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悪役令嬢、舞台を制作する
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私はこの国の筆頭公爵家の娘として生まれた。
生まれながらに王太子殿下の妃になるという将来が約束されていた。
そんな私は非常に優秀で、王太子妃教育は辛い時も確かにあったが、大体難なくこなしていた。
そして私は非常に優秀で美しい姫君として有名になったのだ。
けれど王太子殿下はそんな私の才能に嫉妬していた。
彼の方は平凡な人だから…。
そして、彼は問題を起こした。
男爵家の…身分の低い娘と不義密通していたのだ。
私は王太子殿下に再三やめるように忠告した。
しかし彼は浮気をやめるどころか、私を悪者に仕立て上げた。
そして私はありもしない〝イジメ〟を罪と断罪され貶められた。
偽証した証拠や証言の数々に、敵ながら天晴と思ってしまうほどあちらは用意周到であった。
これに関しては、こうなることを予見して対策を取るべきだったから私も悪い。
そして私は見事に悪役として表舞台から退場させられた。
王太子から婚約破棄されたのだ。
唯一味方してくれる男はいたが、私側の人間だからと信用されなかったらしい。
そしてその後、ありもしない私の悪行は「悪役令嬢レイチェル」の物語として庶民に流行りの劇として有名になっていった。
ある意味、人気者になってしまったわね。
そんな風に自嘲したって仕方がないのだけど。
それでも幸いなことに家族は味方でいてくれる。
お前がそんなことをするはずがないと、何の証拠もないのに信じてくれた。
こちらの有責での婚約破棄で、王家への賠償金と慰謝料でかなりのダメージを負ったにも関わらずだ。
あと、使用人たちと領民たちも私がそんなことするはずないと言ってくれる。
だから私は、幸せだ。
ただ、心労からか胃がキリキリする。
嘔吐することも増えた。
医者はやはり、ストレスが原因だという。
ということで、負けた気分になって悔しいが王都から離れて領地に戻ることにした。
領民たちは私の味方だし、あそこは空気も綺麗だからすぐに良くなるだろうとは思うけれど。
「…っあぁあああああ!!!やっぱり自由サイコー!!!」
領地に戻ってきた私は、自然の多いここで綺麗な空気を吸い、私を慕ってくれる領民たちと戯れあって、もう誰の目を気にすることもなく令嬢らしくない生活を楽しんだ。
領民たちと田畑を耕し、家畜たちの世話をする。
王太子の婚約者だった頃には絶対させてもらえなかったことだが、セミリタイアした私なら可能!!!
もちろんいつかはどこかにお嫁に行かされる可能性もあるわけで、それを考えると〝これ〟は良くないことかもしれないが…私にとっては何よりのストレス発散になるのだから、許して欲しい。
領民たちも、お嬢様は変わり者だと笑いながら混ぜてくれる。
幸せ。
さらにそれだけではなく、私は農業において少しでも領民たちが楽をできるように魔道具の開発にも勤しむ。
自動種まき機や、自動水やり機、自動収穫機。
自動ブラッシング機や、自動放牧見守り機や、敵性生物発見機や、自動搾乳機、自動卵収穫機。
実際に田畑を耕し家畜の世話をした私だからこそできる発明品だった。
そして発明したそれを領民たちに配る。
領民たちは見事にそれを使いこなしつつ、自分たちの手でもきちんと作物や家畜たちの世話をする。
機械化と人力の間を取ることにしたのだ。
結果我が領の作物や畜産物は国内でも有数のクオリティーの高い商品となり、やがて王室御用達のブランド化に至った。
結果領民たちの生活は豊かになり、我が公爵家にも税金という形で多額のお金が入った。
また私の生み出した発明品は国内外問わず多くの人から求められて、売ったら相当なお金になった。
ただこの発明品はどれも高い値段に設定したので、買えるのは国内割引を大幅にした国内の農家がほとんどで海外の農家は領主が買ってくれたとかじゃないと手に入らなかったようだけど。
