47 / 62
皇帝陛下の愛娘は婚約者を独り占めしたい
しおりを挟む
リリアージュは皇配教育を遅くまで受けていた恋人、ニコラを迎えに行った。リリアージュはリリアージュで皇太子教育があるので大変ではあるが、だからこそ恋人兼婚約者であるニコラとの時間を大切にしたいのだ。
しかし、今日に限ってはニコラはいつもの部屋にいなかった。なんでも、メイドが呼びにきてついて行ったとのこと。
メイドが呼びに来るということはナタナエルのところにいるのかと思いナタナエルのところに寄ってみたがいない。
どこにいるのかと宮廷内をぐるぐると回って、中庭についた時に聞いてしまった。
「ニコラ様、私ニコラ様が好きです!」
時間が止まった気がした。急いで壁に隠れつつ様子を伺った。可愛らしいメイドの少女と大好きな婚約者がいる。
そうだ、ニコラはファンクラブが出来るほどモテモテなのだ。いつかはこういうこともあると薄々わかってはいた。でも、やっぱり自分の婚約者が告白されている場面を見るのは結構心にくる。
しかも相手は可愛らしい少女。もし絆されてしまったらと怖かった。ニコラを疑うわけではない。でも、なんだかとても不安で、足元から地面が崩れ去る感覚だった。
しばらく沈黙が続いて、ニコラが口を開いた。
「だから?」
「え?」
メイドの少女が目を見開く。それは、勇気を出して告白したら返事が〝だから?〟では困惑もする。
「僕になんて言って欲しいの?僕に何を期待した?」
「そ、それは…えっと…」
リリアージュからは、ニコラの表情は見えない。ただ、さっきまで恋の熱に浮かされていたはずのメイドの少女が思いっきり怯えていることだけはわかった。
「僕の今の立場を知っているよね?僕はもうリリアージュの侍従じゃない。恋人兼婚約者だ。ようやく、ようやく想いが通じた。長かった。ずっとずっと片思いしていた。それなのに…僕の、邪魔をするの?」
「違う!私、そんなつもりじゃ…」
「そんなつもりだよね?だって、婚約者がいる相手に告白するってそういうことでしょう?」
メイドの少女がびくりと肩を震わせる。
「一晩だけ夢が見たかった?それとも愛人になりたかった?…リリアージュを裏切るような真似、僕がするわけないだろ。君、馬鹿なの?」
「…っ!」
ひっくひっくと嗚咽が聞こえる。とうとうメイドの少女は泣き始めてしまった。しかしニコラは止まらない。
「僕はリリアージュの優しいところが好きだよ。自分の悪口を言ったご令嬢すら許そうとしてしまう甘過ぎる優しさも、リリアージュの可愛らしいところだ。もちろん見た目も好き。緑の長いストレートヘアも指通りが良くてね。青い瞳もとても綺麗だろう?白いすべすべな肌も触れると冷たくて気持ちいいんだ。爪の形も綺麗なんだよ。それにね、リリアージュは僕が大好きなんだって。この間もちょっとだけ斜め上な方法だったけど、僕を喜ばせようと壁ドンとか髪にキスとか色々してくれてね。まあ方法が斜め上なのはともかくとして、すごく嬉しかった。理性を試されているのかなとか一瞬疑ったけど」
メイドの少女は泣きながらも若干ニコラの語りに引き始めていたが、ニコラが止まることはない。
「…それで?君にはどんな魅力があるの?リリアージュに勝てると本気で思う?あり得ないよね?リリアージュより可愛らしい人なんてこの世にいないもの」
メイドの少女はとうとう涙すら止めてニコラを凝視する。これが自分が好きになった男かと。
「リリアージュの婚約者に軽々しく告白なんて、本来なら許されない。覚えておくといいよ。話はこれで終わり?リリアージュに心配をかける前に戻りたいんだけど」
あまりに冷たいニコラの対応に、思わずメイドの少女が叫んだ。
「わ、私は鈍臭いメイドの私なんかにも分け隔てなく接するニコラ様の優しさが好きでした!でも、本性はそちらなのですね!?」
「当たり前でしょう。僕は侍従だったんだから、リリアージュのために働くうちは他の使用人達と円滑なコミュニケーションが取れる必要があったんだよ。誰にでも優しくするよ。というかそもそも、リリアージュに嫌われるようなこと出来ないし。告げ口とかされたらやだもの。僕の全部は、リリアージュのためのものだよ」
「…ニコラ様なんか大っ嫌いです!失礼します!」
メイドの少女が立ち去ろうとする。その背中にニコラは声をかけた。
「僕も、一瞬でもリリアージュを脅かそうとした君が大っ嫌いだよ。リリアージュの婚約者を奪おうとするとか普通に最低。自分から辞表を出すのをオススメするよ。僕もリリアージュを抱きしめるための手を汚したくないからね」
