40 / 102
「女装は男にしかできない最も男らしい行為である!」「…うん、まあ、似合ってるからおっけー!」
しおりを挟む
「女装は男にしかできない最も男らしい行為である!」
そう言って現れたのは、可愛らしいドレスを身に纏った初対面の私の婚約者。
彼の両親は頭を抱え芸術的な海老反りを決める。
私の両親はきょとんとして動かない。
そして肝心の、彼の婚約者となる私は…。
「…うん、まあ、似合ってるからおっけー!」
実際似合ってるし可愛い彼に心底惚れ込んだ。
私はエデ。
エディット・レアンドル。
伯爵家の娘。
私は伯爵家を継ぐことを約束されている。
婚約者はモーちゃん。
モルガン・マクサンス。
裕福な伯爵家の生まれで、女伯爵になる私のお婿さんになる。
彼との出会いは中々に衝撃的だったけど、色々ぶっ飛んだ彼を早々に受け入れた私は彼から好かれている。
なので関係は良好。
「ねえねえ、エデ!今度このブランドの化粧品が新発売だって!」
「え、買おう買おう!」
「いいねいいね、発売日には二人で早く行こう!」
「うん!」
モーちゃんは女の子みたいな見た目だけど、中身はちゃんと男の子。
でも、化粧品のお話とかドレスのお話で一緒に盛り上がれるモーちゃんは私にとって理想の婚約者だ。
ただ、私には一つ心配ごとがある。
明日から私とモーちゃんは、貴族の子女の通う貴族学校に入学するのだ。
そこでモーちゃんが受け入れられるのか、心配だ。
「ごきげんよう、エデ」
「ご、ごきげんよう、モーちゃん」
貴族学校入学当日、モーちゃんは、なんと男装していた。
「え、も、モーちゃん、いいの?」
「うん、だって入学式の後そのまま入学祝いのダンスパーティーに移行するでしょ?流石に女装してたら、可愛い可愛いエデをカッコよくエスコートできないからね?」
「え、え」
「それだけエデが大事なんだよ、大事にさせてよ」
「モーちゃん!!!」
モーちゃんの気持ちが嬉しくて、思わず抱きつく。
そして貴族学校での入学式をバシッと決めたモーちゃんは、入学祝いのダンスパーティーでもきっちり男装を着こなして私をバシッとエスコートしてくれた。
ダンスはやや苦手な私が時々足を踏んでも、モーちゃんは笑って許してくれる。
それにモーちゃんは上手にリードしてくれるからなんとか踊れた。
「ふふ、楽しめた?」
「うん!モーちゃんは?」
「楽しかった!」
きゃっきゃと笑い合う私達は、嫉妬に濡れた視線に気づかなかった。
ある時から、私が男爵家のご令嬢をいじめていると言う噂が広まった。
それは真っ赤な嘘で、いつも一緒にいる友達やモーちゃんが否定して回ってくれているけど…噂は中々止まなかった。
終いには何故か公爵家のご令息や侯爵家のご令息、辺境伯家のご令息に注意を度々受ける始末。
いじめなんてしていないと言っても聞いてもらえない。
そんなある日のことだった。
いつも四六時中私のそばにいるモーちゃんが見当たらない。
探していると、今は使われていない旧校舎にまできてしまった。
そこで、モーちゃんを見つけた。
私が虐めた事になっている男爵家のご令嬢と一緒にいるモーちゃん。
「だから、本当にエディット様にいじめられているんです!助けてください、モルガン様!」
「嘘だよ。エデがそんなことするはずない」
「なんであんな悪役令嬢なんか信じるんですか!」
悪役令嬢?
私のこと?
なんのことかわからず頭を捻る。
「悪役令嬢?エデのこと?」
「そうです!私はヒロインで、モルガン様はヒーローで、エディットは悪役令嬢!!!モルガン様の趣味の女装を真っ向から否定するエディットから、私がモルガン様を救い出すんです!」
はてな。
どういうこっちゃ?
「は、ははは!君大丈夫?頭がおかしいの?」
「な、私は真剣に!」
「…エデは僕の女装趣味を否定したりしないよ。むしろ認めて一緒にお化粧し合ったりしてる」
「…え?まさか転生悪役令嬢!?」
転生悪役令嬢とはなんぞや?