ということで我が公爵家は婚約破棄騒動で負った負債を返済し切ってお金持ちに返り咲き、領民たちもみんな豊かになり、私個人にも多額のお金が入った。
「お嬢様が帰ってきてくれてよがったなぁ」
「んだんだ。さすが俺らのお嬢様だっぺ」
「おらたちは幸せもんだなぁ」
「ふふ、私もみんなとこうして過ごせて幸せよ」
「おらぁ、一生お嬢様への感謝を忘れねぇべ」
「んだなぁ」
「んだんだ」
ああ、この田舎に帰ってきて本当によかった。
今私は最高に満たされている。
幸せだ。
と、私はこんな風にここで幸せを見つけたのだが。
王太子殿下の方は、そうもいかなかったらしい。
王太子殿下はあの後、あの男爵令嬢と婚約しようとしたが許されなかった。
真実の愛とかほざいていたらしいが、そんなもので身分差が埋まるわけもなく。
新しい婚約者には、彼の厭うような才ある女性が選ばれた。
そしてその令嬢の手によって、あの男爵令嬢はひっそりと〝消された〟らしい。
真実の愛に溺れていた王太子殿下はそのことで怯え、嘆き、すっかりと腑抜けになったらしい。
だが、王太子殿下はお飾りで十分だと判断されたのだろう。
その座から引き摺り下ろされることはなかった。
代わりに婚約者となったご令嬢が、国を支えているらしい。
表向きは王太子殿下を立てて支える控えめな婚約者だが、裏では国を真に守る女傑。
なるほど、私なんかより余程彼女の方が王太子妃に向いている。
こうなって、結果的には良かったのかもしれない。
「やあ、悪役令嬢レイチェル」
「あら、来たわね?悪役令息エドワード」
田舎でセミリタイア生活を謳歌していたら、とうとう迎えが来てしまったらしい。
彼はこの国の侯爵家の跡取り息子のエドワード。
私と王都で良く連んでいたお友達だ。
といっても、王太子殿下とあの男爵令嬢みたいに人前でイチャイチャしたりするような関係では断じてない。
政治についての話をしたり、領地領民のために今何ができるかとかの話をしたり。
そういうただの気安い友達だった。
そして、前に言った唯一味方してくれた男というのも彼だった。
だが私のやっていない悪行が一人歩きして悪役令嬢として劇にされると、いつも劇中で悪役令嬢レイチェルの隣には悪役令息エドワードの姿があった。
悪女の物語に恋愛要素を入れたかった脚本家の悪ノリだろう。
だがそれもまたウケてしまったらしく、今や彼は私と同じく悪者として人気者だ。
「君のせいで風評被害がすごいよ」
「あら、ごめんあそばせ。私、悪役令嬢だから」
「ふふ、お人好しの君が悪役令嬢扱いとか本当に笑える」
「あら、それはあなたもじゃない」
「僕は信じてくれる家族と使用人たちと領民たちがいるからどうでもいいよ」
「あら、奇遇ね。私もよ」
私の言葉に彼は笑う。
「よかったじゃないか、さすが愛されているね」
「まあね」
「あのクソ野郎…おっと失礼、汚い言葉が出てしまった。あの浮気者と縁が切れたのも結果的には良かったんじゃない?」
「ええ、そうね。彼の新しい婚約者は私よりも余程王太子妃に向いているようだし」
「元々お人好しの君には王妃なんて無理だったんじゃない?」
「言えてる」
彼の言葉に私も笑った。
「それで?私に何のご用?」
「そろそろセミリタイアの時間は終わりだよ、僕と一緒に王都に戻ろう」
「えー」
「婚約しよう、レイチェル。僕と結婚してください」
跪いて婚約指輪を差し出す彼。
求められるがままに左手を差し出せば、婚約指輪が薬指に嵌められた。
「まだこっちでのんびりしていたかったのにー」
「気持ちはわかるけどもうリフレッシュはできたでしょ」
「うー…そうだけど…」
「お金も十分稼げたでしょ」
「うん…でもぉ…」
「あ、そうそう。君が開発してくれた農具、うちの領地でも大いに役立ってるよ。ありがとうね」
「こちらこそお買い上げありがとう」
「領民たちが自腹で買ったのを、後から補助金を出しただけだよ」
「でも実際身銭を切ったのは貴方でしょ」
「そりゃまあ、私財を投じての政策だけどさ」
照れ笑いをする彼が可愛い。
彼は褒められるのに弱いのだ。
