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赤百合様と白藤様の同盟
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白薔薇様の壺事件から一日、今度は赤百合様に呼び出された。今日も今日とて後宮を楽しめそう!赤百合様の部屋に招かれると白藤様もいらしていた。なんだこの面子は。
「赤百合様…どういったご用件でしょうか?」
「ふふ、そんなに慌てないで。まずはお茶でもどうかしら?」
「そうよー。せっかく赤百合様にお招きいただいたんだもの。私達中堅貴族じゃ楽しめない美味しいお茶菓子をご馳走になりましょ!」
白藤様相変わらずだなー。そういうところ嫌いじゃない!
「では、お言葉に甘えて…」
ということでテーブルを囲んでお茶を頂く。
「今日のお茶菓子はユリ根入りのパウンドケーキよ。ユリ根には滋養強壮の他に、様々な効果があるわ。特に栄養価の高い食品でもあるわね」
「赤百合様は博識ですね!」
「凄いわよねー、赤百合様。なんでも知ってて」
「あら、そうでもないわよ?知っていることを知っているだけ。わからない分野はさっぱりだわ」
「そうなんですか?」
「ええ。例えば遠い異国で珍しい生物が発見されたといえば迷わずに購入して観察するけれど、国内で新しい魔法術式が確立されたといわれても心ときめかないわ」
「あー…アレですよね、後宮物語が出たら速攻で買うけど、悪役令嬢モノには食指が動かない、みたいな」
「ふふ、独特の例えね。ええ、そんなものよ」
「白百合様ってそういうの読んでるの?意外!」
「え?そうですか?」
「だって貴女、恋愛なんて興味なさそうなんだもの!」
「え!?興味津々ですよ?皆様と皇帝陛下の間柄とか特に!」
「うっそー!やだー!」
「ふふ、仲がいいのね?私も混ぜてちょうだいな」
「どうぞどうぞ」
「ぜひぜひ」
「ところで、お二人は赤薔薇派なの?白薔薇派なの?」
「やだ!赤百合様ったらいきなり爆弾を落とすタイプですの!?」
「ふふふ」
「…あー、率直に言って、赤百合派です」
「え?」
「は?」
「正直、赤薔薇様か赤百合様が皇后になってくださる方が白薔薇様より後宮の居心地が良さそうなんで」
「それはわかるわー。白薔薇様明らかに私達のこと見下してるもん」
「気難しい方だものね。でも、赤薔薇様より私を応援してくれるの?なぜ?」
「いやぁ…赤薔薇様が皇后になられると白薔薇様が排除される方向に向きそうで…私的には白薔薇様にも興味津々ですので…」
「好奇心は猫をなんちゃら、よ?」
「まあ、それはそうなんですが…」
「でも、赤薔薇様か白薔薇様が皇后になるより遥かにパワーバランスが取れそうね」
「まあ、赤薔薇様になにかあったら私と赤藤様は赤薔薇様に付くんですけど」
「もしかして昨日の壺事件?」
「そうですそうです」
「なるほどね…白藤様は?」
「んー…赤薔薇様派だけど、赤百合様も応援してますよ?ただ、皇后になるのはこの私だと思いますけど!」
自信たっぷりな白藤様。すごい。
「あら、ふふ。それは強力なライバルがいたものだわ。でもまあ、それなら私が赤薔薇派についても問題なさそうね?白薔薇様には孤立してもらいましょう。そうすれば皇帝陛下の白薔薇様への評価も下がるはず。…まあ、赤薔薇様を超えられるかは問題だけど」
「そうだ!赤百合様、同盟を結びません?」
「白藤様の出す条件次第では考えるわ」
「まず、私と赤百合様の間では足の引っ張り合いは無し!」
「ええ」
「どちらかがピンチの時には助ける!」
「なるほど?」
「どちらかが優位な立場になったら相手を特別に引き立てる!」
「あら、いいじゃない。いいわ、同盟を結びましょう」
わあ、二人ともノリノリだ。赤薔薇様を超える足がかりになるかはわからないけど、面白くなりそう。
「じゃあ、今日はこの辺でお開きにしましょうか」
「じゃあ、また呼んでくださいね、赤百合様!白百合様もまたね!」
「はい、また。失礼します」
「失礼しました!」
「ええ、二人ともまたね」
あー、今日も後宮は楽しいです!