メイドの少女はキッとニコラを睨んだ後、今度こそ走って立ち去った。リリアージュは慌てて転移魔法で私室に戻る。
正直言って、色々な感情がぐちゃぐちゃになっていた。
ニコラが告白されていたのが嫌だった。ニコラが告白を拒絶していて嬉しかった。ニコラがあそこまで人を拒絶するとは思っていなかった。ニコラがあそこまで自分を愛してくれて嬉しかった。
メイドの少女が私の婚約者だと知っていながら告白をしたのを恨んだ。メイドの少女があそこまで徹底的に振られるのを見て少し安心してしまう自分が嫌だった。メイドの少女が泣いているのを見るのは少し申し訳無かった。でも、メイドの少女の自業自得だとも思ってしまった。
ぐるぐると回っていく思考をなんとか落ち着かせようと、蜂蜜たっぷりのホットミルクを部屋の外で控えていたメイドに頼む。少し落ち着いてからニコラに会いたかった。
ごくごくとホットミルクを飲んで、その優しい甘さに癒されていると部屋の扉がノックされた。
「リリアージュ、僕だよ。入っていいかな」
リリアージュは慌ててホットミルクを飲み干して返事をする。
「ど、どうぞ!」
ニコラはリリアージュの部屋に入って、リリアージュに微笑みかけた。
「今日はリリアージュを待たなくてごめんね。ちょっとメイドから呼ばれてしまって」
「用件はなんだったの?」
「極めて私的な用件だったよ」
「どんな?」
「…聞きたいの?」
「うん、聞きたい。言いたくない?」
「うん。あまり、楽しい話ではないんだ。それでも聞きたいなら、話すけど」
「聞きたい」
リリアージュがそう言うと、ニコラは困ったように笑って白旗を揚げた。
「…告白されたんだよ。僕が好きだって。でも、僕はリリアージュにしか興味ないからお断りした。…ね、あまり愉快な話ではないだろう?」
「…うん、そうだね。でも、教えてくれてありがとう」
よかった。ちゃんと言ってくれた。リリアージュは心底ほっとして、ニコラに抱きついた。
「リリアージュ?」
「ごめん、しばらくこのまま…」
「…わかったよ」
その後数日間、リリアージュはニコラを決して離さなかった。ずっと付き纏っていたが、ニコラ本人も幸せそうだったので誰も突っ込まなかった。
しかし、今日に限ってはニコラはいつもの部屋にいなかった。なんでも、メイドが呼びにきてついて行ったとのこと。
メイドが呼びに来るということはナタナエルのところにいるのかと思いナタナエルのところに寄ってみたがいない。
どこにいるのかと宮廷内をぐるぐると回って、中庭についた時に聞いてしまった。
「ニコラ様、私ニコラ様が好きです!」
時間が止まった気がした。急いで壁に隠れつつ様子を伺った。可愛らしいメイドの少女と大好きな婚約者がいる。
そうだ、ニコラはファンクラブが出来るほどモテモテなのだ。いつかはこういうこともあると薄々わかってはいた。でも、やっぱり自分の婚約者が告白されている場面を見るのは結構心にくる。
しかも相手は可愛らしい少女。もし絆されてしまったらと怖かった。ニコラを疑うわけではない。でも、なんだかとても不安で、足元から地面が崩れ去る感覚だった。
しばらく沈黙が続いて、ニコラが口を開いた。
「だから?」
「え?」
メイドの少女が目を見開く。それは、勇気を出して告白したら返事が〝だから?〟では困惑もする。
「僕になんて言って欲しいの?僕に何を期待した?」
「そ、それは…えっと…」
リリアージュからは、ニコラの表情は見えない。ただ、さっきまで恋の熱に浮かされていたはずのメイドの少女が思いっきり怯えていることだけはわかった。
「僕の今の立場を知っているよね?僕はもうリリアージュの侍従じゃない。恋人兼婚約者だ。ようやく、ようやく想いが通じた。長かった。ずっとずっと片思いしていた。それなのに…僕の、邪魔をするの?」
「違う!私、そんなつもりじゃ…」
「そんなつもりだよね?だって、婚約者がいる相手に告白するってそういうことでしょう?」
メイドの少女がびくりと肩を震わせる。
「一晩だけ夢が見たかった?それとも愛人になりたかった?…リリアージュを裏切るような真似、僕がするわけないだろ。君、馬鹿なの?」
「…っ!」
ひっくひっくと嗚咽が聞こえる。とうとうメイドの少女は泣き始めてしまった。しかしニコラは止まらない。