しかし、まさか彼が私の婚約者になるなんて運命はわからないものだ。
「でもまさかこうなるとはね」
「まあ悪役令嬢の婚約者には、悪役令息がぴったりでしょ」
「それはそう」
「僕も君のご両親と兄君から婚約の打診があった時にはびっくりしたけどね」
「あらあら」
「でもチャンスだと思ったよ」
「チャンス?」
彼は悪戯っぽく笑う。
「長年の拗らせた初恋が実るチャンスだってね」
「…あらあらあらあら」
「あ、その表情は初めて見た。可愛いね」
「…もー。なによ、反則よ。可愛いじゃない」
「健気で可愛いでしょ?ずっとずっと、君だけを思ってきた。だからこの歳まで婚約者を作るのを理由をつけて回避してきたんだよ。さすがに、結ばれるなんて都合のいいことは考えていなかったけどね」
「まさかそんなことを考えていたなんてびっくりよ。好き」
「え?」
「今貴方のことを好きになったわ」
「はっや!!?チョロすぎない?大丈夫?」
「大丈夫、私は正気よ。そして平気よ。チョロいのは貴方にだけだから」
「…あぁもう!好き!」
ぎゅうぎゅう抱きしめられる。
「それで?」
「え?」
「プロポーズのお返事は?」
「…謹んで、お受けします。貴方の妻にしてください」
「喜んで!」
ぎゅうぎゅう抱きしめる力が強くなる。
「苦しい苦しい」
「ああ、ごめんごめん」
彼は笑う。
「愛してるよ、レイ」
「私もよ、エド」
こうして悪役令嬢は、悪役令息とハッピーエンドを掴み取ったのです。
なおその後、王都に戻った私は大量に有り余った私財を投じて舞台を制作。
「悪役令嬢レイチェルの真実の愛」を公開。
エドと私の純愛物語は、「悪役令嬢レイチェル」のファンに大層受けて私たちはますます人気者カップルになったのだ。
生まれながらに王太子殿下の妃になるという将来が約束されていた。
そんな私は非常に優秀で、王太子妃教育は辛い時も確かにあったが、大体難なくこなしていた。
そして私は非常に優秀で美しい姫君として有名になったのだ。
けれど王太子殿下はそんな私の才能に嫉妬していた。
彼の方は平凡な人だから…。
そして、彼は問題を起こした。
男爵家の…身分の低い娘と不義密通していたのだ。
私は王太子殿下に再三やめるように忠告した。
しかし彼は浮気をやめるどころか、私を悪者に仕立て上げた。
そして私はありもしない〝イジメ〟を罪と断罪され貶められた。
偽証した証拠や証言の数々に、敵ながら天晴と思ってしまうほどあちらは用意周到であった。
これに関しては、こうなることを予見して対策を取るべきだったから私も悪い。
そして私は見事に悪役として表舞台から退場させられた。
王太子から婚約破棄されたのだ。
唯一味方してくれる男はいたが、私側の人間だからと信用されなかったらしい。
そしてその後、ありもしない私の悪行は「悪役令嬢レイチェル」の物語として庶民に流行りの劇として有名になっていった。
ある意味、人気者になってしまったわね。
そんな風に自嘲したって仕方がないのだけど。
それでも幸いなことに家族は味方でいてくれる。
お前がそんなことをするはずがないと、何の証拠もないのに信じてくれた。
こちらの有責での婚約破棄で、王家への賠償金と慰謝料でかなりのダメージを負ったにも関わらずだ。
あと、使用人たちと領民たちも私がそんなことするはずないと言ってくれる。
だから私は、幸せだ。
ただ、心労からか胃がキリキリする。
嘔吐することも増えた。
医者はやはり、ストレスが原因だという。
ということで、負けた気分になって悔しいが王都から離れて領地に戻ることにした。
領民たちは私の味方だし、あそこは空気も綺麗だからすぐに良くなるだろうとは思うけれど。
「…っあぁあああああ!!!やっぱり自由サイコー!!!」
領地に戻ってきた私は、自然の多いここで綺麗な空気を吸い、私を慕ってくれる領民たちと戯れあって、もう誰の目を気にすることもなく令嬢らしくない生活を楽しんだ。
領民たちと田畑を耕し、家畜たちの世話をする。
王太子の婚約者だった頃には絶対させてもらえなかったことだが、セミリタイアした私なら可能!!!
