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本当の悪役令嬢はどっちでしょうね
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私はソフィア!
この乙女ゲームの世界に転生した転生ヒロイン!
金髪赤目の華奢で守ってあげたくなるような超絶美少女!
前世では万引きをして、店員さんに見つかって…逃げていたら信号無視したせいで車に轢かれて死んじゃったの!
可哀想でしょう?
だけどおかげでこの乙女ゲームの世界にヒロインとして転生できたから、お得かもね!
「ソフィア、今日も可愛いね。君に似合うと思ってドレスを買ったんだ。今度着ておくれ」
「もう、リチャードったら…ありがとう」
この国の王太子であるリチャードが、私のためにドレスをくれる。
「ソフィア、はい、これプレゼント。イヤリングだよ、きっと君に似合う」
「リュカ、ありがとう!」
この国の第二王子であるリュカが、私のためにイヤリングをくれる。
「ソフィア、このバッグと財布を受け取って欲しい。そしていつでも俺を感じて」
「ふふ。レオナルドらしいわね、ありがとう!」
この国の侯爵令息であるレオナルドが、私のためにバッグと財布をくれる。
この三人…リチャードと、リュカ、レオナルドを全員攻略したけれど、残念ながらこの乙女ゲームに逆ハーレムエンドはない。
最終的には誰かを選ばないといけないけど…私はリュカを選ぶ。
リチャードは銀髪に青い瞳の超絶美形だけど、まだ婚約してもいない女の子にドレスを送ってくるような変態だし。
レオナルドは赤い髪に赤い瞳のイケメンだけど、やっぱりいつでも俺を感じてとかちょっと変態だし。
その点リュカは銀髪に緑の目の可愛い系で、変態じゃないし。
第二王子のリュカはヒロインと結ばれると、王位継承権を返上して公爵となる。
王太子妃は面倒だし、貴族の中では一番偉くなるからリュカがいいよね!
そうして貴族学園の卒業式にリュカを選ぼうと決めて準備を進めていたのだけど…
まさかあんなことになるなんて。
私はレベッカ。
この乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生した。
ピンクの髪に青い瞳のボンキュッボンでナイスバディーな、一見ヒロインのようなビジュアルだがこの世界においては悪役令嬢なのだ。
私はどうしても悪役令嬢になりたくなくて、必死にもがいてきた。
だって、悪役令嬢になったらヒロインを虐めた罰で牢に入れられるから。
だから知識チートで優秀さを幼い頃から見せつけて親を驚かせて喜ばせて勉強は免除してもらい、その分の時間を婚約者との仲を深めるために使った。
けれど婚約者であるレオナルドは私が優秀すぎるあまりに引け目を感じると言って私を遠ざけた。
そしてヒロインと恋に落ちた。
私は誓って悪役令嬢のような振る舞いはしなかったが、相手は転生ヒロインだったようで虐めをしたことにされた。
濡れ衣だ。
それは私だけでなく、リチャード殿下やリュカ殿下のルートの悪役令嬢…彼らの婚約者も同じ。
私たち三人は濡れ衣を着せられた。
それぞれの婚約者は、みんな私たちを信じてくれなかった。
リチャード殿下の婚約者であるステラ様も、婚約者に最低だと詰られ。
リュカ殿下の婚約者であるリリス様も、婚約者に断罪してやると罵られ。
レオナルド様の婚約者である私レベッカも、君はそんな女なんだなと散々婚約者に嫌味を言われた。
ステラ様は黒髪黒目の豊満な肉付きの色っぽい方で、リリス様は緑のお髪に青い目のスレンダーな方。
どちらもすごくお美しいのに、私だって今世は結構良い感じのビジュアルなのに、殿方はなんであんな性格最悪のヒロインもどきを選ぶのか。
ちなみに私以外の二人の悪役令嬢は転生者ではなさそうだが、ほぼ境遇は一緒。
そしてこのままでは、私たち三人は貴族牢にいれられる。
幸か不幸か、乙女ゲームの設定では家族にまでは責任は及ばないが…娘が牢になんて入れられたら、それだけで醜聞だ。
なんとかしないと…。
ということで共闘することになった私たちは、今から三人で作戦会議をします。
「なにか良い案はある?」
「私が国内で頼れる人は家族だけよ。友達…というより取り巻きみたいな連中は信用できない」
