異世界転移したら、女の子にとって天国みたいな世界だったんですが…どうしましょう?

下菊みこと

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女の子がちやほやされる世界に転移してしまった女の子のお話

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「…ここ、どこ?」

私は気がつくと、知らない場所にいた。

意味がわからないと思うが、私も意味がわからない。

しばらく歩いて、街に出ると気付いた。

異世界に、トリップしたのだと。

だって、獣人とかいるし…色んな人がいる。

明らかに異世界だろう。

だけど、なんだか女の人が明らかに少ないような。

そう思っていたら、声をかけられた。

幸い、言葉は通じるらしい。

「ねえ、君もしかして異世界人?」

「はい、多分…」

「ああ、やっぱり!役場に申請に行こう。異世界人は援助を受けられるよ。特に女の子はね」

「え」

「こっち」

優しそうなお兄さんに連れられて、役場で異世界人として登録された。

こちらの世界の人とはまた別の、特別な国籍みたいなものと特別な戸籍みたいなものももらえた。

そして、しばらく分のお金をもらえた。

なんでもこの世界には時々異世界人が紛れ込むらしく、帰る方法はわからないので特別措置がもらえるらしい。

特別措置の一部が、特別な国籍や戸籍。

これがあれば毎月給付金が支給される、具体的には働かなくとも食べていけるくらいには援助してもらえる。

特に女性の場合、男性の給付金の三倍の額がもらえる。

働かなくとも食べていける額の三倍とくれば、遊び放題だ。

女性にとっては極楽。

では、なぜ異世界人にそんなに高待遇なのか。

まず、男女問わず異世界人は異世界の知識を持つ。

その知識を全て役所を通じて国に提供することが義務付けられている。

ちなみに知識を提供するには専用のヘルメットみたいなものを頭に被せて五分経つのを待つだけでオーケー。

洗脳されたりはしないらしい。

私もやられたが、大丈夫だった。

…大丈夫なはず。

………大丈夫だよね、知らない間におかしくなってないよね?

まあともかく、こうして異世界人は最初の手続きの段階で国にかなり貢献しているのでその分を給付金として受け取るだけ…らしい。

そして、女性の方が三倍増しな理由。

それはこの世界に女性が少ないから。

何故か女性の出生率が低く、そのためこの世界の女性は大切にされて育つ。

異世界人の女性もかなりの高待遇で迎えられる。

そういうことらしい。

「…とりあえずお金をもらえて、なんと家まで支給してもらえたけど」

なかなか大きい家をもらってしまった。

私が成人済みの女性だかららしい。

成人前の子だと孤児院に行く。

成人済みの男性は普通サイズの家をもらうらしい。

私がもらったのはお貴族様の館みたいな家。

手入れも行き届いている。

異世界人の女性がいつ来てもいいようにしていたらしい。

とはいえ、この館をこれから一人で維持するとなると大変だ。

そこで私は考えた。

働かなくとも食べていける額の給付金の三倍をもらえたのだ。

二人くらいシェアハウスに誘って、その二人に衣食住を保証する代わりに館を管理してもらおうと。

とりあえず歩いて回って衣食住に困ってそうな人を探す。

孤児院を見つけた。

孤児院の前に座り込む人がちょうどよく二人。

「あの、こんにちは」

「あ、え、女の人…?」

「珍しい…」

「あの、座り込んでどうしたんですか?」

二人は困った顔でこう言った。

「十八歳を過ぎたので、孤児院を出されたんです。でも僕たち行くあてがなくて」

「大変!じゃあ私のうちに来ませんか?」

「え」

「衣食住は保証しますから、館の管理をお願いしたいんです。どうですか?」

二人は顔を見合わせてから、頷いた。

「よろしくお願いします、お嬢様」

「精一杯尽くします」

「あ…あの、雇うとかじゃなくてシェアハウスで、衣食住は保証しますけどお給料は出さなくて…」

「承知しています」

「十分です。ありがとうございます、お嬢様」

ただのシェアハウスのつもりが、何故かお嬢様になってしまいました。











異世界人としてこの国に迎え入れられて早くも一ヶ月。

私はすっかりとここでの生活に馴染んだ。

給付金の額は本当に働かなくとも食べていけるほどだったし、三人でも生活費に困ることはない。

二人は館の管理を日夜行ってくれて、家事も全部してくれる。

そして衣食住を保証する私をお嬢様として慕ってくれる。

「お嬢様、お茶はいかがですか?」

「ありがとう」

「お嬢様、マッサージを致しましょう」

「ありがとう」

私がシェアハウスをする二人は、二卵性双生児でまったく似ていないが双子らしい。

金の髪に白い肌のオーバンは、優しくて温厚で気遣い上手。

黒い髪に小麦色に焼けた肌のブリュノは、ちょっと勝気で強気で頼り甲斐がある。

二人とも衣食住を保証するだけでお嬢様と慕ってくれるが、それもそのはず。

二人はあのままだとスラム街に行くしかなかったらしいのだ。

まともな生活を送れないかもしれなかった二人だから、私が手を差し伸べたのは本当に幸運だと感じてくれている。

「お嬢様、本日はどのようにお過ごしなさるのですか?」

「うーん、ショッピングにでも行こうかな」

「では、本日もお伴いたします」

給付金の額が額なので、ショッピングとかも限度さえ弁えれば気兼ねなくできる。

でも、お出かけするとなると二人は必ず付いてくる。

嫌ではないが、なんとなく外でお嬢様と呼ばれるのは気恥ずかしい。

けれど荷物持ちをお願いできるから、結局は二人に甘えてしまう。

「じゃあお願い」

「はい、お嬢様」

二人と一緒に、買い物に出る。

この家は本当に立地が良くて、歩いていける距離に病院もショッピングモールもなんでも揃っている。

オーバンが日傘をさしてくれて、ブリュノが護衛するように隣を歩いてくれる。

この世界では女性は珍しいからこそナンパも結構あり、こうしてブリュノが守っていてくれると安心感がすごい。

オーバンもブリュノもイケメンなので、大概ほかの男性は気後れして話しかけて来れなくなる。

そして楽しいショッピングの時間。

オーバンとブリュノに似合う新しい服を買ってあげたり、私もいくつかの服を買った。

そして荷物が増えた帰り道、もちろんブリュノが荷物持ちをしてくれる。

オーバンも私に日傘をさしてくれつついくつかの荷物を持つ。

「私も少し持とうか?」

「いえ、お嬢様はお気になさらずに」

「お嬢様、疲れてはいませんか?」

「大丈夫、ありがとう」

その時だった。

「あれ?梨花ちゃん?」

「…織田さん」

「梨花ちゃんもこの世界に来てたんだぁ…でも、なんで梨花ちゃんごときがそんなハイスペ男子引き連れてるわけ?」

「…っ」

織田さんは、私の同級生。

ある日突然行方不明になった。

私はいじめっ子が居なくなってせっかくほっとしていたのに、まさかそのいじめっ子がいる世界に転移してしまうなんて。

「ダメだよ梨花ちゃん、調子に乗っちゃ。その男子も私にちょうだい?」

「…」

「お言葉ですが」

ブリュノが私の前に出る。

「お嬢様は、貴女に貶されるようなお方ではございません」

オーバンもブリュノの横に並ぶ

「お嬢様を詰るなら、誰であろうと許しません」

織田さんはそれを見て激怒する。

「奴隷風情が人間に口を利くとかどういうつもり!?」

この世界には奴隷という身分もある。

織田さんは、私が奴隷を買ったと勘違いしたらしい。

「我々は奴隷ではありません」

「奴隷の刻印もないでしょう?」

この世界の奴隷は左手に印をつけられる。

二人ともそれはない。

「…ど、奴隷じゃないならなんで梨花ちゃんなんかにっ」

「お嬢様が好きだからです」

「お嬢様を大切に思っておりますので」

二人は私の両頬にそれぞれキスをした。

「…もういいっ」

織田さんは逃げ帰る。

「あの、二人とも…ありがとう」

「いえ、大丈夫ですよ」

「けれどお嬢様も、言い返せるくらいには強くならねばなりませんね」

ブリュノがそう言うので、私も頷いた。

「次から言い返せるよう頑張る!」

「その意気です、お嬢様」

そしてその後、織田さんが会うたび何度も絡んできたが私は負けじと言い返すようになった。

そのうち織田さんは私を避けるようになった。

いつのまにか、完全勝利を勝ち取っていた。

「さすがです、お嬢様」

「強い主人を持って、俺たちも鼻が高いです」

「えへへ」

「では、お嬢様」

「そろそろ、アプローチを開始してもよろしいでしょうか」

ん?アプローチとは?

「お嬢様もだいぶ自分に自信もついたでしょう?」

「二人のおかげだよ」

「ですからそろそろ、お嬢様を好きだと告げても逃げたりしませんよね?」

「え」

何の冗談かと思いきや、二人の瞳は真剣なもので。

「お嬢様、この世界では女性にのみ重婚が認められます」

「どちらかを選んでも、どちらも選んでもお嬢様の自由です」

「さあ、お嬢様。俺を選んでくださいますね?」

「さあ、お嬢様。僕を選んでくれるでしょう?」

「全てはお嬢様次第です。さあ、選んで?」

気付けばとんでもないことになってしまいました。

「とりあえず…現状維持で…」

「今はそれでごまかされてあげますが」

「いつかしっかりした返事をくださいね?」

助けてください、キャパオーバーです。
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