「僕はリリアージュの優しいところが好きだよ。自分の悪口を言ったご令嬢すら許そうとしてしまう甘過ぎる優しさも、リリアージュの可愛らしいところだ。もちろん見た目も好き。緑の長いストレートヘアも指通りが良くてね。青い瞳もとても綺麗だろう?白いすべすべな肌も触れると冷たくて気持ちいいんだ。爪の形も綺麗なんだよ。それにね、リリアージュは僕が大好きなんだって。この間もちょっとだけ斜め上な方法だったけど、僕を喜ばせようと壁ドンとか髪にキスとか色々してくれてね。まあ方法が斜め上なのはともかくとして、すごく嬉しかった。理性を試されているのかなとか一瞬疑ったけど」
メイドの少女は泣きながらも若干ニコラの語りに引き始めていたが、ニコラが止まることはない。
「…それで?君にはどんな魅力があるの?リリアージュに勝てると本気で思う?あり得ないよね?リリアージュより可愛らしい人なんてこの世にいないもの」
メイドの少女はとうとう涙すら止めてニコラを凝視する。これが自分が好きになった男かと。
「リリアージュの婚約者に軽々しく告白なんて、本来なら許されない。覚えておくといいよ。話はこれで終わり?リリアージュに心配をかける前に戻りたいんだけど」
あまりに冷たいニコラの対応に、思わずメイドの少女が叫んだ。
「わ、私は鈍臭いメイドの私なんかにも分け隔てなく接するニコラ様の優しさが好きでした!でも、本性はそちらなのですね!?」
「当たり前でしょう。僕は侍従だったんだから、リリアージュのために働くうちは他の使用人達と円滑なコミュニケーションが取れる必要があったんだよ。誰にでも優しくするよ。というかそもそも、リリアージュに嫌われるようなこと出来ないし。告げ口とかされたらやだもの。僕の全部は、リリアージュのためのものだよ」
「…ニコラ様なんか大っ嫌いです!失礼します!」
メイドの少女が立ち去ろうとする。その背中にニコラは声をかけた。
「僕も、一瞬でもリリアージュを脅かそうとした君が大っ嫌いだよ。リリアージュの婚約者を奪おうとするとか普通に最低。自分から辞表を出すのをオススメするよ。僕もリリアージュを抱きしめるための手を汚したくないからね」
メイドの少女はキッとニコラを睨んだ後、今度こそ走って立ち去った。リリアージュは慌てて転移魔法で私室に戻る。
正直言って、色々な感情がぐちゃぐちゃになっていた。
ニコラが告白されていたのが嫌だった。ニコラが告白を拒絶していて嬉しかった。ニコラがあそこまで人を拒絶するとは思っていなかった。ニコラがあそこまで自分を愛してくれて嬉しかった。
メイドの少女が私の婚約者だと知っていながら告白をしたのを恨んだ。メイドの少女があそこまで徹底的に振られるのを見て少し安心してしまう自分が嫌だった。メイドの少女が泣いているのを見るのは少し申し訳無かった。でも、メイドの少女の自業自得だとも思ってしまった。
ぐるぐると回っていく思考をなんとか落ち着かせようと、蜂蜜たっぷりのホットミルクを部屋の外で控えていたメイドに頼む。少し落ち着いてからニコラに会いたかった。
ごくごくとホットミルクを飲んで、その優しい甘さに癒されていると部屋の扉がノックされた。
「リリアージュ、僕だよ。入っていいかな」
リリアージュは慌ててホットミルクを飲み干して返事をする。
「ど、どうぞ!」
ニコラはリリアージュの部屋に入って、リリアージュに微笑みかけた。
「今日はリリアージュを待たなくてごめんね。ちょっとメイドから呼ばれてしまって」
「用件はなんだったの?」
「極めて私的な用件だったよ」
「どんな?」
「…聞きたいの?」
「うん、聞きたい。言いたくない?」
「うん。あまり、楽しい話ではないんだ。それでも聞きたいなら、話すけど」
「聞きたい」
リリアージュがそう言うと、ニコラは困ったように笑って白旗を揚げた。
「…告白されたんだよ。僕が好きだって。でも、僕はリリアージュにしか興味ないからお断りした。…ね、あまり愉快な話ではないだろう?」
「…うん、そうだね。でも、教えてくれてありがとう」
よかった。ちゃんと言ってくれた。リリアージュは心底ほっとして、ニコラに抱きついた。
「リリアージュ?」
「ごめん、しばらくこのまま…」
「…わかったよ」
その後数日間、リリアージュはニコラを決して離さなかった。ずっと付き纏っていたが、ニコラ本人も幸せそうだったので誰も突っ込まなかった。
12
あなたにおすすめの小説
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
【完結】触れた人の心の声が聞こえてしまう私は、王子様の恋人のフリをする事になったのですが甘々過ぎて困っています!