「同じく」
「同じくよ」
「だから、私考えたの」
ステラ様は言った。
「隣国の第三王子…私の従兄のシャルルお従兄様に助けてもらいませんこと?」
「隣国のシャルル第三王子殿下ですの?」
リリス様はお目目をぱちぱちする。
なるほど、彼は人の嘘を暴ける能力があるという。
それを使えば、あのヒロインと私たちのどちらが嘘つきかわかるというもの。
「王太子殿下たちは貴族学院での次のダンスパーティーで私たちを公開断罪する計画らしいわ」
「なにそれ性格悪いわね」
「公開でやるとか、たとえ本当に虐めがあったとしても酷すぎるわよ」
「まあ私たち、いじめなんてしてないけどね」
「本当にあの子、私たちを悪者にしてまで殿方に近付くとか最低よね」
ともかく作戦は決まった。
ステラ様の従兄であるシャルル第三王子殿下に、存分に助けていただこう。
「でもいつにする?」
「それこそ公開断罪の時に断罪返ししましょうよ」
「いいわね」
こうして私たちは、むしろ断罪の日を楽しみにするようになった。
そして待ちに待ったダンスパーティー。
彼らはお約束よろしく、ダンスパーティーの会場のど真ん中で私たちを断罪し始めた。
「ステラ!君には失望したぞ!ソフィアを虐めるだなんて!」
「リリス!君にもがっかりした!ソフィアに暴力を振るったなんて!」
「レベッカ!君はそんなにも優秀なのに、心は醜いんだな!ソフィアを殺そうとするなんて!」
段々話が壮大になってきたな…殺そうとするってなにさ。
「あの、殺そうとする、とは?」
「昨日ソフィアを階段から突き落としただろう!」
「痛かったですぅ…」
「…あの、その割にピンピンしていらっしゃるような」
「打ち所が良かっただけですぅ!!!」
さて、そろそろ嘘センサーには引っかかるかな?
「それは嘘だね」
ダンスパーティーの会場のど真ん中に一人の美形な男性が現れる。
白髪に金の瞳の、線は細いながらも鍛えているのがわかる美しい男性…シャルル第三王子殿下だ。
「あれは隣国の第三王子…シャルル第三王子殿下!?」
「どうしてこちらに!?」
「ああそうか!シャルル第三王子殿下はステラ様の従兄で、ステラ様と仲がいいと聞くからそれで来たのか!」
「それにしても美しいお方…」
「第三王子殿下は婚約者もまだ決まっていませんのよね…第三王子という身軽さから、婚約者は自分で決めていいと言われているのだとか」
そういえば、あんなに綺麗な人だけどまだ婚約者がいないんだった。
美形なのになぁ。
「彼の方は人の嘘を暴ける能力があるというぞ」
「あの金の目が嘘を暴くんだったか」
「逆に彼の方が嘘をつくと金の目は失われ、視力もなくなり嘘がわからなくなると言われているな」
「今も金の瞳は輝いているな」
「ということは、ソフィア嬢の打ち所が良かっただけというのは嘘…?」
そうそう、その通り。
「そういうことだよ。その性悪女の嘘だ」
美形なシャルル第三王子殿下だがお口は悪いらしい。
「性悪女って!!!」
「だって、立場ある男性に言い寄るためにその男性の婚約者を嘘で貶めるとか性悪だろう?」
「あんたになにがわかるのよ!」
「嘘がわかる。君は嘘をついている。階段から落とされたと言うのも、暴力を振るわれたというのも、虐められたというのもみんな嘘だね」
シャルル第三王子殿下は容赦がない。
そしてその瞳は金に輝いている。
「それと、その性悪女を虐めたと言われるステラ、リリス嬢、レベッカ嬢。みーんな取り巻きの女の子たちにすらソフィアを虐めるなと言い聞かせてむしろ守ってあげていたよ」
その瞳はまだ金に輝いている。
「そんなふうに守ってくれた相手をよくもまあ…本当に醜い女だね、君」
「わ、私は、私はっ…」
「…なぁ、ソフィア、彼が言っていることは本当なのかい?」
「ソフィア、嘘だよね?」
「ソフィア…違うと言ってくれ」
三人の貴公子が一人の女の子に縋り付く様は見ていて気持ちが悪い。
「うわ、キッショ」
…シャルル第三王子殿下は、やっぱりお口が悪い。
「そこまで!!!」
「その声は…国王陛下!?」
いるはずのない人が現れて一瞬騒つく。
だがすぐにみんなが臣下の礼をとる。
ソフィアとレオナルド様も慌てて臣下の礼をとった。
リチャード殿下とリュカ殿下は困惑した表情を見せる。