「赤百合様…どういったご用件でしょうか?」
「ふふ、そんなに慌てないで。まずはお茶でもどうかしら?」
「そうよー。せっかく赤百合様にお招きいただいたんだもの。私達中堅貴族じゃ楽しめない美味しいお茶菓子をご馳走になりましょ!」
白藤様相変わらずだなー。そういうところ嫌いじゃない!
「では、お言葉に甘えて…」
ということでテーブルを囲んでお茶を頂く。
「今日のお茶菓子はユリ根入りのパウンドケーキよ。ユリ根には滋養強壮の他に、様々な効果があるわ。特に栄養価の高い食品でもあるわね」
「赤百合様は博識ですね!」
「凄いわよねー、赤百合様。なんでも知ってて」
「あら、そうでもないわよ?知っていることを知っているだけ。わからない分野はさっぱりだわ」
「そうなんですか?」
「ええ。例えば遠い異国で珍しい生物が発見されたといえば迷わずに購入して観察するけれど、国内で新しい魔法術式が確立されたといわれても心ときめかないわ」
「あー…アレですよね、後宮物語が出たら速攻で買うけど、悪役令嬢モノには食指が動かない、みたいな」
「ふふ、独特の例えね。ええ、そんなものよ」
「白百合様ってそういうの読んでるの?意外!」
「え?そうですか?」
「だって貴女、恋愛なんて興味なさそうなんだもの!」
「え!?興味津々ですよ?皆様と皇帝陛下の間柄とか特に!」
「うっそー!やだー!」
「ふふ、仲がいいのね?私も混ぜてちょうだいな」
「どうぞどうぞ」
「ぜひぜひ」
「ところで、お二人は赤薔薇派なの?白薔薇派なの?」
「やだ!赤百合様ったらいきなり爆弾を落とすタイプですの!?」
「ふふふ」
「…あー、率直に言って、赤百合派です」
「え?」
「は?」
「正直、赤薔薇様か赤百合様が皇后になってくださる方が白薔薇様より後宮の居心地が良さそうなんで」
「それはわかるわー。白薔薇様明らかに私達のこと見下してるもん」
「気難しい方だものね。でも、赤薔薇様より私を応援してくれるの?なぜ?」
「いやぁ…赤薔薇様が皇后になられると白薔薇様が排除される方向に向きそうで…私的には白薔薇様にも興味津々ですので…」
「好奇心は猫をなんちゃら、よ?」
「まあ、それはそうなんですが…」
「でも、赤薔薇様か白薔薇様が皇后になるより遥かにパワーバランスが取れそうね」
「まあ、赤薔薇様になにかあったら私と赤藤様は赤薔薇様に付くんですけど」
「もしかして昨日の壺事件?」
「そうですそうです」
「なるほどね…白藤様は?」
「んー…赤薔薇様派だけど、赤百合様も応援してますよ?ただ、皇后になるのはこの私だと思いますけど!」
自信たっぷりな白藤様。すごい。
「あら、ふふ。それは強力なライバルがいたものだわ。でもまあ、それなら私が赤薔薇派についても問題なさそうね?白薔薇様には孤立してもらいましょう。そうすれば皇帝陛下の白薔薇様への評価も下がるはず。…まあ、赤薔薇様を超えられるかは問題だけど」
「そうだ!赤百合様、同盟を結びません?」
「白藤様の出す条件次第では考えるわ」
「まず、私と赤百合様の間では足の引っ張り合いは無し!」
「ええ」
「どちらかがピンチの時には助ける!」
「なるほど?」
「どちらかが優位な立場になったら相手を特別に引き立てる!」
「あら、いいじゃない。いいわ、同盟を結びましょう」
わあ、二人ともノリノリだ。赤薔薇様を超える足がかりになるかはわからないけど、面白くなりそう。
「じゃあ、今日はこの辺でお開きにしましょうか」
「じゃあ、また呼んでくださいね、赤百合様!白百合様もまたね!」
「はい、また。失礼します」
「失礼しました!」
「ええ、二人ともまたね」
あー、今日も後宮は楽しいです!
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