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ルナの魔法の属性

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物心ついてからは教会に初めてきたというルナは恐縮している。私は構わず神父様に話しかける。

「神父様!お久しぶりです!」

「ナタリア様!?どうしました、こんな寂れた教会に」

神父様は昔私の魔法の属性を見てくれた人。会ったのはその時一回きりだけど、優しい人だと思うので大丈夫だろう。

「この娘の魔法の属性を見て欲しいのですが」

「あ、は、はじめまして、ルナと申します」

「わかりました。その前にルナ様。パンでもいかがです?」

「え?」

「だめだめ。この娘はこれから、私と街に出ていろんなものを買い食いするんだからだめです、神父様」

神父様は眼を見張る。

「…良い出会いがあったのですね、ナタリア様」

「出会いっていうか…色々あったんです」

逆行転生前は本当に色々あり過ぎた…。

「では、水晶に手をかざしてください」

「はい」

水晶は黒く濁った光を放つ。え、これって…。

「闇属性魔法…!?」

「これは…なんということでしょうか…」

この世界には、いくつかの魔力の属性が存在する。治癒魔法、火属性魔法、水属性魔法、土属性魔法、金属属性魔法、植物属性魔法、そして、闇属性魔法。特に貴重で魔力が高く、有能な魔法は治癒と闇属性。でも、治癒魔法は自然発生するけれど、闇属性は後天的なもの。…東の女神の呪いを受けたものだけが得られる魔法。それでもって、東の女神の呪いは割とえげつない。本人ではなく、本人の身近な人間に作用する。そして、作用した人は本人に幸運や健康を吸い取られ、気が付けば不幸になりやがて誰かに殺される。…まあ、とはいえ別に親しければ誰彼構わず作用するわけではなく、生まれた時に一番近しい相手に作用するわけで。それに、物理的に遠くにいれば作用しないし。私には関係ないわよね。

「あの、闇属性魔法って?」

「私の治癒魔法と同じくらい強い魔法よ。私の治癒魔法は人を癒せて、貴女の闇属性魔法は貴女の大切な人間を守る力になるわ」

「本当ですか!?」

「ええ。まあ、後は追い追い説明するわ。そうだ、今日は遊びに行くけれど、明日からは男爵家で勉強会てもしましょうか。お土産におやつも持っていってあげる」

「ナタリア様、ありがとうございます!」

目をキラキラとさせるルナ。くっ…可愛い。なんか悔しい。

「ほらっ、さっさと行くわよ!神父様、ありがとうございました」

「ありがとうございました!」

「…ええ、どうかお二人に双子神の祝福がありますように」

そうして私達は教会を出て、再び街を目指して歩いて行く。平民っていつもこんな不便な思いをしているのね。平民も馬車を使えればいいのに。
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