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両親に婚約を認めてもらう
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私はアナトールを屋敷に連れて帰った。
で、今まさに家族会議の最中である。
「で?強盗犯のところに突っ込んでいったのは反省しているのかな?」
だが、アナトールの話の前にまずは強盗犯との対峙の件について怒られている。
「はい、反省していますわ」
お父様もお母様も、目が怖い。
「貴女はこの家の一人娘なのよ?わかっているの?」
「は、はい…」
「この家の正統な後継者はお前一人だ。もちろん、お前が良家に嫁ぐなら遠縁の親戚から後継者候補を探すこともできるが…可能ならお前に継がせようと思っている」
「…はい」
「自分の立場をもっと自覚しなさい。自分を大切にすることが、お前の周りを大切にすることにもなるんだ」
い、言えない。自分の悪役令嬢フラグを壊すためだったとは言えない。ふざけていると勘違いされる。でも、自分のためにやったことなんだけどなぁ…。口が裂けても言えないんだけど。頭おかしくなったと思われても嫌だし。
「お父様、お母様、本当にごめんなさい。もう、危険なことはしませんわ。自分の身の安全を優先しますわ」
「…ちゃんと誓えるかい?」
「はい、神に誓いますわ」
この世界では、神に誓うということは前世の日本の感覚とは違い非常に重い行為だ。けれど、自分の身の安全を優先するのは私としては願ったり叶ったりなので誓うことに問題はない。…絶対に破れない誓いになるけど。
「…真剣に、反省したんだね。その誓いは決して忘れてはいけないよ。神に誓うのだから」
「はい、お父様」
「そこまで言うなら、私から言うことはもうないわ」
「はい、本当にごめんなさい…お父様、お母様、愛しています。もう二度としませんわ」
私が改めてそう言えば、二人は頷いてくれた。
「それなら良かった。さて…問題は、彼だが」
お父様とお母様が、アナトールを見る。その目は優しい。
「まさか、エリアーヌに運命の番が見つかるとは。めでたいことだ」
「ふふ、今夜は家族でお祝いをしなければね」
「お父様、お母様…!」
まさかここまですんなりと認めてもらえるとは思わなかった。
「エリアーヌ。運命の番とはなかなか出会えないものだ。この出会いは大切にしなさい」
「はい、お父様!」
「婚約を後日正式に、教会に申し入れるわ。とはいえ、平民と公爵家の娘の婚約なんてなかなか無いわ。もちろん運命の番ですもの。尊重はされるけれども、いつかやっかみを買うこともあるでしょう。彼をちゃんと守るのよ」
「はい、お母様!」
そして、アナトールが自分から前に出た。
「あ、あの…俺、アナトールと言います!エリアーヌから名前を貰って…えっと、それで、エリアーヌとのことを認めてもらえて嬉しいです。あの…これからよろしくお願いします!」
「アナトールか。良い名前だね。こちらこそ娘をよろしく頼むよ」
「娘はちょっとわがままな子だけれど、私達の宝なの。どうか、側で支えてあげてちょうだいね」
「はい!」
こうしてアナトールは、お父様とお母様にも認められた。
侍女はその様子を側で見ていて、心底ホッとしたような表情をした。なんだかんだで私にとても甘い侍女だから。
護衛騎士達は、お父様からの処罰を待っている。私の勝手で危ない目に遭ったのだけど、護衛騎士達は頑張ってくれたのだけど結局一週間の謹慎を食らった。
とはいえ、この処分は激甘らしい。守るべき私を危ない目に遭わせたのだから、本来ならば職を失うどころか物理的に首が飛ぶレベルの話だそう。甘く見てた…巻き込んでごめんなさい…。
ただお父様も、今回は私が勝手に飛び出したからだとこの処分に留めてくれた。次はないらしいけど。
「あの、本当にごめんなさい」
騎士達に謝ると、微笑んでくれた。プロ根性なのか、本当に許してくれたのか…これからはもっと彼らを大切にしようと、改めて心に誓った。
で、今まさに家族会議の最中である。
「で?強盗犯のところに突っ込んでいったのは反省しているのかな?」
だが、アナトールの話の前にまずは強盗犯との対峙の件について怒られている。
「はい、反省していますわ」
お父様もお母様も、目が怖い。
「貴女はこの家の一人娘なのよ?わかっているの?」
「は、はい…」
「この家の正統な後継者はお前一人だ。もちろん、お前が良家に嫁ぐなら遠縁の親戚から後継者候補を探すこともできるが…可能ならお前に継がせようと思っている」
「…はい」
「自分の立場をもっと自覚しなさい。自分を大切にすることが、お前の周りを大切にすることにもなるんだ」
い、言えない。自分の悪役令嬢フラグを壊すためだったとは言えない。ふざけていると勘違いされる。でも、自分のためにやったことなんだけどなぁ…。口が裂けても言えないんだけど。頭おかしくなったと思われても嫌だし。
「お父様、お母様、本当にごめんなさい。もう、危険なことはしませんわ。自分の身の安全を優先しますわ」
「…ちゃんと誓えるかい?」
「はい、神に誓いますわ」
この世界では、神に誓うということは前世の日本の感覚とは違い非常に重い行為だ。けれど、自分の身の安全を優先するのは私としては願ったり叶ったりなので誓うことに問題はない。…絶対に破れない誓いになるけど。
「…真剣に、反省したんだね。その誓いは決して忘れてはいけないよ。神に誓うのだから」
「はい、お父様」
「そこまで言うなら、私から言うことはもうないわ」
「はい、本当にごめんなさい…お父様、お母様、愛しています。もう二度としませんわ」
私が改めてそう言えば、二人は頷いてくれた。
「それなら良かった。さて…問題は、彼だが」
お父様とお母様が、アナトールを見る。その目は優しい。
「まさか、エリアーヌに運命の番が見つかるとは。めでたいことだ」
「ふふ、今夜は家族でお祝いをしなければね」
「お父様、お母様…!」
まさかここまですんなりと認めてもらえるとは思わなかった。
「エリアーヌ。運命の番とはなかなか出会えないものだ。この出会いは大切にしなさい」
「はい、お父様!」
「婚約を後日正式に、教会に申し入れるわ。とはいえ、平民と公爵家の娘の婚約なんてなかなか無いわ。もちろん運命の番ですもの。尊重はされるけれども、いつかやっかみを買うこともあるでしょう。彼をちゃんと守るのよ」
「はい、お母様!」
そして、アナトールが自分から前に出た。
「あ、あの…俺、アナトールと言います!エリアーヌから名前を貰って…えっと、それで、エリアーヌとのことを認めてもらえて嬉しいです。あの…これからよろしくお願いします!」
「アナトールか。良い名前だね。こちらこそ娘をよろしく頼むよ」
「娘はちょっとわがままな子だけれど、私達の宝なの。どうか、側で支えてあげてちょうだいね」
「はい!」
こうしてアナトールは、お父様とお母様にも認められた。
侍女はその様子を側で見ていて、心底ホッとしたような表情をした。なんだかんだで私にとても甘い侍女だから。
護衛騎士達は、お父様からの処罰を待っている。私の勝手で危ない目に遭ったのだけど、護衛騎士達は頑張ってくれたのだけど結局一週間の謹慎を食らった。
とはいえ、この処分は激甘らしい。守るべき私を危ない目に遭わせたのだから、本来ならば職を失うどころか物理的に首が飛ぶレベルの話だそう。甘く見てた…巻き込んでごめんなさい…。
ただお父様も、今回は私が勝手に飛び出したからだとこの処分に留めてくれた。次はないらしいけど。
「あの、本当にごめんなさい」
騎士達に謝ると、微笑んでくれた。プロ根性なのか、本当に許してくれたのか…これからはもっと彼らを大切にしようと、改めて心に誓った。
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