「貴様ら、政略結婚をなんだと捉えている!?勝手に今日婚約破棄を行おうとしたそうだな!そもそも婚約者を公衆の面前で断罪しようとは、バカか!?」
「いやそれは…」
「ソフィアに騙されてて…」
「そんなもの言い訳にもならんわ!!!…とはいえ、私も鬼ではない。婚約破棄はそれぞれ三組のカップルにさせてやろうではないか」
「え」
国王陛下が大声で言い放つ。
「お前たち三馬鹿の有責でな!!!レオナルド、貴様は貴様の親次第で処遇が変わるが、罪は重いぞ覚悟しておけ!」
「そ、そんな…」
「で、我がバカ息子たち!貴様らは断種の上教会に出家させる!!!」
「は!?」
「なんで!?」
国王陛下の顔がさらに厳しくなる。
「なんでもなにも、貴様らがやらかしたからだ馬鹿!幸い我が国の第三王子はまとも故跡取りには困らん!なんの心配もなく世俗と縁を切るんだな!!!」
「そんなぁ…」
「酷い…」
「たわけ!酷いのはご令嬢方を公開断罪しようとした貴様らだ!…シャルル第三王子殿下、巻き込んですまなかった」
「いえいえ、お構いなく。性悪に唆された三馬鹿の断罪を見られて楽しかったですよ」
国王陛下はため息をつく。
「貴殿は本当に素直と言うか…だからこそのその瞳なのだろうがな」
「で、性悪の断罪は?」
「もちろんする。騎士達よ、その女を捕えろ!我が国の王子たちを誑かしたのだ、不敬罪で終身刑とする!」
「え!?い、いやよ離して!!?」
しばらく暴れたがぐったりして騎士に捕まった彼女に、私こと悪役令嬢レベッカは近付いた。
そして耳元で囁く。
「本当の悪役令嬢はどっちでしょうね?」
「このクソアマァ!!!やっぱり転生者かぁ!!!邪魔しやがってぇ!!!!!」
まあ暴れ出したがそっと離れて放置。
みんななにを言ったんだろうって顔をしているが教える気はない。
テンセイシャってなに?って顔の人もいるが教えない。
「皆の者、すまなかった。罪人たちはこちらで連れて行く故、皆はダンスパーティーを仕切り直ししてくれ」
ということで、ソフィアとリチャード殿下、リュカ殿下とレオナルド様は連行されていった。
ちなみにレオナルド様の処遇はもう決まっていて、断種の上廃嫡である。
全員ざまぁ!!!
さてこの日間の騒動でフリーになったステラ様とリリス様と私。
騒動を一緒に乗り切ったことで仲良くなって、一緒に遊ぶことが増えた。
その中でステラ様やリリス様、私の身内の独身男性とも交流することが自然と増えて、ステラ様はリリス様の兄と、リリス様は私の弟と、私はなんとシャルル様と婚約が決まった。
「いやぁ、ラッキーだったよねぇ。あんな三馬鹿と早々に縁が切れて」
「まあ、皆様それぞれ新たに幸せな婚約を結べましたしね」
「君は?」
「幸せですよ」
「ふふ、嘘じゃないみたいだね。でも、なんで僕のプロポーズを受けてくれたの?」
不思議そうな顔で聞かないで欲しい。
「プロポーズを受け入れられない前提でプロポーズしてきたのですか?」
「うん、受け入れてもらえるまで毎日プロポーズしようと思ってたら、一発で受け入れられたからびっくりした」
「それはそれで怖いですって…なんでもなにも、こんなに美しい人他にいないと思って」
「顔?」
「顔も髪も声も身体付きも、あとステラ様に乞われたらすぐ駆けつける心根も、それから正直者なところも…全部美しいです。口の悪さ以外」
きょとんとしたシャルル様。
そして急にボッと頬が赤くなった。
「そ、そんなに僕のこと気に入ったの?」
「はい、もちろんです」
「…嘘じゃないみたいだね」
「シャルル様はどうして私を選んだんですか?」
「…強い女性だなと思って」
強いとは、はて。
「あの時、あの性悪女が騎士に捕まった時だよ。なんか言って発狂させてたじゃん。なに言ったか知らないけど、強いなって思って。なんとなく興味を惹かれて。でも交流しているたび、弱いところや可愛いところも知って。いいなって、思った」
熱烈なプロポーズを受けてるみたいだ。
もうプロポーズは受けて受け入れたけど。
「まあとにかく、そういうことだから。僕結構嫉妬深いから、大事にしてね」
「もちろんです」
「僕も…君をずっと、大事にするから」
その目は金色に輝いている。
それに安堵して、それが嬉しくて、私は彼に抱きついた。
しっかりと抱き止められて、見つめたら見つめ返される。
優しい金色に、心底惚れ直した。
この乙女ゲームの世界に転生した転生ヒロイン!
