日常を返品してもらえませんか?

夏目きょん

文字の大きさ
24 / 124
一章:22時10分更新

第11話:クエスト受注の時・・

しおりを挟む
そうして、陽向と男は部屋に帰ってきた。
陽向は疲れ切っている様子。

「よぉ!陽向!お、その感じは逞しくなって帰ってきたな?」「お、おかえり!?」

トランプを片手に
期待のこもった声をあげる。

「あぁ。まぁな、しっかし、あれだな。この世界にもトランプがあるのかぁ~」

「いや、ないぞ?この世界にはトランプはない。これは俺が持ってきたんだ。」

「ん、え?持ってきた?一回現実に帰れたりするの?」

思いもしなかった返答に陽向も戸惑う。

しかし

現実に帰れるかも。そう思い、1人期待していたが・・・

「いや、帰れないぞ?この世界から帰るためには目的のクエストをクリアしなきゃ無理だ。」

無残に陽向の夢は砕かれた。

しかし

頭の中には、なぜトランプがあるのかと言う疑問が残る。

「ん、え?じゃあ、どう言う事?」

「いや、普通にこの世界に転移させられる時にトランプ持ってたんだよ。」

それは、誰もが考えもしなかった答えだった。
灯台下暗し、まさにこの事を言うのかもしれない。そう陽向は思っていた。

「ところでエッセルさん。こいつのでき、具合いどうでした?」

「こいつはおぼ」

「まてまてまてまて、お前エッセルってこのおっさんの事を言うのか?」

陽向は陽向は思わず口を挟み、おじさんを指さし、目を丸めて言った。

「お前、エッセルさんにその言い方は失礼だぞ。」

「敬語な」

「ごめんな、おじ…エッセルさんよ」

いつものように、癖で言ってしまいそうになる。

しかし

今回は言い直す。

「うん、それでいい!おじさん嬉しいよ。」

「自分で言っちゃダメだろ・・・」

「あぁ、話の続きだがこいつは覚えがいい!すぐ終わったからこいつのMPエルグじゃ出来ない技まで教えちゃった」

「流石ですね、エッセルさん」

「お前先からエッセル…さんのこと凄く褒めてるけど、何かあったの?」

これはこの男、エッセルが現れてからの疑問だった。
なぜか、敬太はエッセルに恩義があるような口ぶりだ。

「エッセルさんには……」

敬太がその重々しい口を開こうとした時だ。

「ピピピピピピピ♪残り10分で受付終了、致します。」

受け付けのお姉さんの声だけが鳴り響く。
その音は敬太の過去を語らせようと、しないようだった。

「すまない、この話はまた今度にしよう。今はそれより受付だ。」

そう言い敬太は、小走りで受け付けへ行く。

「あぁ、そうだな。」

納得はしないが、タイミングが悪かった。そう自分に言い聞かせる。
そのための返事だった。

「そんじゃ頑張ってこい!俺は別でやらせてもらうからな!」

エッセルはそう言うと手を天にかかげた。

「ありがとよ!エッセルさん」「ありがとうございました。」

エッセルはお礼を言われると、魔法マジックを使い
瞬間移動で消えていった。
手を天にかかげたのは魔法マジックを使う為の前振りだろう。と認識している。

「いらっしゃいませ。何人での登録に致しましょうか?」

心なしか、お姉さんになにか変化が起きてるようにも感じていたが、陽向は黙っていた。

「俺、陽向、ミクこの3人で頼む。」

「了解致しました。クエストは何に致しましょうか?」

「クエスト難易度★2だ」

「了解致しました。それではいってらっしゃいませ。3.2.1。」

お姉さんがそう言うと、クエストのフェールドに転送された。
そこはこの前とは変わらない場所だった。

             《クエスト内容》

「制限時間はなし。盗賊トッタラ一家を退治せよ。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...