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ライバルが大親友なお話
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「リカルド、お前そんなに飛ばしまくって魔力大丈夫か?」
「ふふふ、レイモンド。ご安心を。僕の手にかかれば、魔力がなくとも腕力で魔獣の殲滅くらい簡単だよ!」
「なんでお前魔術師志望なのにそんなゴリラなの!」
隣で我が最大のライバルが爆笑している。
僕はリカルド。今世紀最もイケてる魔術師さ!
そして隣のライバルは純血の家庭の魔術師で、今世紀最も才能のある魔術師とも謳われるレイモンド!
穢れた血だと蔑まれる僕にも平気で話しかけてくる変わり者さ!
「あ、魔獣みーっけ☆」
僕がレイモンドより早く魔獣の群れを見つけて、魔術で殲滅する。
「お見事!さすがは俺のライバル」
「ふふ、ところで今の魔術なんだけどもっと応用出来そうだよね。レイモンドならどうする?」
「初級魔術との組み合わせで化けそうじゃね?」
「あー、アレか!いいね!組み合わせたら鬼のような威力になりそう!」
「だろだろ?よし次の魔獣にやってみようぜ」
今度はレイモンドが僕より先に魔獣を見つけて、組み合わせ魔術を試してみる。
「おー、すごい威力」
「こっちの群れも殲滅できたな」
これで今回の試験も終わり。
帰って先生の結果発表を待つ。
結果、レイモンドが一位で僕が二位。
すると意地の悪い上に上位ランクにもなれないチンケな奴らが、穢れた血では純血には勝てないんだと僕を嘲る。
だけど、穢れた血でありながらその純血と肩を並べ高め合う僕ってすごくない?
「リカルド、気にするなよ」
「気にするわけないじゃん、あんな負け犬の遠吠え。それより僕ってすごくない?」
「あーはいはいすごいすごい」
ふふ、レイモンドったら過保護だなぁ。
なんだかんだ言って、僕のこと過保護なくらい守ってくれてるのは知ってるんだからね。
この間だってそう。
レイモンドに擦り寄ろうとした奴らが、僕を貶める形でレイモンドを褒め称えていたら勝手に切れ出したんだよね。
『ねえ、見て。この魔術』
『おおー!素晴らしい!さすがはレイモンド様!あの卑しいリカルドなんかとは大違いですね!』
『そう、この魔術は素晴らしいだろう。だってこれ、俺の一番のライバルのリカルドが編み出した術式だしね』
『え…』
『あのさ、俺のライバル兼大親友の輝きをもしも万が一にもお前らが奪ったら、俺は許さないからね』
レイモンドがこうやって僕を守ってくれるから、血統第一主義の魔術世界でも僕は生きていける。
とはいえ脛かじりになる気はないから、どんどん力をつけて実力を周りに見せつけて自立しようとはしてるんだけどね。
僕のライバルったら、そのくせ最高の親友なんだから!!!
「あ、ねえねえ、この後また手合わせしようよ」
「オッケー。修練場行こう」
試験が終わると今日は残り時間はフリータイム。
ということで、いつも恒例のレイモンドとの手合わせタイムに移行した。
いつも通り、レイモンドと僕はそれぞれの編み出した術式で真っ向勝負する。
そこには女子が何故かやたらめったらに集まってきて、安全な観客席で見守ってくれていた。
「くぅっ…今日もレイモンドの勝ちかぁ」
「リカルドとの手合わせはいっつもヒヤヒヤさせられるけどな」
「もー、またそんなこと言って!いつか負かしてやるからなー!」
最後は握手して終了。
いつもそのタイミングで黄色い声が上がるので、なんとなく観客席の女の子達に手を振ってあげたらめちゃくちゃニヤニヤして顔を真っ赤にして手を振り返してくれた。
みんな可愛いなぁ。
「お前本当女子のファンすごいな」
「それはレイモンドの方じゃない?」
「俺もだけど。お前のファンも多いよ」
「そう」
「お前意外とその辺淡白だよな」
そんなことを言われても、今はレイモンドにしか興味ないし。
とは、さすがに口に出しては言わないけれど。
「お前のお陰で、俺ももっと高みに行けるよ。高め合える仲間っていいな」
「え、ちょっとー、なに急に。まあ同感だけど」
「やっぱりお前が一番の親友だよ」
「僕もー」
そう言って戯れ合っていると、なぜかキャーキャー言って女子が湧いた。
何故。
「…女の子たちって、僕たちの戯れ合いが好きなのかな」
「らしいな。まあそういう癖なんだろう」
「変なの」
「お前は知らないだろうが、そういう趣味も貴婦人たちの間では流行ってるんだ」
「へー」
女の子たちって、本当に不思議だなぁ。
可愛らしいから好きだけど。
「女の子たちって、一番の愛で方はやっぱり遠巻きに可愛らしいなぁって見つめるくらいだよね。趣味もよくわからないし」
「お前もその辺大概だと思うわ」
「大概とかなにさ」
「まあお前はそのままで良いわ」
「えー、なにその言い方」
「ちなみにお前、女子の間ではファンクラブとか出来てるぞ」
「…え、僕に?わ!見る目ある女の子がいっぱいだね!」
「やっぱり大概だわ」
レイモンドったら大概大概って失礼だなぁ。
「まあ、変わらずずっと俺のライバルでいてくれればなんでもいいんだけどな」
「もちろん最強最高のライバルでいてあげるよ!」
「そろそろ修練場も出よう。次はさっきの手合わせの反省会を喫茶室で行おうか」
「はーい!」
今日もライバルとの日々は楽しくて幸せだ。
「ふふふ、レイモンド。ご安心を。僕の手にかかれば、魔力がなくとも腕力で魔獣の殲滅くらい簡単だよ!」
「なんでお前魔術師志望なのにそんなゴリラなの!」
隣で我が最大のライバルが爆笑している。
僕はリカルド。今世紀最もイケてる魔術師さ!