金髪赤目の華奢で守ってあげたくなるような超絶美少女!
前世では万引きをして、店員さんに見つかって…逃げていたら信号無視したせいで車に轢かれて死んじゃったの!
可哀想でしょう?
だけどおかげでこの乙女ゲームの世界にヒロインとして転生できたから、お得かもね!
「ソフィア、今日も可愛いね。君に似合うと思ってドレスを買ったんだ。今度着ておくれ」
「もう、リチャードったら…ありがとう」
この国の王太子であるリチャードが、私のためにドレスをくれる。
「ソフィア、はい、これプレゼント。イヤリングだよ、きっと君に似合う」
「リュカ、ありがとう!」
この国の第二王子であるリュカが、私のためにイヤリングをくれる。
「ソフィア、このバッグと財布を受け取って欲しい。そしていつでも俺を感じて」
「ふふ。レオナルドらしいわね、ありがとう!」
この国の侯爵令息であるレオナルドが、私のためにバッグと財布をくれる。
この三人…リチャードと、リュカ、レオナルドを全員攻略したけれど、残念ながらこの乙女ゲームに逆ハーレムエンドはない。
最終的には誰かを選ばないといけないけど…私はリュカを選ぶ。
リチャードは銀髪に青い瞳の超絶美形だけど、まだ婚約してもいない女の子にドレスを送ってくるような変態だし。
レオナルドは赤い髪に赤い瞳のイケメンだけど、やっぱりいつでも俺を感じてとかちょっと変態だし。
その点リュカは銀髪に緑の目の可愛い系で、変態じゃないし。
第二王子のリュカはヒロインと結ばれると、王位継承権を返上して公爵となる。
王太子妃は面倒だし、貴族の中では一番偉くなるからリュカがいいよね!
そうして貴族学園の卒業式にリュカを選ぼうと決めて準備を進めていたのだけど…
まさかあんなことになるなんて。
私はレベッカ。
この乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生した。
ピンクの髪に青い瞳のボンキュッボンでナイスバディーな、一見ヒロインのようなビジュアルだがこの世界においては悪役令嬢なのだ。
私はどうしても悪役令嬢になりたくなくて、必死にもがいてきた。
だって、悪役令嬢になったらヒロインを虐めた罰で牢に入れられるから。
だから知識チートで優秀さを幼い頃から見せつけて親を驚かせて喜ばせて勉強は免除してもらい、その分の時間を婚約者との仲を深めるために使った。
けれど婚約者であるレオナルドは私が優秀すぎるあまりに引け目を感じると言って私を遠ざけた。
そしてヒロインと恋に落ちた。
私は誓って悪役令嬢のような振る舞いはしなかったが、相手は転生ヒロインだったようで虐めをしたことにされた。
濡れ衣だ。
それは私だけでなく、リチャード殿下やリュカ殿下のルートの悪役令嬢…彼らの婚約者も同じ。
私たち三人は濡れ衣を着せられた。
それぞれの婚約者は、みんな私たちを信じてくれなかった。
リチャード殿下の婚約者であるステラ様も、婚約者に最低だと詰られ。
リュカ殿下の婚約者であるリリス様も、婚約者に断罪してやると罵られ。
レオナルド様の婚約者である私レベッカも、君はそんな女なんだなと散々婚約者に嫌味を言われた。
ステラ様は黒髪黒目の豊満な肉付きの色っぽい方で、リリス様は緑のお髪に青い目のスレンダーな方。
どちらもすごくお美しいのに、私だって今世は結構良い感じのビジュアルなのに、殿方はなんであんな性格最悪のヒロインもどきを選ぶのか。
ちなみに私以外の二人の悪役令嬢は転生者ではなさそうだが、ほぼ境遇は一緒。
そしてこのままでは、私たち三人は貴族牢にいれられる。
幸か不幸か、乙女ゲームの設定では家族にまでは責任は及ばないが…娘が牢になんて入れられたら、それだけで醜聞だ。
なんとかしないと…。
ということで共闘することになった私たちは、今から三人で作戦会議をします。
「なにか良い案はある?」
「私が国内で頼れる人は家族だけよ。友達…というより取り巻きみたいな連中は信用できない」
「同じく」
「同じくよ」
「だから、私考えたの」
ステラ様は言った。
「隣国の第三王子…私の従兄のシャルルお従兄様に助けてもらいませんこと?」
「隣国のシャルル第三王子殿下ですの?」
リリス様はお目目をぱちぱちする。
