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皇帝陛下の愛娘は流行病を知る
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最近、大陸全土で流行病が報告されている。症状は風邪に似ているものの、かなりの高熱が続きそのうち痙攣や嘔吐などの症状も出始め、やがて脱水症状も現れて最悪の場合死に至るらしい。
しかも厄介なことに、この新種の病は治癒魔法が効き辛いという特徴があった。決して効かないわけではないが、まるで治癒魔法の適性がある人に治癒魔法をかけた時のような効き辛さである。そのため、薬に頼るしかないが特効薬を開発するのにも時間がかかるのは目に見えていた。
特に、どの国でもスラム街での被害が深刻だ。バタバタと人が死に、埋葬が追いつかないらしい。またスラム街からどんどんと他の地区にも感染し
ていくため、人々は感染を恐れて外に出なくなり、食料品や日用品の買い占めなども起こり各国の経済にまで影響を及ぼしていた。一部の国では暴動なども起こったようだ。
ただしプロスペール皇国には、ナタナエルの私費で起こされたスラム街の更生施設がある。更生施設のおかげで、スラム街も昔と違って糞尿の垂れ流しもなく、スラム街の人々はお風呂に毎日入れる。また更生施設の事業の一環としてスラム街の掃除も組み込まれているためかなり清潔な街並みであり、スラム街の人々は衣食住を更生施設によって保証されるため、感染症の広がりは他の国と比べると抑えられていた。しかも、もし発症したとしても更生施設で手厚く看病されるため病弱な人でも命まで落とすことは今のところないようだった。
そんな中で、隣国の聖女レティシアの祝福の力はこの病にも効くことがわかった。隣国の聖女レティシアの力は強力で広大であり、たくさんの人を一度に救える。だが、その分祝福の力を使うと疲れ果てて気絶するように眠ることになる。
レティシアはその力を振るうことを厭わず、隣国はもちろんのこと被害の少ないプロスペール皇国以外の国には足しげく通う。そして祝福の力を当たり前のように使った。その度に気絶するように眠ることになって本人も身体が辛いはずなのに、次の朝には別の国に向かいまた祝福の力を振るうという。
隣国とその教会本部は、レティシアを使って各国に恩を売っていた。レティシアの身体の心配は一切せず、聖女なのだから世界に貢献して当たり前だとレティシアに感謝する様子もないようだ。レティシアに一日も休みを与えることなく、祝福の力を使わせている。まさにブラックである。
リリアージュはその話を聞いて、真っ先に国民達とレティシアを心配した。特に、毎日のように祝福の力を使って疲労が蓄積し続けているであろうレティシアがかなり心配だった。国民達ももちろん心配だが、ナタナエルの起こした更生施設のおかげで問題はないようだったので今のところ大丈夫そうだとほっとしてもいる。
レティシアにばかり負担を強いるのはおかしいと思う。もちろん、各国はレティシアに頼ってばかりではない。特効薬の開発も急がれているのは知っている。それでも現状、レティシアに頼るしかないのも事実。
レティシアの力は、範囲の指定も規模の指定も出来ないらしい。ある程度の距離まで常に全力で力が発揮されるためバダバタと倒れることになる。そのためレティシアが各国を回ると流行病だけではない色々な病気や怪我、果ては欠損まで治ってしまっているらしい。
このままではいつか本当に疲労が蓄積し過ぎてレティシアが起き上がれなくなる。リリアージュは、ナタナエルに直談判しに行った。
「パパ」
「どうした、リリアージュ」
「あのね、お願いがあるの」
「なんでも言ってみろ。叶えられるなら叶えてやる」
優しく出迎えるナタナエルにひしっと抱きついてリリアージュは言った。
「私も、レティシア様と一緒に祝福の力を使いたい。お願い、パパ」
「…だが、祝福の力を使って倒れたらどうする」
「レティシア様だってそうだよ。レティシア様だけに負担を強いるのはおかしいよ」
「だが、俺はお前が心配だ」