もちろんいつかはどこかにお嫁に行かされる可能性もあるわけで、それを考えると〝これ〟は良くないことかもしれないが…私にとっては何よりのストレス発散になるのだから、許して欲しい。
領民たちも、お嬢様は変わり者だと笑いながら混ぜてくれる。
幸せ。
さらにそれだけではなく、私は農業において少しでも領民たちが楽をできるように魔道具の開発にも勤しむ。
自動種まき機や、自動水やり機、自動収穫機。
自動ブラッシング機や、自動放牧見守り機や、敵性生物発見機や、自動搾乳機、自動卵収穫機。
実際に田畑を耕し家畜の世話をした私だからこそできる発明品だった。
そして発明したそれを領民たちに配る。
領民たちは見事にそれを使いこなしつつ、自分たちの手でもきちんと作物や家畜たちの世話をする。
機械化と人力の間を取ることにしたのだ。
結果我が領の作物や畜産物は国内でも有数のクオリティーの高い商品となり、やがて王室御用達のブランド化に至った。
結果領民たちの生活は豊かになり、我が公爵家にも税金という形で多額のお金が入った。
また私の生み出した発明品は国内外問わず多くの人から求められて、売ったら相当なお金になった。
ただこの発明品はどれも高い値段に設定したので、買えるのは国内割引を大幅にした国内の農家がほとんどで海外の農家は領主が買ってくれたとかじゃないと手に入らなかったようだけど。
ということで我が公爵家は婚約破棄騒動で負った負債を返済し切ってお金持ちに返り咲き、領民たちもみんな豊かになり、私個人にも多額のお金が入った。
「お嬢様が帰ってきてくれてよがったなぁ」
「んだんだ。さすが俺らのお嬢様だっぺ」
「おらたちは幸せもんだなぁ」
「ふふ、私もみんなとこうして過ごせて幸せよ」
「おらぁ、一生お嬢様への感謝を忘れねぇべ」
「んだなぁ」
「んだんだ」
ああ、この田舎に帰ってきて本当によかった。
今私は最高に満たされている。
幸せだ。
と、私はこんな風にここで幸せを見つけたのだが。
王太子殿下の方は、そうもいかなかったらしい。
王太子殿下はあの後、あの男爵令嬢と婚約しようとしたが許されなかった。
真実の愛とかほざいていたらしいが、そんなもので身分差が埋まるわけもなく。
新しい婚約者には、彼の厭うような才ある女性が選ばれた。
そしてその令嬢の手によって、あの男爵令嬢はひっそりと〝消された〟らしい。
真実の愛に溺れていた王太子殿下はそのことで怯え、嘆き、すっかりと腑抜けになったらしい。
だが、王太子殿下はお飾りで十分だと判断されたのだろう。
その座から引き摺り下ろされることはなかった。
代わりに婚約者となったご令嬢が、国を支えているらしい。
表向きは王太子殿下を立てて支える控えめな婚約者だが、裏では国を真に守る女傑。
なるほど、私なんかより余程彼女の方が王太子妃に向いている。
こうなって、結果的には良かったのかもしれない。
「やあ、悪役令嬢レイチェル」
「あら、来たわね?悪役令息エドワード」
田舎でセミリタイア生活を謳歌していたら、とうとう迎えが来てしまったらしい。
彼はこの国の侯爵家の跡取り息子のエドワード。
私と王都で良く連んでいたお友達だ。
といっても、王太子殿下とあの男爵令嬢みたいに人前でイチャイチャしたりするような関係では断じてない。
政治についての話をしたり、領地領民のために今何ができるかとかの話をしたり。
そういうただの気安い友達だった。
そして、前に言った唯一味方してくれた男というのも彼だった。
だが私のやっていない悪行が一人歩きして悪役令嬢として劇にされると、いつも劇中で悪役令嬢レイチェルの隣には悪役令息エドワードの姿があった。
悪女の物語に恋愛要素を入れたかった脚本家の悪ノリだろう。
だがそれもまたウケてしまったらしく、今や彼は私と同じく悪者として人気者だ。
「君のせいで風評被害がすごいよ」
「あら、ごめんあそばせ。私、悪役令嬢だから」
「ふふ、お人好しの君が悪役令嬢扱いとか本当に笑える」
「あら、それはあなたもじゃない」
「僕は信じてくれる家族と使用人たちと領民たちがいるからどうでもいいよ」
「あら、奇遇ね。私もよ」
私の言葉に彼は笑う。
「よかったじゃないか、さすが愛されているね」
「まあね」
「あのクソ野郎…おっと失礼、汚い言葉が出てしまった。あの浮気者と縁が切れたのも結果的には良かったんじゃない?」
「ええ、そうね。彼の新しい婚約者は私よりも余程王太子妃に向いているようだし」
「元々お人好しの君には王妃なんて無理だったんじゃない?」
「言えてる」
彼の言葉に私も笑った。
「それで?私に何のご用?」
「そろそろセミリタイアの時間は終わりだよ、僕と一緒に王都に戻ろう」
「えー」
「婚約しよう、レイチェル。僕と結婚してください」
跪いて婚約指輪を差し出す彼。
求められるがままに左手を差し出せば、婚約指輪が薬指に嵌められた。
「まだこっちでのんびりしていたかったのにー」
「気持ちはわかるけどもうリフレッシュはできたでしょ」
「うー…そうだけど…」
「お金も十分稼げたでしょ」
「うん…でもぉ…」
「あ、そうそう。君が開発してくれた農具、うちの領地でも大いに役立ってるよ。ありがとうね」
「こちらこそお買い上げありがとう」
「領民たちが自腹で買ったのを、後から補助金を出しただけだよ」
「でも実際身銭を切ったのは貴方でしょ」
「そりゃまあ、私財を投じての政策だけどさ」
照れ笑いをする彼が可愛い。
彼は褒められるのに弱いのだ。
しかし、まさか彼が私の婚約者になるなんて運命はわからないものだ。
「でもまさかこうなるとはね」
「まあ悪役令嬢の婚約者には、悪役令息がぴったりでしょ」
「それはそう」
「僕も君のご両親と兄君から婚約の打診があった時にはびっくりしたけどね」
「あらあら」
「でもチャンスだと思ったよ」
「チャンス?」
彼は悪戯っぽく笑う。
「長年の拗らせた初恋が実るチャンスだってね」
「…あらあらあらあら」
「あ、その表情は初めて見た。可愛いね」
「…もー。なによ、反則よ。可愛いじゃない」
「健気で可愛いでしょ?ずっとずっと、君だけを思ってきた。だからこの歳まで婚約者を作るのを理由をつけて回避してきたんだよ。さすがに、結ばれるなんて都合のいいことは考えていなかったけどね」
「まさかそんなことを考えていたなんてびっくりよ。好き」
「え?」
「今貴方のことを好きになったわ」
「はっや!!?チョロすぎない?大丈夫?」
「大丈夫、私は正気よ。そして平気よ。チョロいのは貴方にだけだから」
「…あぁもう!好き!」
ぎゅうぎゅう抱きしめられる。
「それで?」
「え?」
「プロポーズのお返事は?」
「…謹んで、お受けします。貴方の妻にしてください」
「喜んで!」
ぎゅうぎゅう抱きしめる力が強くなる。
「苦しい苦しい」
「ああ、ごめんごめん」
彼は笑う。
「愛してるよ、レイ」
「私もよ、エド」
こうして悪役令嬢は、悪役令息とハッピーエンドを掴み取ったのです。
なおその後、王都に戻った私は大量に有り余った私財を投じて舞台を制作。
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