なるほど、彼は人の嘘を暴ける能力があるという。
それを使えば、あのヒロインと私たちのどちらが嘘つきかわかるというもの。
「王太子殿下たちは貴族学院での次のダンスパーティーで私たちを公開断罪する計画らしいわ」
「なにそれ性格悪いわね」
「公開でやるとか、たとえ本当に虐めがあったとしても酷すぎるわよ」
「まあ私たち、いじめなんてしてないけどね」
「本当にあの子、私たちを悪者にしてまで殿方に近付くとか最低よね」
ともかく作戦は決まった。
ステラ様の従兄であるシャルル第三王子殿下に、存分に助けていただこう。
「でもいつにする?」
「それこそ公開断罪の時に断罪返ししましょうよ」
「いいわね」
こうして私たちは、むしろ断罪の日を楽しみにするようになった。
そして待ちに待ったダンスパーティー。
彼らはお約束よろしく、ダンスパーティーの会場のど真ん中で私たちを断罪し始めた。
「ステラ!君には失望したぞ!ソフィアを虐めるだなんて!」
「リリス!君にもがっかりした!ソフィアに暴力を振るったなんて!」
「レベッカ!君はそんなにも優秀なのに、心は醜いんだな!ソフィアを殺そうとするなんて!」
段々話が壮大になってきたな…殺そうとするってなにさ。
「あの、殺そうとする、とは?」
「昨日ソフィアを階段から突き落としただろう!」
「痛かったですぅ…」
「…あの、その割にピンピンしていらっしゃるような」
「打ち所が良かっただけですぅ!!!」
さて、そろそろ嘘センサーには引っかかるかな?
「それは嘘だね」
ダンスパーティーの会場のど真ん中に一人の美形な男性が現れる。
白髪に金の瞳の、線は細いながらも鍛えているのがわかる美しい男性…シャルル第三王子殿下だ。
「あれは隣国の第三王子…シャルル第三王子殿下!?」
「どうしてこちらに!?」
「ああそうか!シャルル第三王子殿下はステラ様の従兄で、ステラ様と仲がいいと聞くからそれで来たのか!」
「それにしても美しいお方…」
「第三王子殿下は婚約者もまだ決まっていませんのよね…第三王子という身軽さから、婚約者は自分で決めていいと言われているのだとか」
そういえば、あんなに綺麗な人だけどまだ婚約者がいないんだった。
美形なのになぁ。
「彼の方は人の嘘を暴ける能力があるというぞ」
「あの金の目が嘘を暴くんだったか」
「逆に彼の方が嘘をつくと金の目は失われ、視力もなくなり嘘がわからなくなると言われているな」
「今も金の瞳は輝いているな」
「ということは、ソフィア嬢の打ち所が良かっただけというのは嘘…?」
そうそう、その通り。
「そういうことだよ。その性悪女の嘘だ」
美形なシャルル第三王子殿下だがお口は悪いらしい。
「性悪女って!!!」
「だって、立場ある男性に言い寄るためにその男性の婚約者を嘘で貶めるとか性悪だろう?」
「あんたになにがわかるのよ!」
「嘘がわかる。君は嘘をついている。階段から落とされたと言うのも、暴力を振るわれたというのも、虐められたというのもみんな嘘だね」
シャルル第三王子殿下は容赦がない。
そしてその瞳は金に輝いている。
「それと、その性悪女を虐めたと言われるステラ、リリス嬢、レベッカ嬢。みーんな取り巻きの女の子たちにすらソフィアを虐めるなと言い聞かせてむしろ守ってあげていたよ」
その瞳はまだ金に輝いている。
「そんなふうに守ってくれた相手をよくもまあ…本当に醜い女だね、君」
「わ、私は、私はっ…」
「…なぁ、ソフィア、彼が言っていることは本当なのかい?」
「ソフィア、嘘だよね?」
「ソフィア…違うと言ってくれ」
三人の貴公子が一人の女の子に縋り付く様は見ていて気持ちが悪い。
「うわ、キッショ」
…シャルル第三王子殿下は、やっぱりお口が悪い。
「そこまで!!!」
「その声は…国王陛下!?」
いるはずのない人が現れて一瞬騒つく。
だがすぐにみんなが臣下の礼をとる。
ソフィアとレオナルド様も慌てて臣下の礼をとった。
リチャード殿下とリュカ殿下は困惑した表情を見せる。
「貴様ら、政略結婚をなんだと捉えている!?勝手に今日婚約破棄を行おうとしたそうだな!そもそも婚約者を公衆の面前で断罪しようとは、バカか!?」
「いやそれは…」
「ソフィアに騙されてて…」