ナタナエルの心配そうな表情に、リリアージュは笑った。
「レティシア様と一緒にやれば大丈夫だよ、ね?」
ナタナエルは少し考えて、リリアージュが疲れ果てて倒れたとしても聖女がリリアージュのために祝福の力を使えば確かに癒されるだろうと思い至る。
隣国ばかりが各国に恩を売るのも面白くない。悪い話ではなかった。とはいえ、父親としてはやはり可愛い愛娘が心配だった。
「…本当に大丈夫なんだろうな」
「うん!絶対に無理はしないよ!約束!」
リリアージュのその言葉に、ナタナエルは長ーいため息を吐いた後許可を出した。
「…いいだろう。許可を出す。明日から隣国の聖女を追いかけて、一緒に祝福の力を使って各国に恩を売りつけて来い」
「うん!パパ、ありがとう!」
「リリアージュ、あまり心配はさせないでくれ。頼むぞ」
「うん!パパに心配をかけるようなことはしないよ!大丈夫!」
「ならいいけどな。ルイス、明日からリリアージュの護衛としてついていけ。さすがにいつものリリアージュの友人達は行かせられない。親の気持ちもあるだろうしな」
「御意。とはいえ、皇帝陛下はその間大丈夫ですか?」
「…俺は手のかかる子供か何かか?」
「これは失礼致しました。つい心配になってしまいました」
「ふふ、パパもあんまり無理しないでね。休む時はちゃんと休んで、風邪を引いたりして具合が悪くなったら執務より身体の方を優先してね」
「わかった。無理はしないから安心しろ」
「約束だよ?」
「ああ、約束だ」
ということで、翌日からリリアージュもレティシアの祝福の旅に同行することとなった。旅というか、転移魔法で移動して祝福の力を使いちゃちゃっと済ませるだけだが。観光とかも一切ないが。
隣国とその教会本部にもそのことはすぐに伝えた。正直言って隣国とその教会本部は自分達だけで各国に恩を売りたかったのだが、断るのも体裁が悪いのでリリアージュからの協力を受け入れた。
と同時に、リリアージュが祝福まで受けたと聞いて、それも効果がレティシアと同じものだと知って驚愕した。特別なはずの聖女と同じ力を持ち、妖精王の加護まで持つリリアージュに畏怖すら感じた。
リリアージュはそんなことも気にせず、明日からまたレティシアと会えることを楽しみに、少しでもレティシアの負担を軽くするために早く寝て熟睡した。
しかも厄介なことに、この新種の病は治癒魔法が効き辛いという特徴があった。決して効かないわけではないが、まるで治癒魔法の適性がある人に治癒魔法をかけた時のような効き辛さである。そのため、薬に頼るしかないが特効薬を開発するのにも時間がかかるのは目に見えていた。
特に、どの国でもスラム街での被害が深刻だ。バタバタと人が死に、埋葬が追いつかないらしい。またスラム街からどんどんと他の地区にも感染し
ていくため、人々は感染を恐れて外に出なくなり、食料品や日用品の買い占めなども起こり各国の経済にまで影響を及ぼしていた。一部の国では暴動なども起こったようだ。
ただしプロスペール皇国には、ナタナエルの私費で起こされたスラム街の更生施設がある。更生施設のおかげで、スラム街も昔と違って糞尿の垂れ流しもなく、スラム街の人々はお風呂に毎日入れる。また更生施設の事業の一環としてスラム街の掃除も組み込まれているためかなり清潔な街並みであり、スラム街の人々は衣食住を更生施設によって保証されるため、感染症の広がりは他の国と比べると抑えられていた。しかも、もし発症したとしても更生施設で手厚く看病されるため病弱な人でも命まで落とすことは今のところないようだった。
そんな中で、隣国の聖女レティシアの祝福の力はこの病にも効くことがわかった。隣国の聖女レティシアの力は強力で広大であり、たくさんの人を一度に救える。だが、その分祝福の力を使うと疲れ果てて気絶するように眠ることになる。
レティシアはその力を振るうことを厭わず、隣国はもちろんのこと被害の少ないプロスペール皇国以外の国には足しげく通う。そして祝福の力を当たり前のように使った。その度に気絶するように眠ることになって本人も身体が辛いはずなのに、次の朝には別の国に向かいまた祝福の力を振るうという。
