至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

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ノッテ・チエーロの悪逆

ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。悲しきかな、連続行方不明事件の黒幕と一緒に敵のお城に行くことになりました。

「では、行きますよ。マルゲリット王女殿下」

「はい、よろしくお願いします。ノッテ王女殿下」

ノッテ王女殿下の移動魔法によってチエーロ国の王城に到着した。王城では先日亡くなった国王の跡を継いだアルバ・チエーロ国王陛下が出迎えてくれた。

「ようこそおいでくださいました。マルゲリット王女殿下。国を挙げて歓迎致します」

「ありがとうございます、アルバ国王陛下」

「来ていただいて早々に申し訳ないのですが、妹とちょっと話が…少し、応接間でお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

「ええ、もちろん」

「さあ、おいで、ノッテ」

「もー、お兄様ったら。ごめんなさい、マルゲリット王女殿下。すぐに戻ります」

…ノッテ王女殿下とアルバ国王陛下が部屋を出る。その隙に通信石を発動し、パパと姉姫さま、シュテル様に通信をする。

「…どうした?メグ。今頃お友達と楽しく遊んでいるんじゃなかったのか」

「まさか何かあったのか!?大丈夫か!?」

「メグ、何かあったなら今すぐ帰ってきてもいいのよ?」

「大丈夫です。今は。ただ、何も聞かずに何も喋らずに黙ってノッテ王女殿下とアルバ国王陛下の会話を聞いていて欲しいのです」

「…わかった」

「何かあったんだな?聞くだけ聞いたらすぐ助けに行く」

「…メグ、どうか危ないことはやめてね」

これで準備OK。さあ、盗み聞きタイムです!ノッテ王女殿下とアルバ国王陛下がいるお部屋の扉の前でこっそりと盗み聞きします。

「…どうして、マルゲリット王女殿下を連れてきてしまったのかな?ノッテ」

「だって、マルゲリット王女殿下がお美しいんですもの。本当はリュディヴィーヌ王女殿下も欲しかったんですのよ?我慢した方ですわ」

「国内の平民や貴族ならいいけれど、王女…しかもあのアルカンシエルの王女相手では僕も誤魔化しきれないんだよ?」

「だって!だって私も美しい女性の生き血を浴びてあの時のお兄様のように美しくなりたいのですもの!」

「ノッテ…」

「あの時のお兄様は本当にお美しくて…私感動しましたわ」

「…だからといって、人の命を簡単に壊しては駄目だと何回言えばわかるんだい?」

「ね、お兄様。王女を殺すのは今回だけですわ。あとは国内の美しい女性で我慢致します。だから今回だけは、ね?」

「ノッテ…」

原作の話。チエーロ国の王女、ノッテには悪癖がありました。それは若く美しい女性を攫っては殺して、その生き血を浴びることでした。

原因は、アルバ国王陛下。…というよりは、先代の国王でしょうか?先代の国王は、王妃をとても大切にしていましたが、ある日王妃の裏切りを知ってしまいます。浮気されていたのです。そこで先代の国王は、王妃と王妃の浮気相手との子供、ノッテを殺してしまおうとします。しかしそれに気付いたアルバ国王陛下は、先代の国王と王妃、王妃の浮気相手、そして先代の国王の妾達を虐殺します。全ては可愛い妹を守るために。

ですがその光景を見たノッテ王女は、その光景を何よりも美しいものだと思ってしまいます。きっと、心が壊れてしまったのでしょう。若く美しい妾達の返り血を浴びた兄を見て、それに憧れを抱いたのです。

アルバ国王陛下は、最初にノッテ王女の悪癖を知った時にはショックを受けましたが、きっと自分のせいなのだと思い、何も言えずにいました。そして、ノッテ王女の悪癖を必死に隠して、ノッテ王女を守ろうとしているのです。

ノッテ王女に呼び出されてチエーロ国に遊びに来たリュディヴィーヌ王女は、この会話を偶然聞いてしまい、急いで通信石でエドモン王とシュトラール王太子にこれを知らせ、助けに来てくれたエドモン王とシュトラール王太子に守られ、連れて帰られます。そしてチエーロ国はアルカンシエルとシュテルンヒンメルによって攻められて敗北し、アルバ国王陛下もノッテ王女も処刑され、アルカンシエルとシュテルンヒンメルの一部となるのです。

…というわけで私の仕事はここまで。盗み聞きさせてもらったのでとっとととんずらさせてもらいます。

「…マルゲリット王女殿下、このような場所でどうされました?」

私はその場から離れようとしましたが、その瞬間この城に仕える侍女に捕まりました。

「…っ!」

「…!?マルゲリット王女殿下!?」

「あらまあ。聞かれてしまったなら仕方ないですわね。口封じも兼ねてその生き血をいただきましょう」

しまったー!どうしようどうしよう!?

「ノッテ…」

「さあ、その血を私にくださいな」

絶体絶命だー!?

刃物を持ったノッテ王女殿下が私に近づいてくる。私は侍女に捕まったまま。もう駄目ー!

「ほう。俺の娘に手を出すとは、なかなか命知らずな女だな」

「…パパ!」

パパが転移魔法で飛んできてくれました。しかしノッテ王女殿下が私に突き刺そうとした刃物をぎゅっと手で握ってしまっているせいで、その手からは血が流れています。

「メグ!大丈夫か!?無事だな!?ああ、よかった!」

「シュテル様!」

シュテル様は私のボディーチェックをした後私を抱きしめて、私を自分の後ろに隠しました。

「本当なら今すぐここで殺してやりたいところだが、どうせすぐに無くなる国だ。娘の前ですることでもないし、今だけは見逃してやる。シュトラール殿下、娘と王城に帰ろう」

「ええ、国王陛下。…覚悟しておけよ」

二人ともすごく怖い顔をしながら、アルバ国王陛下とノッテ王女殿下を睨みつけつつ転移魔法でアルカンシエル国の王城に戻りました。

「ああ、メグ!無事でよかったわ!」

「姉姫さま!」

姉姫さまと抱きしめ合う。ああ、無事に帰ってこれてよかった…。

「怖かったわね、もう大丈夫よ」

「はい、姉姫さま…」

「メグ、本当に大丈夫だな?まだ何もされてないな?」

「シュテル様…はい、大丈夫です。ありがとうございます」

シュテル様は安心したのか、私を後ろから抱きしめたまま動きません。大切にされてて、嬉しいなぁ。

「メグ、いつから気付いていた。まさか知っていて誘いに乗ったわけじゃないな?」

うぐ。

「そ、それは…その…」

「…これからはあまり無茶をするんじゃない」

優しく頭を撫でてくれるパパ。…あれ?怪我は?

「パパ、あの、手…」

「ん?ああ…血ならちゃんと拭いたぞ?」

「そうじゃなくて!怪我は?」

「ああ、あのくらいの傷なら治療術師に頼らなくても治せる。なんだ、心配してくれたのか」

ありがとう、とパパ。

「私こそ、助けてくれてありがとう、パパ」

何はともあれ、姉姫さまも守れたし無事に済んで良かったです!

その後、やはりチエーロ国はアルカンシエルとシュテルンヒンメルによって攻められて敗北し、アルバ国王陛下もノッテ王女も断頭台にて処刑され晒し首となり、アルカンシエルとシュテルンヒンメルの一部となりました。

…本当は、アルバ国王陛下とノッテ王女殿下を助ける方法があったらよかったのにな。
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