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本編【22時投稿】
lll 『決断の時』
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「私の…私の母が死んでしまう」
王子の涙からなるその震えた声が部屋中に響き渡る。
瞬間、今まで薄汚れたゴミを見る様な目をしていたアイクも、子供を遇らう様に接していたソルトも、リューの事しか頭になかったシャルやシズクも、もちろんリューも。皆が心に変動を起こす。
「訳をお聞かせて下さい」
今まで冷たく鋭く感じたその声は穏やかで優しく、何処か暖かく感じた。
それは、ソルトの心の変化が態度に出た瞬間だった。
「私の…母は魔王なんです」
一瞬、躊躇いを見せる。
恐らく、母が魔族というのは今までずっと王族内いや、家族だけの秘密だったのだろう。
が、泣いたせいで精神状況が不安定という事も有り何故か、王子の中でのレジェンド達に寄せる信頼度は著しく高くなっていた。
5人も思いもしなかった事を今、告げられ戸惑いを隠しきれない様子。
それもそうだろう、人族と魔族は古代より、戦争をしている。
その頭。つまりは1番上の命令する者同士が恋愛し、子供を作ったという事。もし、この情報が、どちらかの国にでも、流れでもしたら計り知れない影響を及ぼす事になる。最悪の場合、逆上した兵士達が国家転覆を企て、内乱を起こす可能性すらあり得る。
「なるほど…だとしたら戦争がこの20年間なかった事も頷ける」
この20年間戦争はピタリと治っていた。
理由は『お互い、物資供給の為』というもの。
しかし、それは表向き。真の理由は国王と魔王が愛し合っていた。と言うのが理由だったのだ。
「そしたら、尚更だ!おめぇはなんで自分の母さんの故郷を占拠しろと命令した!!」
部屋中に怒鳴り声が鳴り響く。
その声の主はアイク。感情移入しやすいだけに『自分だったら』『俺だったら』と考えてしまう。その結果自分の母の故郷を占拠するという答えにはたどり着かなかった為にアイクは今、怒っている。
リューが必死に止めに入るが今の彼では怒りが募っているアイクを止めることは不可能。
故に、無駄だった。
「それは…いかにあなた達に気づかれることなく魔界に行けるかと考えた結果でした。本当に申し訳ない。」
「俺らを信用しろよ?レジェンドだぜ?これでも」
王子は申し訳なさそうに5秒ほど俯く。その間はただひたすらに沈黙だった。
ーー少し経つと王子が重々しい口を開く。
同時、先程まで怒っていたアイクが王子の真横に立ち肩を組む。
そして、目の前に立つ4人のレジェンド達を指差し微笑んだ。
顔を上げると目の前には逞しくも賢く、自由気ままな4人の姿を目視できた。
それを見た王子は、口を噛み締め、今度は俯くのではなく上を向きただただ泣くことしかできなかった。
ーーー泣く事によって今まで1人で溜め込んでいた"もの"を吐き出した王子は泣き止む事を待たず、レジェンド達に向かい叫ぶ。
「母を…!母を助けて下さい…!!!」
「「おう!!」」
【レンドネス王国・とある場所】
暗闇の中、不気味な微笑みを浮かべせ葉巻を吸う男がいた。
「いいのですか?エターナルの王子を放っておいて。先に魔界を取られるかもしれませんよ」
「そんな事、あのバカ王子に限ってできるはずがなかろう」
付き人らしいき人の心配を裏腹に、高笑いをし、葉巻を吸う。その口から出た煙は空へと立ち上る。
「そうですか…ならいんですが…。」
王子の涙からなるその震えた声が部屋中に響き渡る。
瞬間、今まで薄汚れたゴミを見る様な目をしていたアイクも、子供を遇らう様に接していたソルトも、リューの事しか頭になかったシャルやシズクも、もちろんリューも。皆が心に変動を起こす。
「訳をお聞かせて下さい」
今まで冷たく鋭く感じたその声は穏やかで優しく、何処か暖かく感じた。
それは、ソルトの心の変化が態度に出た瞬間だった。
「私の…母は魔王なんです」
一瞬、躊躇いを見せる。
恐らく、母が魔族というのは今までずっと王族内いや、家族だけの秘密だったのだろう。
が、泣いたせいで精神状況が不安定という事も有り何故か、王子の中でのレジェンド達に寄せる信頼度は著しく高くなっていた。
5人も思いもしなかった事を今、告げられ戸惑いを隠しきれない様子。
それもそうだろう、人族と魔族は古代より、戦争をしている。
その頭。つまりは1番上の命令する者同士が恋愛し、子供を作ったという事。もし、この情報が、どちらかの国にでも、流れでもしたら計り知れない影響を及ぼす事になる。最悪の場合、逆上した兵士達が国家転覆を企て、内乱を起こす可能性すらあり得る。
「なるほど…だとしたら戦争がこの20年間なかった事も頷ける」
この20年間戦争はピタリと治っていた。
理由は『お互い、物資供給の為』というもの。
しかし、それは表向き。真の理由は国王と魔王が愛し合っていた。と言うのが理由だったのだ。
「そしたら、尚更だ!おめぇはなんで自分の母さんの故郷を占拠しろと命令した!!」
部屋中に怒鳴り声が鳴り響く。
その声の主はアイク。感情移入しやすいだけに『自分だったら』『俺だったら』と考えてしまう。その結果自分の母の故郷を占拠するという答えにはたどり着かなかった為にアイクは今、怒っている。
リューが必死に止めに入るが今の彼では怒りが募っているアイクを止めることは不可能。
故に、無駄だった。
「それは…いかにあなた達に気づかれることなく魔界に行けるかと考えた結果でした。本当に申し訳ない。」
「俺らを信用しろよ?レジェンドだぜ?これでも」
王子は申し訳なさそうに5秒ほど俯く。その間はただひたすらに沈黙だった。
ーー少し経つと王子が重々しい口を開く。
同時、先程まで怒っていたアイクが王子の真横に立ち肩を組む。
そして、目の前に立つ4人のレジェンド達を指差し微笑んだ。
顔を上げると目の前には逞しくも賢く、自由気ままな4人の姿を目視できた。
それを見た王子は、口を噛み締め、今度は俯くのではなく上を向きただただ泣くことしかできなかった。
ーーー泣く事によって今まで1人で溜め込んでいた"もの"を吐き出した王子は泣き止む事を待たず、レジェンド達に向かい叫ぶ。
「母を…!母を助けて下さい…!!!」
「「おう!!」」
【レンドネス王国・とある場所】
暗闇の中、不気味な微笑みを浮かべせ葉巻を吸う男がいた。
「いいのですか?エターナルの王子を放っておいて。先に魔界を取られるかもしれませんよ」
「そんな事、あのバカ王子に限ってできるはずがなかろう」
付き人らしいき人の心配を裏腹に、高笑いをし、葉巻を吸う。その口から出た煙は空へと立ち上る。
「そうですか…ならいんですが…。」
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