「そんなもの言い訳にもならんわ!!!…とはいえ、私も鬼ではない。婚約破棄はそれぞれ三組のカップルにさせてやろうではないか」
「え」
国王陛下が大声で言い放つ。
「お前たち三馬鹿の有責でな!!!レオナルド、貴様は貴様の親次第で処遇が変わるが、罪は重いぞ覚悟しておけ!」
「そ、そんな…」
「で、我がバカ息子たち!貴様らは断種の上教会に出家させる!!!」
「は!?」
「なんで!?」
国王陛下の顔がさらに厳しくなる。
「なんでもなにも、貴様らがやらかしたからだ馬鹿!幸い我が国の第三王子はまとも故跡取りには困らん!なんの心配もなく世俗と縁を切るんだな!!!」
「そんなぁ…」
「酷い…」
「たわけ!酷いのはご令嬢方を公開断罪しようとした貴様らだ!…シャルル第三王子殿下、巻き込んですまなかった」
「いえいえ、お構いなく。性悪に唆された三馬鹿の断罪を見られて楽しかったですよ」
国王陛下はため息をつく。
「貴殿は本当に素直と言うか…だからこそのその瞳なのだろうがな」
「で、性悪の断罪は?」
「もちろんする。騎士達よ、その女を捕えろ!我が国の王子たちを誑かしたのだ、不敬罪で終身刑とする!」
「え!?い、いやよ離して!!?」
しばらく暴れたがぐったりして騎士に捕まった彼女に、私こと悪役令嬢レベッカは近付いた。
そして耳元で囁く。
「本当の悪役令嬢はどっちでしょうね?」
「このクソアマァ!!!やっぱり転生者かぁ!!!邪魔しやがってぇ!!!!!」
まあ暴れ出したがそっと離れて放置。
みんななにを言ったんだろうって顔をしているが教える気はない。
テンセイシャってなに?って顔の人もいるが教えない。
「皆の者、すまなかった。罪人たちはこちらで連れて行く故、皆はダンスパーティーを仕切り直ししてくれ」
ということで、ソフィアとリチャード殿下、リュカ殿下とレオナルド様は連行されていった。
ちなみにレオナルド様の処遇はもう決まっていて、断種の上廃嫡である。
全員ざまぁ!!!
さてこの日間の騒動でフリーになったステラ様とリリス様と私。
騒動を一緒に乗り切ったことで仲良くなって、一緒に遊ぶことが増えた。
その中でステラ様やリリス様、私の身内の独身男性とも交流することが自然と増えて、ステラ様はリリス様の兄と、リリス様は私の弟と、私はなんとシャルル様と婚約が決まった。
「いやぁ、ラッキーだったよねぇ。あんな三馬鹿と早々に縁が切れて」
「まあ、皆様それぞれ新たに幸せな婚約を結べましたしね」
「君は?」
「幸せですよ」
「ふふ、嘘じゃないみたいだね。でも、なんで僕のプロポーズを受けてくれたの?」
不思議そうな顔で聞かないで欲しい。
「プロポーズを受け入れられない前提でプロポーズしてきたのですか?」
「うん、受け入れてもらえるまで毎日プロポーズしようと思ってたら、一発で受け入れられたからびっくりした」
「それはそれで怖いですって…なんでもなにも、こんなに美しい人他にいないと思って」
「顔?」
「顔も髪も声も身体付きも、あとステラ様に乞われたらすぐ駆けつける心根も、それから正直者なところも…全部美しいです。口の悪さ以外」
きょとんとしたシャルル様。
そして急にボッと頬が赤くなった。
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「…嘘じゃないみたいだね」
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「…強い女性だなと思って」
強いとは、はて。
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熱烈なプロポーズを受けてるみたいだ。
もうプロポーズは受けて受け入れたけど。
「まあとにかく、そういうことだから。僕結構嫉妬深いから、大事にしてね」
「もちろんです」
「僕も…君をずっと、大事にするから」
その目は金色に輝いている。
それに安堵して、それが嬉しくて、私は彼に抱きついた。
しっかりと抱き止められて、見つめたら見つめ返される。
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