「君さっきからおかしな単語ばっかり使うよねぇ…でもさぁ、良い加減目障りなんだよね」
「え…あの…モルガン様?」
「ん?」
「なんで…植木鉢を、持つんです?ま、まさかそれで私の頭を………」
「ううん、違うよ、君は傷つけない。傷つくのは…僕の方だ」
モーちゃんは土と植物が入っていないまま教室内に放置されていた植木鉢を空高く投げた。
そして植木鉢はそのまま落っこちてモーちゃんの頭に直撃。
モーちゃんは血を流す。
「………やっぱり、いてぇ」
「え、え、え、モルガン様っ」
「誰かー!レミリア男爵令嬢のご乱心だ、誰かー!」
叫ぶモーちゃん、立ち尽くすレミリア様、その場からそっと離れて助けを呼びに行く私。
私が救護室の先生を連れて旧校舎に戻ると、レミリア様が学校の護衛に拘束されて…モーちゃんは彼女を睨みつけていた。
そしてモーちゃんは、彼女にやられたのだと嘘を言う。
私は何も言わずに、モーちゃんのそばに寄って救護室の先生の応急措置を受ける彼に寄り添った。
レミリア様はその日以降、学校で見かけることもなくなった。
私は公爵家のご令息や侯爵家のご令息、辺境伯家のご令息に謝罪を受けた。
いじめの件は誤りだったと。
モーちゃんが言ったそうだ。
『レミリア嬢に言い寄られて、断ったら植木鉢で殴られた』
『彼女は男漁りが趣味らしく、今度は僕に目をつけたらしい』
『他にも色々な人に言い寄っているから調べて欲しい』
その話が、彼らにも回ったらしい。
そして、私の悪評は無くなった。
モーちゃんは幸い、後遺症などもなく元気にしている。
「モーちゃん、あのね」
「格好の悪い助け方でごめんね」
「え」
「でもさすがに、見過ごせなくて」
「…」
モーちゃんなりに、頑張ってくれたのはわかってる。
だから。
「モーちゃん、ありがとう」
精一杯の笑顔を返す。
モーちゃんも笑った。
「うん」
「でも、もう無茶はだめだよ」
「はーい」
「もう怪我しないでね」
「うん」
私の婚約者は、世界一男らしくて、世界一可愛くて、世界一卑怯で、世界一かっこいい人です。
今日もモーちゃんとの日々は、とても輝いています。
レミリア様は…うん、なんか、ごめんね。
ご愁傷様です。
そう言って現れたのは、可愛らしいドレスを身に纏った初対面の私の婚約者。
彼の両親は頭を抱え芸術的な海老反りを決める。
私の両親はきょとんとして動かない。
そして肝心の、彼の婚約者となる私は…。
「…うん、まあ、似合ってるからおっけー!」
実際似合ってるし可愛い彼に心底惚れ込んだ。
私はエデ。
エディット・レアンドル。
伯爵家の娘。
私は伯爵家を継ぐことを約束されている。
婚約者はモーちゃん。
モルガン・マクサンス。
裕福な伯爵家の生まれで、女伯爵になる私のお婿さんになる。
彼との出会いは中々に衝撃的だったけど、色々ぶっ飛んだ彼を早々に受け入れた私は彼から好かれている。
なので関係は良好。
「ねえねえ、エデ!今度このブランドの化粧品が新発売だって!」
「え、買おう買おう!」
「いいねいいね、発売日には二人で早く行こう!」
「うん!」
モーちゃんは女の子みたいな見た目だけど、中身はちゃんと男の子。
でも、化粧品のお話とかドレスのお話で一緒に盛り上がれるモーちゃんは私にとって理想の婚約者だ。
ただ、私には一つ心配ごとがある。
明日から私とモーちゃんは、貴族の子女の通う貴族学校に入学するのだ。
そこでモーちゃんが受け入れられるのか、心配だ。
「ごきげんよう、エデ」
「ご、ごきげんよう、モーちゃん」
貴族学校入学当日、モーちゃんは、なんと男装していた。
「え、も、モーちゃん、いいの?」
「うん、だって入学式の後そのまま入学祝いのダンスパーティーに移行するでしょ?流石に女装してたら、可愛い可愛いエデをカッコよくエスコートできないからね?」
「え、え」
「それだけエデが大事なんだよ、大事にさせてよ」
「モーちゃん!!!」
モーちゃんの気持ちが嬉しくて、思わず抱きつく。
そして貴族学校での入学式をバシッと決めたモーちゃんは、入学祝いのダンスパーティーでもきっちり男装を着こなして私をバシッとエスコートしてくれた。
ダンスはやや苦手な私が時々足を踏んでも、モーちゃんは笑って許してくれる。
それにモーちゃんは上手にリードしてくれるからなんとか踊れた。
「ふふ、楽しめた?」
「うん!モーちゃんは?」
「楽しかった!」
きゃっきゃと笑い合う私達は、嫉妬に濡れた視線に気づかなかった。
ある時から、私が男爵家のご令嬢をいじめていると言う噂が広まった。
それは真っ赤な嘘で、いつも一緒にいる友達やモーちゃんが否定して回ってくれているけど…噂は中々止まなかった。
終いには何故か公爵家のご令息や侯爵家のご令息、辺境伯家のご令息に注意を度々受ける始末。
いじめなんてしていないと言っても聞いてもらえない。
そんなある日のことだった。
いつも四六時中私のそばにいるモーちゃんが見当たらない。
探していると、今は使われていない旧校舎にまできてしまった。
そこで、モーちゃんを見つけた。
私が虐めた事になっている男爵家のご令嬢と一緒にいるモーちゃん。
「だから、本当にエディット様にいじめられているんです!助けてください、モルガン様!」
「嘘だよ。エデがそんなことするはずない」
「なんであんな悪役令嬢なんか信じるんですか!」
悪役令嬢?
私のこと?
