にわたくしは、この人を愛している。
今まではヒロインのために気持ちに蓋をしていただけだったのだ。
「結婚式が楽しみだな」
「ええ、そうですわね」
「…本当に愛してる。ここまで支えてくれて、ありがとう」
「わたくしこそ…こんな素敵なハッピーエンドを、ありがとうございます」
第二王子殿下はきょとんとして、それから言った。
「ハッピーエンドはまだまだ先だぞ。これからもずっと一緒なんだから」
「…はい!」
こうしてわたくしは悪役令嬢なのに役目を全うできず、でもみんな幸せ大団円になったのでした。
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