隣国とその教会本部は、レティシアを使って各国に恩を売っていた。レティシアの身体の心配は一切せず、聖女なのだから世界に貢献して当たり前だとレティシアに感謝する様子もないようだ。レティシアに一日も休みを与えることなく、祝福の力を使わせている。まさにブラックである。
リリアージュはその話を聞いて、真っ先に国民達とレティシアを心配した。特に、毎日のように祝福の力を使って疲労が蓄積し続けているであろうレティシアがかなり心配だった。国民達ももちろん心配だが、ナタナエルの起こした更生施設のおかげで問題はないようだったので今のところ大丈夫そうだとほっとしてもいる。
レティシアにばかり負担を強いるのはおかしいと思う。もちろん、各国はレティシアに頼ってばかりではない。特効薬の開発も急がれているのは知っている。それでも現状、レティシアに頼るしかないのも事実。
レティシアの力は、範囲の指定も規模の指定も出来ないらしい。ある程度の距離まで常に全力で力が発揮されるためバダバタと倒れることになる。そのためレティシアが各国を回ると流行病だけではない色々な病気や怪我、果ては欠損まで治ってしまっているらしい。
このままではいつか本当に疲労が蓄積し過ぎてレティシアが起き上がれなくなる。リリアージュは、ナタナエルに直談判しに行った。
「パパ」
「どうした、リリアージュ」
「あのね、お願いがあるの」
「なんでも言ってみろ。叶えられるなら叶えてやる」
優しく出迎えるナタナエルにひしっと抱きついてリリアージュは言った。
「私も、レティシア様と一緒に祝福の力を使いたい。お願い、パパ」
「…だが、祝福の力を使って倒れたらどうする」
「レティシア様だってそうだよ。レティシア様だけに負担を強いるのはおかしいよ」
「だが、俺はお前が心配だ」
ナタナエルの心配そうな表情に、リリアージュは笑った。
「レティシア様と一緒にやれば大丈夫だよ、ね?」
ナタナエルは少し考えて、リリアージュが疲れ果てて倒れたとしても聖女がリリアージュのために祝福の力を使えば確かに癒されるだろうと思い至る。
隣国ばかりが各国に恩を売るのも面白くない。悪い話ではなかった。とはいえ、父親としてはやはり可愛い愛娘が心配だった。
「…本当に大丈夫なんだろうな」
「うん!絶対に無理はしないよ!約束!」
リリアージュのその言葉に、ナタナエルは長ーいため息を吐いた後許可を出した。
「…いいだろう。許可を出す。明日から隣国の聖女を追いかけて、一緒に祝福の力を使って各国に恩を売りつけて来い」
「うん!パパ、ありがとう!」
「リリアージュ、あまり心配はさせないでくれ。頼むぞ」
「うん!パパに心配をかけるようなことはしないよ!大丈夫!」
「ならいいけどな。ルイス、明日からリリアージュの護衛としてついていけ。さすがにいつものリリアージュの友人達は行かせられない。親の気持ちもあるだろうしな」
「御意。とはいえ、皇帝陛下はその間大丈夫ですか?」
「…俺は手のかかる子供か何かか?」
「これは失礼致しました。つい心配になってしまいました」
「ふふ、パパもあんまり無理しないでね。休む時はちゃんと休んで、風邪を引いたりして具合が悪くなったら執務より身体の方を優先してね」
「わかった。無理はしないから安心しろ」
「約束だよ?」
「ああ、約束だ」
ということで、翌日からリリアージュもレティシアの祝福の旅に同行することとなった。旅というか、転移魔法で移動して祝福の力を使いちゃちゃっと済ませるだけだが。観光とかも一切ないが。
隣国とその教会本部にもそのことはすぐに伝えた。正直言って隣国とその教会本部は自分達だけで各国に恩を売りたかったのだが、断るのも体裁が悪いのでリリアージュからの協力を受け入れた。
と同時に、リリアージュが祝福まで受けたと聞いて、それも効果がレティシアと同じものだと知って驚愕した。特別なはずの聖女と同じ力を持ち、妖精王の加護まで持つリリアージュに畏怖すら感じた。
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