SSSランクの女冒険者は、ちびっこに変化したドラゴンと共にたくさんの料理を堪能する旅に出る

下菊みこと

文字の大きさ
40 / 57

オムライス

しおりを挟む
今日はドリル鳥の卵の収穫依頼が入った。ドリル鳥は鋭い嘴をドリルのように使い、建物に穴を開けて巣を作ってしまう厄介な魔獣だ。その上繁殖能力が高く、一度に十個もの卵を産む。人間の建物の中に巣を作るので天敵も人間以外は居らず、雛はスクスクと成長するので数が増えるのも早い。

しかし恩恵もある。このドリル鳥の卵、すごく美味しいのだ。なんなら卵一つで巣にするために壊された建物の修繕費を賄えるくらいには高値で取引される。なのであえて駆除はせず、卵だけ貰うという人が意外と多い。

…まあ、卵を毎回全部奪っていたらいつかは絶滅すると思うけど私が考えても仕方ないことだ。魔獣だから一体一体の寿命も繁殖可能期間も長いしなんとかなるんじゃなかろうか。

ということで、ドリルのように使える嘴を持つ怖い魔獣であるドリル鳥に立ち向かい卵を収穫することになった。

といっても、魔力回復ポーションを多用しつつかなり強力な睡眠魔法を巣に掛けてドリル鳥を無理矢理眠らせる。そもそも強い魔獣なのに、その上繁殖期なので眠らせるのも一苦労だ。

そして寝ている隙に卵を十個全てもらう。ちょっと可哀想だけど。そういえば、ドリル鳥の卵って有精卵なんだよなーなんて考えながら撤収。

依頼主である建物の主人にドリル鳥の卵全部を渡す。かなり有り難い依頼料をいただいた。

今日も財布がホクホクなので、リオルになにか奮発して美味しいものをと思いながら宿に戻る。帰り道にドリル鳥の卵を使ったオムライスののぼりを見たので、あそこにしよう。

「ただいま、リオル」

「リリア!おかえりなさいなのじゃー!」

「今日はオムライスを食べに行こうか」

「オムライスかの?美味しそうな名前じゃのー」

「じゃあ行こうか」

「おー!」

リオルと手を繋いでオムライスののぼりのお店に向かう。お店に入ると、結構混んでいる。なんとか一席テーブル席をゲットした。

「いらっしゃいませ」

「果実水二人分とオムライス二人分」

「かしこまりました」

リオルと果実水を飲みながらお話をしていると、店員さんがオムライスを運んできた。

「お待たせしました、オムライスです」

「ありがとう」

「おおー!これがオムライスなのじゃな!美味しそうなのじゃー!」

「いただきます」

「いただきますなのじゃー!」

まずは一口。うん、美味しい。

「ドリル鳥の卵だけあって、すごく美味しいわ。味が濃くてコクがあるのね」

「卵がふわふわで美味しいのじゃー!中には鳥の肉かの?あと豆や野菜の小さいのの入ったライスなのじゃー!ケチャップ味で美味しいのじゃー!」

「チキンライス、いいわよね。私も好きよ。でも、ただのチキンライスよりやっぱりぷるぷるのオムレツを乗せたオムライスの方が好きね」

「ほー、オムレツとチキンライスって言うんじゃのー。だからオムライスなのじゃな。オムライス、わし大好きなのじゃー!」

リオルに新たな大好物が出来た。満腹になりお代を払って店を出る。手を繋いで宿に帰るけれど、リオルはずっとオムライスの話ばかり。そんなリオルは寝るまでオムライスが美味しかったという話を続けていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

処理中です...