そして隣のライバルは純血の家庭の魔術師で、今世紀最も才能のある魔術師とも謳われるレイモンド!
穢れた血だと蔑まれる僕にも平気で話しかけてくる変わり者さ!
「あ、魔獣みーっけ☆」
僕がレイモンドより早く魔獣の群れを見つけて、魔術で殲滅する。
「お見事!さすがは俺のライバル」
「ふふ、ところで今の魔術なんだけどもっと応用出来そうだよね。レイモンドならどうする?」
「初級魔術との組み合わせで化けそうじゃね?」
「あー、アレか!いいね!組み合わせたら鬼のような威力になりそう!」
「だろだろ?よし次の魔獣にやってみようぜ」
今度はレイモンドが僕より先に魔獣を見つけて、組み合わせ魔術を試してみる。
「おー、すごい威力」
「こっちの群れも殲滅できたな」
これで今回の試験も終わり。
帰って先生の結果発表を待つ。
結果、レイモンドが一位で僕が二位。
すると意地の悪い上に上位ランクにもなれないチンケな奴らが、穢れた血では純血には勝てないんだと僕を嘲る。
だけど、穢れた血でありながらその純血と肩を並べ高め合う僕ってすごくない?
「リカルド、気にするなよ」
「気にするわけないじゃん、あんな負け犬の遠吠え。それより僕ってすごくない?」
「あーはいはいすごいすごい」
ふふ、レイモンドったら過保護だなぁ。
なんだかんだ言って、僕のこと過保護なくらい守ってくれてるのは知ってるんだからね。
この間だってそう。
レイモンドに擦り寄ろうとした奴らが、僕を貶める形でレイモンドを褒め称えていたら勝手に切れ出したんだよね。
『ねえ、見て。この魔術』
『おおー!素晴らしい!さすがはレイモンド様!あの卑しいリカルドなんかとは大違いですね!』
『そう、この魔術は素晴らしいだろう。だってこれ、俺の一番のライバルのリカルドが編み出した術式だしね』
『え…』
『あのさ、俺のライバル兼大親友の輝きをもしも万が一にもお前らが奪ったら、俺は許さないからね』
レイモンドがこうやって僕を守ってくれるから、血統第一主義の魔術世界でも僕は生きていける。
とはいえ脛かじりになる気はないから、どんどん力をつけて実力を周りに見せつけて自立しようとはしてるんだけどね。
僕のライバルったら、そのくせ最高の親友なんだから!!!
「あ、ねえねえ、この後また手合わせしようよ」
「オッケー。修練場行こう」
試験が終わると今日は残り時間はフリータイム。
ということで、いつも恒例のレイモンドとの手合わせタイムに移行した。
いつも通り、レイモンドと僕はそれぞれの編み出した術式で真っ向勝負する。
そこには女子が何故かやたらめったらに集まってきて、安全な観客席で見守ってくれていた。
「くぅっ…今日もレイモンドの勝ちかぁ」
「リカルドとの手合わせはいっつもヒヤヒヤさせられるけどな」
「もー、またそんなこと言って!いつか負かしてやるからなー!」
最後は握手して終了。
いつもそのタイミングで黄色い声が上がるので、なんとなく観客席の女の子達に手を振ってあげたらめちゃくちゃニヤニヤして顔を真っ赤にして手を振り返してくれた。
みんな可愛いなぁ。
「お前本当女子のファンすごいな」
「それはレイモンドの方じゃない?」
「俺もだけど。お前のファンも多いよ」
「そう」
「お前意外とその辺淡白だよな」
そんなことを言われても、今はレイモンドにしか興味ないし。
とは、さすがに口に出しては言わないけれど。
「お前のお陰で、俺ももっと高みに行けるよ。高め合える仲間っていいな」
「え、ちょっとー、なに急に。まあ同感だけど」
「やっぱりお前が一番の親友だよ」
「僕もー」
そう言って戯れ合っていると、なぜかキャーキャー言って女子が湧いた。
何故。
「…女の子たちって、僕たちの戯れ合いが好きなのかな」
「らしいな。まあそういう癖なんだろう」
「変なの」
「お前は知らないだろうが、そういう趣味も貴婦人たちの間では流行ってるんだ」
「へー」
女の子たちって、本当に不思議だなぁ。
可愛らしいから好きだけど。
「女の子たちって、一番の愛で方はやっぱり遠巻きに可愛らしいなぁって見つめるくらいだよね。趣味もよくわからないし」
「お前もその辺大概だと思うわ」
「大概とかなにさ」
「まあお前はそのままで良いわ」
「えー、なにその言い方」
「ちなみにお前、女子の間ではファンクラブとか出来てるぞ」
「…え、僕に?わ!見る目ある女の子がいっぱいだね!」
「やっぱり大概だわ」
レイモンドったら大概大概って失礼だなぁ。
「まあ、変わらずずっと俺のライバルでいてくれればなんでもいいんだけどな」
「もちろん最強最高のライバルでいてあげるよ!」
「そろそろ修練場も出よう。次はさっきの手合わせの反省会を喫茶室で行おうか」
「はーい!」
今日もライバルとの日々は楽しくて幸せだ。
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