3 / 76
ちゃんと生活出来るようになってた
しおりを挟む
さて、食われないならばこれからの生活はどうしようか。
何も持ってきていない。
「あ、そうだ!リーシュに家の中を案内するね!特に特別なこともないけど!」
「あ、はい」
「その前にうちの使用人を紹介しよう」
え、いるのと驚いた。
いや、いいけど。
と思ったら、目の前に羽根の生えた猫が飛んできた。
いや、え。
可愛いけど。
「うちの使用人のミネットだ!雨の日に迷い込んできた子猫が力尽きてしまって…そのまま死なせるのも可哀想だから、天に昇る前に本人に許可を得て使い魔に作り変えたんだ」
「わあ」
優しいし本人…本猫も納得してるから全然いいけどなんかもう色々とヒトとはスケールが違う。
「にゃーん」
「ふふ、可愛い」
ミネットちゃんは幸い私に懐いてくれる。
スリスリされて気分がいい。
「ふふ、相性がいいようで良かった。おれの奥さん、ミネットをよろしくね」
「はい」
「ミネットは使い魔だからおれの魔力を食う以外手はかからないし、むしろ魔法で家事…掃除と洗濯をしてくれるから家のことは安心してね!」
ならば外壁の血もなんとかしてくれんか。
いや、もういいけど。
どうせあれだけ年季が入った血は落ちない。
多分。
「ミネットちゃん、リーシュです。これからフェリーク様の妻となります。家事はお任せしていいのかな。よろしくね」
「にゃーん!」
任せて!と手を挙げるミネットちゃんは多分世界一可愛い。
「で、家の中の案内ね。あ、そうそう。君の部屋もあるよ」
「え?」
「昨日普段餌を持ってきてくれる人たちが家具やらなんやら持ってきてさ。全部君のためだったんだね。おれよくわかってなかったよ」
そう言ったフェリーク様に着いて行く。
「まずはとりあえず一階から。ここが玄関ね」
「はい」
「ここ廊下でここ水洗トイレね。こっちが階段でこの先は後でね。こっちがリビング」
スイスイと色々説明されるが、まあ実家の屋敷と違って普通のお家なので覚えられる。
「リビングの奥に台所があってー、その向こうにお風呂もあるよ。その分リビングが無駄に広いけどね」
「ふふ」
「台所っておれには必要ないと思ってたけど、リーシュが来てくれたからあって良かったよー。五百年前作るときにはいらないって言い張ってたんだけどね」
「五百年…」
まあそりゃそうか。
魔法で当時のまま維持してるんだろうな。
「一通りのキッチン用品は揃ってるけど、ご飯はミネットに任せていいよ。見たところ良いところのお嬢さんだろうし、自分では作れないだろう?」
「お菓子なら行けますが、料理はちんぷんかんぷんですね」
「え、お菓子作れるの?いいなぁ、おれも食べられるなら作ってもらうのに」
この妖獣は本当にそういうところが不憫に思う。
「あ。一応昨日来た人たちが食材一式持ってきたし、多分定期的にまた持ってくるから安心していいと思う」
「ありがとうございます」
「あとはバスルームはこんな感じね」
見たところ普通。
「じゃあ次は二階ね」
「二階」
一緒に上がる。
まあ多分。
この妖獣は二階で食事をしている。
一階にはそんな形跡なかったから。
「二階は四部屋あるよ。一部屋はおれの部屋。こんな感じー、いつでも来ていいからねー」
お呼ばれした部屋はシンプル。
アンド綺麗。
「こっちが君の部屋ー」
用意された部屋もやっぱりシンプル。
アンド綺麗。
ただ物は良いのはわかる。
タンスの中にはサイズもセンスも良い感じの洋服がたくさん入ってる。
下着も用意されてるのはなんとかして欲しいけどまあ物自体は洋服と同じく問題ない。
「で、この部屋は使ってない。将来子供が出来たらとかここを建てた時言われたけど、いつか産んでくれるかい?」
さらっと言われてむせる。
けれど心配して背中をさすってくれる彼に頷いた。
「もちろんです」
「なら良かった。いつかを楽しみにしているね」
おれ、子供の作り方わかんないけど。
そんな言葉に色々前途多難だなぁと思うが、ある意味安堵。
まあ、本当に必要になった時に教えて差し上げればいい。
座学なら履修済みだ。
まだ私も十八になったばかりだし時間はある。うん。多分おそらくきっと焦ることはない。うん。
何も持ってきていない。
「あ、そうだ!リーシュに家の中を案内するね!特に特別なこともないけど!」
「あ、はい」
「その前にうちの使用人を紹介しよう」
え、いるのと驚いた。
いや、いいけど。
と思ったら、目の前に羽根の生えた猫が飛んできた。
いや、え。
可愛いけど。
「うちの使用人のミネットだ!雨の日に迷い込んできた子猫が力尽きてしまって…そのまま死なせるのも可哀想だから、天に昇る前に本人に許可を得て使い魔に作り変えたんだ」
「わあ」
優しいし本人…本猫も納得してるから全然いいけどなんかもう色々とヒトとはスケールが違う。
「にゃーん」
「ふふ、可愛い」
ミネットちゃんは幸い私に懐いてくれる。
スリスリされて気分がいい。
「ふふ、相性がいいようで良かった。おれの奥さん、ミネットをよろしくね」
「はい」
「ミネットは使い魔だからおれの魔力を食う以外手はかからないし、むしろ魔法で家事…掃除と洗濯をしてくれるから家のことは安心してね!」
ならば外壁の血もなんとかしてくれんか。
いや、もういいけど。
どうせあれだけ年季が入った血は落ちない。
多分。
「ミネットちゃん、リーシュです。これからフェリーク様の妻となります。家事はお任せしていいのかな。よろしくね」
「にゃーん!」
任せて!と手を挙げるミネットちゃんは多分世界一可愛い。
「で、家の中の案内ね。あ、そうそう。君の部屋もあるよ」
「え?」
「昨日普段餌を持ってきてくれる人たちが家具やらなんやら持ってきてさ。全部君のためだったんだね。おれよくわかってなかったよ」
そう言ったフェリーク様に着いて行く。
「まずはとりあえず一階から。ここが玄関ね」
「はい」
「ここ廊下でここ水洗トイレね。こっちが階段でこの先は後でね。こっちがリビング」
スイスイと色々説明されるが、まあ実家の屋敷と違って普通のお家なので覚えられる。
「リビングの奥に台所があってー、その向こうにお風呂もあるよ。その分リビングが無駄に広いけどね」
「ふふ」
「台所っておれには必要ないと思ってたけど、リーシュが来てくれたからあって良かったよー。五百年前作るときにはいらないって言い張ってたんだけどね」
「五百年…」
まあそりゃそうか。
魔法で当時のまま維持してるんだろうな。
「一通りのキッチン用品は揃ってるけど、ご飯はミネットに任せていいよ。見たところ良いところのお嬢さんだろうし、自分では作れないだろう?」
「お菓子なら行けますが、料理はちんぷんかんぷんですね」
「え、お菓子作れるの?いいなぁ、おれも食べられるなら作ってもらうのに」
この妖獣は本当にそういうところが不憫に思う。
「あ。一応昨日来た人たちが食材一式持ってきたし、多分定期的にまた持ってくるから安心していいと思う」
「ありがとうございます」
「あとはバスルームはこんな感じね」
見たところ普通。
「じゃあ次は二階ね」
「二階」
一緒に上がる。
まあ多分。
この妖獣は二階で食事をしている。
一階にはそんな形跡なかったから。
「二階は四部屋あるよ。一部屋はおれの部屋。こんな感じー、いつでも来ていいからねー」
お呼ばれした部屋はシンプル。
アンド綺麗。
「こっちが君の部屋ー」
用意された部屋もやっぱりシンプル。
アンド綺麗。
ただ物は良いのはわかる。
タンスの中にはサイズもセンスも良い感じの洋服がたくさん入ってる。
下着も用意されてるのはなんとかして欲しいけどまあ物自体は洋服と同じく問題ない。
「で、この部屋は使ってない。将来子供が出来たらとかここを建てた時言われたけど、いつか産んでくれるかい?」
さらっと言われてむせる。
けれど心配して背中をさすってくれる彼に頷いた。
「もちろんです」
「なら良かった。いつかを楽しみにしているね」
おれ、子供の作り方わかんないけど。
そんな言葉に色々前途多難だなぁと思うが、ある意味安堵。
まあ、本当に必要になった時に教えて差し上げればいい。
座学なら履修済みだ。
まだ私も十八になったばかりだし時間はある。うん。多分おそらくきっと焦ることはない。うん。
149
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】狼な俺のフィアンセは、98歳〜真実の目で本性を見る少年は、老婆な婚約者を溺愛する
ジュレヌク
恋愛
人の内面を動物の姿として捉える魔眼を持った少年、ウォルフ。
家族にすら言えぬ秘密を抱え生きてきた彼の前に現れたのは、白銀の髪を持つ、シワシワの老婆に見える8才の少女、オトミー。
魔力を抑える眼鏡を掛けないでも、『人』として見える彼女に惹かれた彼は、老婆にしか見えない彼女を溺愛していく。
そして、婚約者となった彼女に自分の秘密を告白した時、彼女からも、ある秘密を教えてもらうことになる。
魂で繋がる2人の少年少女。
天才の名を欲しいままにする彼らの『ほのぼの』や『てんやわんや』なお話。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
【完結】ありのままのわたしを愛して
彩華(あやはな)
恋愛
私、ノエルは左目に傷があった。
そのため学園では悪意に晒されている。婚約者であるマルス様は庇ってくれないので、図書館に逃げていた。そんな時、外交官である兄が国外視察から帰ってきたことで、王立大図書館に行けることに。そこで、一人の青年に会うー。
私は好きなことをしてはいけないの?傷があってはいけないの?
自分が自分らしくあるために私は動き出すー。ありのままでいいよね?
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる