美しき妖獣の花嫁となった

下菊みこと

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ちゃんと生活出来るようになってた

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さて、食われないならばこれからの生活はどうしようか。

何も持ってきていない。

「あ、そうだ!リーシュに家の中を案内するね!特に特別なこともないけど!」

「あ、はい」

「その前にうちの使用人を紹介しよう」

え、いるのと驚いた。

いや、いいけど。

と思ったら、目の前に羽根の生えた猫が飛んできた。

いや、え。

可愛いけど。

「うちの使用人のミネットだ!雨の日に迷い込んできた子猫が力尽きてしまって…そのまま死なせるのも可哀想だから、天に昇る前に本人に許可を得て使い魔に作り変えたんだ」

「わあ」

優しいし本人…本猫も納得してるから全然いいけどなんかもう色々とヒトとはスケールが違う。

「にゃーん」

「ふふ、可愛い」

ミネットちゃんは幸い私に懐いてくれる。

スリスリされて気分がいい。

「ふふ、相性がいいようで良かった。おれの奥さん、ミネットをよろしくね」

「はい」

「ミネットは使い魔だからおれの魔力を食う以外手はかからないし、むしろ魔法で家事…掃除と洗濯をしてくれるから家のことは安心してね!」

ならば外壁の血もなんとかしてくれんか。

いや、もういいけど。

どうせあれだけ年季が入った血は落ちない。

多分。

「ミネットちゃん、リーシュです。これからフェリーク様の妻となります。家事はお任せしていいのかな。よろしくね」

「にゃーん!」

任せて!と手を挙げるミネットちゃんは多分世界一可愛い。

「で、家の中の案内ね。あ、そうそう。君の部屋もあるよ」

「え?」

「昨日普段餌を持ってきてくれる人たちが家具やらなんやら持ってきてさ。全部君のためだったんだね。おれよくわかってなかったよ」

そう言ったフェリーク様に着いて行く。

「まずはとりあえず一階から。ここが玄関ね」

「はい」

「ここ廊下でここ水洗トイレね。こっちが階段でこの先は後でね。こっちがリビング」

スイスイと色々説明されるが、まあ実家の屋敷と違って普通のお家なので覚えられる。

「リビングの奥に台所があってー、その向こうにお風呂もあるよ。その分リビングが無駄に広いけどね」

「ふふ」

「台所っておれには必要ないと思ってたけど、リーシュが来てくれたからあって良かったよー。五百年前作るときにはいらないって言い張ってたんだけどね」

「五百年…」

まあそりゃそうか。

魔法で当時のまま維持してるんだろうな。

「一通りのキッチン用品は揃ってるけど、ご飯はミネットに任せていいよ。見たところ良いところのお嬢さんだろうし、自分では作れないだろう?」

「お菓子なら行けますが、料理はちんぷんかんぷんですね」

「え、お菓子作れるの?いいなぁ、おれも食べられるなら作ってもらうのに」

この妖獣は本当にそういうところが不憫に思う。

「あ。一応昨日来た人たちが食材一式持ってきたし、多分定期的にまた持ってくるから安心していいと思う」

「ありがとうございます」

「あとはバスルームはこんな感じね」

見たところ普通。

「じゃあ次は二階ね」

「二階」

一緒に上がる。

まあ多分。

この妖獣は二階で食事をしている。

一階にはそんな形跡なかったから。

「二階は四部屋あるよ。一部屋はおれの部屋。こんな感じー、いつでも来ていいからねー」

お呼ばれした部屋はシンプル。

アンド綺麗。

「こっちが君の部屋ー」

用意された部屋もやっぱりシンプル。

アンド綺麗。

ただ物は良いのはわかる。

タンスの中にはサイズもセンスも良い感じの洋服がたくさん入ってる。

下着も用意されてるのはなんとかして欲しいけどまあ物自体は洋服と同じく問題ない。

「で、この部屋は使ってない。将来子供が出来たらとかここを建てた時言われたけど、いつか産んでくれるかい?」

さらっと言われてむせる。

けれど心配して背中をさすってくれる彼に頷いた。

「もちろんです」

「なら良かった。いつかを楽しみにしているね」

おれ、子供の作り方わかんないけど。

そんな言葉に色々前途多難だなぁと思うが、ある意味安堵。

まあ、本当に必要になった時に教えて差し上げればいい。

座学なら履修済みだ。

まだ私も十八になったばかりだし時間はある。うん。多分おそらくきっと焦ることはない。うん。
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