なんのことかわからず頭を捻る。
「悪役令嬢?エデのこと?」
「そうです!私はヒロインで、モルガン様はヒーローで、エディットは悪役令嬢!!!モルガン様の趣味の女装を真っ向から否定するエディットから、私がモルガン様を救い出すんです!」
はてな。
どういうこっちゃ?
「は、ははは!君大丈夫?頭がおかしいの?」
「な、私は真剣に!」
「…エデは僕の女装趣味を否定したりしないよ。むしろ認めて一緒にお化粧し合ったりしてる」
「…え?まさか転生悪役令嬢!?」
転生悪役令嬢とはなんぞや?
「君さっきからおかしな単語ばっかり使うよねぇ…でもさぁ、良い加減目障りなんだよね」
「え…あの…モルガン様?」
「ん?」
「なんで…植木鉢を、持つんです?ま、まさかそれで私の頭を………」
「ううん、違うよ、君は傷つけない。傷つくのは…僕の方だ」
モーちゃんは土と植物が入っていないまま教室内に放置されていた植木鉢を空高く投げた。
そして植木鉢はそのまま落っこちてモーちゃんの頭に直撃。
モーちゃんは血を流す。
「………やっぱり、いてぇ」
「え、え、え、モルガン様っ」
「誰かー!レミリア男爵令嬢のご乱心だ、誰かー!」
叫ぶモーちゃん、立ち尽くすレミリア様、その場からそっと離れて助けを呼びに行く私。
私が救護室の先生を連れて旧校舎に戻ると、レミリア様が学校の護衛に拘束されて…モーちゃんは彼女を睨みつけていた。
そしてモーちゃんは、彼女にやられたのだと嘘を言う。
私は何も言わずに、モーちゃんのそばに寄って救護室の先生の応急措置を受ける彼に寄り添った。
レミリア様はその日以降、学校で見かけることもなくなった。
私は公爵家のご令息や侯爵家のご令息、辺境伯家のご令息に謝罪を受けた。
いじめの件は誤りだったと。
モーちゃんが言ったそうだ。
『レミリア嬢に言い寄られて、断ったら植木鉢で殴られた』
『彼女は男漁りが趣味らしく、今度は僕に目をつけたらしい』
『他にも色々な人に言い寄っているから調べて欲しい』
その話が、彼らにも回ったらしい。
そして、私の悪評は無くなった。
モーちゃんは幸い、後遺症などもなく元気にしている。
「モーちゃん、あのね」
「格好の悪い助け方でごめんね」
「え」
「でもさすがに、見過ごせなくて」
「…」
モーちゃんなりに、頑張ってくれたのはわかってる。
だから。
「モーちゃん、ありがとう」
精一杯の笑顔を返す。
モーちゃんも笑った。
「うん」
「でも、もう無茶はだめだよ」
「はーい」
「もう怪我しないでね」
「うん」
私の婚約者は、世界一男らしくて、世界一可愛くて、世界一卑怯で、世界一かっこいい人です。
今日もモーちゃんとの日々は、とても輝いています。
レミリア様は…うん、なんか、ごめんね。
ご愁傷様です。
369
あなたにおすすめの小説
あなたが愛人を作るのなら
あんど もあ
ファンタジー
結婚して八年の夫が、愛人を作った。それも私の推しの女優を! 「君と違って彼女には才能がある」と言う。ならば、私も才能のある愛人を持つ事にいたしましょう。愛人の才能を花開かせる事が出来るのはどちら?
愚か者たちの婚約破棄
あんど もあ
ファンタジー
ライラは、父と後妻と妹だけが家族のような侯爵家で居候のように生きてきた。そして、卒業パーティーでライラの婚約者までライラでは無く妹と婚約すると宣言する。侯爵家の本当の姿に気づいているのがライラだけだと知らずに……。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
マリアの幸せな結婚
月樹《つき》
恋愛
花屋の一人娘マリアとパン屋の次男のサルバトーレは子供の頃から仲良しの幼馴染で、将来はマリアの家にサルバトーレが婿に入ると思われていた。
週末は花屋『マルゲリータ』でマリアの父の手伝いをしていたサルバトーレは、お見舞いの花を届けに行った先で、男爵家の娘アンジェラに出会う。
病気がちであまり外出のできないアンジェラは、頻繁に花の注文をし、サルバトーレを呼び寄せた。
そのうちアンジェラはサルバトーレとの結婚を夢見るようになって…。
この作品は他サイトにも投稿しております。
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
乙女ゲームは始まらない
みかん桜
恋愛
異世界転生した公爵令嬢のオリヴィア。
婚約者である王太子殿下の周囲に、乙女ゲームのヒロインを自称する女が現れた。
だが現実的なオリヴィアは慌てない。
現実の貴族社会は、物語のように優しくはないのだから。
これは、乙女ゲームが始まらなかった世界の話。
※恋愛要素は背景程度です。
親世代ではなかったのですか?
立木
恋愛
親世代が「乙女ゲーム時代」だったと思っていたら、子世代も「乙女ゲーム」だった。
※乙ゲー転生ですが要素は薄いです。
※別サイトにも投稿。
※短編を纏めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる