複数異能持ちとか言われてるらしいけど俺の異能は『不幸』だけ~世界一不幸な男は沢山の異(常な)能(力)を持っているようです~

落胆

文字の大きさ
23 / 26
第一章 特別推薦入試編

第二十三話

しおりを挟む
 「”目的地周辺です。案内を終了します。ここまでの所要時間は一時間五十六分です。お疲れさまでした”」

 「お、おう、有難う……?」

 「”マニュアル通りに話しているだけなので気にしないでください”」

 「それはそれで何か嫌だなっ!」

 途中、突然崖が崩れたり、人工知能の指示通りに飛び降りた先に魔獣が寝ていて追いかけっこに発展するなど、肝の冷えるイベントもあったが何とか大きな怪我をせずにここまで来る事が出来た。
 それにしてもこの人工知能、上げて落とすとは、なかなか人の心の動きを良くわかっている。
 流石は麗華のつくった人工知能だ。
 
 「流石……なんだけどさぁ」

 出来るならその素晴らしい機能をもっと有効的に、いや、友好的に使ってもらいたいものである。
 まぁ、それはそれとして。

 「人工知能さんや、俺はこれからどうすればいい?」

 「目の前のもの見たうえで本気で言っているんですか?」

 「……」

 はい、図星です。
 ごめんなさい。
 実は俺、今から俺が何をすればいいのかなんとなく分かっているのだ。
 
 「この扉の中入れって事だよなぁ」

 というのも、俺の目の前には、淡く輝く白い奇妙な扉があった。
 奇妙、と言うのも、この扉はなのだ。
 扉という物に本来付属しているべき建物が無い。
 暗い森の中、ぽつりと存在する向こう側のない扉。
 これを奇妙と呼ばずして何というのだろう。

 「”わかっているならさっさと扉を開けばいいじゃないですか”」

 「いや、そんな簡単に出来る事じゃないだろ……?ほら、心の準備とかさ……?」

 俺がこんなにビビるのには理由がある。
 さっきからこの扉を開こうと思うたびに『虫の知らせ危機察知』がうるさいほどに反応するのだ。

 「”ビビるくらいだったらSランククエストなんて最初から受けなければよかったじゃないですか”」

 「仕方ないだろ!?気になっちゃったんだから!」

 「”……あなた、本当は人間じゃなくて犬かなにかなんじゃないですか?”」

 「ちげぇよ!酷くね!?」

 なんだよその質問!
 感情と行動が直結してるのがそんなに駄目ですか!?えぇ!?
 
 「ふぅ……」

 俺は気持ちのリセットの為一度深呼吸をした。
 感情のコントロールは得意なのだ。
 
 「まぁでも、いつまでもここでびくびく震えてても埒が明かないか」

 「”そうです、速くしないと■■■■■■■■■■■■■■■■■?”」

 「今なんて?」

 人工知能の発する音声が話の途中で突然砂嵐に変わった。

 「どうしたんだ?おい、まさか壊れたか?」

 「”いえ、壊れてはいません。私は脆弱なあなたの脳みそとは違い、とても頑丈ですから”」

 「……今の暴言はスルーしてやるから一つ目の質問だけに答えてくれ、簡潔に」

 俺が人工知能に対して問うと、人工知能は一瞬の逡巡の後に答えた。

 「どうやら今の私の言葉は禁止ワードだったようです」

 「禁止ワード?」

 「はい、試験の内容に抵触する発言等、試験の進行、並びに学園長の嗜好に反する発言は禁止ワードとして今のように制限されてしまうようです」
 
 試験の進行と学園長の嗜好を並列に考えるという点は理解できないが、まぁ意味はわかった。

 「ちなみに、今の発言は何に抵触したんだ?」

 「”おそらくそれも教えられないと思いますけど”」

 「えー」

 まぁでも、さっきの人工知能の発言で、速く進まないと俺が何かしら不利になるという事は解った。
 
 「迷ってる時間は無い、か」

 「”そういう事です”」

 さて。

 「すぅ……」

 再度大きく息を吸って目を瞑り。

 「ふぅ……」

 吸い込んだ空気を吐き出すと同時に目を開き、扉のドアノブに手を掛ける。

 「開けるぞ……」

 「”はよ”」

 もはや敬語ですらない返答をスルーして、俺は未知の扉を開いた。
 
 ――瞬間。

 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「は、え、ちょまっ、ブベラベッ!」

 女の悲鳴、頬に肘鉄、顎に衝撃。
 乱れた銀色の長髪を目の端に捉えつつ、俺は意識を失った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...