Rohdea
恋愛
──私は、何故か触れた人の心の声が聞こえる。
見た目だけは可愛い姉と比べられて来た伯爵家の次女、セシリナは、
幼い頃に自分が素手で触れた人の心の声が聞こえる事に気付く。
心の声を聞きたくなくて、常に手袋を装着し、最小限の人としか付き合ってこなかったセシリナは、
いつしか“薄気味悪い令嬢”と世間では呼ばれるようになっていた。
そんなある日、セシリナは渋々参加していたお茶会で、
この国の王子様……悪い噂が絶えない第二王子エリオスと偶然出会い、
つい彼の心の声を聞いてしまう。
偶然聞いてしまったエリオスの噂とは違う心の声に戸惑いつつも、
その場はどうにかやり過ごしたはずだったのに……
「うん。だからね、君に僕の恋人のフリをして欲しいんだよ」
なぜか後日、セシリナを訪ねて来たエリオスは、そんなとんでもないお願い事をして来た!
何やら色々と目的があるらしい王子様とそうして始まった仮の恋人関係だったけれど、
あれ? 何かがおかしい……
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
妹の身代わりの花嫁は公爵様に溺愛される。
光子
恋愛
お母様が亡くなってからの私、《セルフィ=ローズリカ》の人生は、最低なものだった。
お父様も、後妻としてやってきたお義母様も義妹も、私を家族として扱わず、家族の邪魔者だと邪険に扱った。
本邸から離れた場所に建てられた陳腐な小さな小屋、一日一食だけ運ばれる質素な食事、使用人すらも着ないようなつぎはぎだらけのボロボロの服。
ローズリカ子爵家の娘とは思えない扱い。
「お義姉様って、誰からも愛されないのね、可哀想」
義妹である《リシャル》の言葉は、正しかった。
「冷酷非情、血の公爵様――――お義姉様にピッタリの婚約者様ね」
家同士が決めた、愛のない結婚。
貴族令嬢として産まれた以上、愛のない結婚をすることも覚悟はしていた。どんな相手が婚約者でも構わない、どうせ、ここにいても、嫁いでも、酷い扱いをされるのは変わらない。
だけど、私はもう、貴女達を家族とは思えなくなった。
「お前の存在価値など、可愛い妹の身代わりの花嫁になるくらいしか無いだろう! そのために家族の邪魔者であるお前を、この家に置いてやっているんだ!」
お父様の娘はリシャルだけなの? 私は? 私も、お父様の娘では無いの? 私はただリシャルの身代わりの花嫁として、お父様の娘でいたの?
そんなの嫌、それなら私ももう、貴方達を家族と思わない、家族をやめる!
リシャルの身代わりの花嫁になるなんて、嫌! 死んでも嫌!
私はこのまま、お父様達の望み通り義妹の身代わりの花嫁になって、不幸になるしかない。そう思うと、絶望だった。
「――俺の婚約者に随分、酷い扱いをしているようだな、ローズリカ子爵」
でも何故か、冷酷非情、血の公爵と呼ばれる《アクト=インテレクト》様、今まで一度も顔も見に来たことがない婚約者様は、私を救いに来てくれた。
「どうぞ、俺の婚約者である立場を有効活用して下さい。セルフィは俺の、未来のインテレクト公爵夫人なのですから」
この日から、私の立場は全く違うものになった。
私は、アクト様の婚約者――――妹の身代わりの花嫁は、婚約者様に溺愛される。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔法あり。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
初恋に見切りをつけたら「氷の騎士」が手ぐすね引いて待っていた~それは非常に重い愛でした~
ひとみん
恋愛
メイリフローラは初恋の相手ユアンが大好きだ。振り向いてほしくて会う度求婚するも、困った様にほほ笑まれ受け入れてもらえない。
それが十年続いた。
だから成人した事を機に勝負に出たが惨敗。そして彼女は初恋を捨てた。今までたった 一人しか見ていなかった視野を広げようと。
そう思っていたのに、巷で「氷の騎士」と言われているレイモンドと出会う。
好きな人を追いかけるだけだった令嬢が、両手いっぱいに重い愛を抱えた令息にあっという間に捕まってしまう、そんなお話です。
ツッコミどころ満載の5話完結です。
出ていってください!~結婚相手に裏切られた令嬢はなぜか騎士様に溺愛される~
白井
恋愛
イヴェット・オーダム男爵令嬢の幸せな結婚生活が始まる……はずだった。
父の死後、急に態度が変わった結婚相手にイヴェットは振り回されていた。
財産を食いつぶす義母、継いだ仕事を放棄して不貞を続ける夫。
それでも家族の形を維持しようと努力するイヴェットは、ついに殺されかける。
「もう我慢の限界。あなたたちにはこの家から出ていってもらいます」
覚悟を決めたら、なぜか騎士団長様が執着してきたけれど困ります!
緑の指を持つ娘
Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。
ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・
俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。
第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。
ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。
疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる