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第1部
頑張れ、恋する乙女
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エミリア視点
あたし達はファミレスで昼食を取っていた。
あたしはカレードリア、香はチキン南蛮を頼んでいる。
「やっぱりあたしもゲームとかするべきだったのかな……」
あたしも誠がやっているゲームを一回してみようと思ったがモンハ◯ンやFPS等は何が面白いのか、さっぱり解らなかった。似たような事を繰り返すだけとしか思えなかったからだ。
しかし、誠がそれにはまるのを否定しない。趣味と言うのは人それぞれだし、別に生活を壊す程はまり込まない限りはあたしがとやかくいうつもりはないからだ。
誠の場合、それで登校拒否している訳でもないし、学業を蔑ろにしてるわけでもない。
中学の時の学年順位も上位には入っていたし……
「エミリアには無理じゃないかな。ああいうの時間の無駄だと思うタイプだしね……」
「まあ、趣味活動は他人から見れば大抵時間の無駄と思えるものだからね。」
あたしはしなかったけど、武田さんはやった訳だ。まあ、誠との接近のためやったのか、元々自分の趣味かは解らないけど、共通の趣味を持つ事に成功している。
そのため、共通の趣味を持つ彼女はあたしより楽しく過ごせる雰囲気を作る事が可能となった。
あたしには出来ない事が出来る彼女には強い嫉妬を覚えるし、もしこのまま武田さんと誠がくっつくかも知れないと思うと不安に……いや、これはもう恐怖だ。とても強い恐怖を感じる。
「あたしどうすれば良いのかな?」
あたしがぼつりと呟いた言葉に香は苦笑を浮かべて尋ねてくる。
「どうすればって……八神君の事を諦めきれるの?」
「諦めるって……」
誠の顔を思い浮かべる。
諦める……そんなの無理だ。ならあたしが取る道は一つしかない。
「そうだよね。向こうが趣味で来るならあたしは別の何かで対抗すれば良いだけだよね……」
まあ、その別の何かが思いつかなくて問題なのだけどそれはおいおい考えていこう。
「頑張れ、恋する乙女。」
親友は微笑を浮かべて応援してくれた。
☆☆☆☆
武田・薫視点
夜、私は八神君とFPSのB◯と言うゲームをオンでやっていた。
「でも、まさか武田さんがあの時の娘と言うのにもびっくりだったけど、空のしゃもじさんが武田さんだったのはもっとびっくりだよ」
八神君がボイチャで言ってくるので
「私もまさかマコトが八神君だと思ってなかったわ。凄い偶然ですね」
と答える。
現在、今やっているゲームの分隊は私と八神君二人だけなので問題ない。
(まあ、最初からわかっていたけどね)
心の中で呟いて口には出さない。
偶然ではなく最初から全てわかっていて接近していった。
少しでも八神君と関係を持つために。
最初はゲームなんてやった事もなく戸惑い等もあったが、まあ続けて行ったらそこまで苦でもなく、現在に至るとこれはこれで楽しい。
想い人と一緒にやっているからかも知れないと……
「武田さん、話少し変わるけど良いかな?」
急に八神君の声が真剣な物となり、私の体は若干緊張する。
「何でしょう?」
振られるとかじゃないよね。
「ごめん。今の所武田さんは友人としては好きだけど、恋人になりたいかと言われるとそうでもないんだ。」
八神君の言葉を聞いて若干安心する。今のところ振られてはいるけど、これはまだ予定の範囲内。むしろ、当初の計画より上手く行っていると言っても良い。
「謝る事はないですよ。友人からと言う話ですし……それにいずれあなたを必ず振り返らせて見せますから」
「そうですか……」
この八神君の返事で会話が止まる。
LMGで敵陣に制圧射撃をしながら、このまま名前で呼び合う事を提案してみようかなと一瞬頭に思い浮かぶ。
香月さんと八神君は名前で呼び合っているし、山口君もそれは同様。なら私だってと言う感情が私を襲ったのだ。
しかし、理性で感情を押さえつける。
名前で呼び合う事自体は可能だろう。しかし、それをしてしまえば間違いなく香月さんを刺激してしまい、良くて今までとは比べ物にならない強い牽制……下手すればなりふり構わず仕掛けて一気に決着をつけようとしてくるであろう。
残念ながら今の私にそれを防ぐ事は出来ない。
(当面は香月さんを強く刺激せず、八神君との関係を強めていく。これしかないわね)
あたし達はファミレスで昼食を取っていた。
あたしはカレードリア、香はチキン南蛮を頼んでいる。
「やっぱりあたしもゲームとかするべきだったのかな……」
あたしも誠がやっているゲームを一回してみようと思ったがモンハ◯ンやFPS等は何が面白いのか、さっぱり解らなかった。似たような事を繰り返すだけとしか思えなかったからだ。
しかし、誠がそれにはまるのを否定しない。趣味と言うのは人それぞれだし、別に生活を壊す程はまり込まない限りはあたしがとやかくいうつもりはないからだ。
誠の場合、それで登校拒否している訳でもないし、学業を蔑ろにしてるわけでもない。
中学の時の学年順位も上位には入っていたし……
「エミリアには無理じゃないかな。ああいうの時間の無駄だと思うタイプだしね……」
「まあ、趣味活動は他人から見れば大抵時間の無駄と思えるものだからね。」
あたしはしなかったけど、武田さんはやった訳だ。まあ、誠との接近のためやったのか、元々自分の趣味かは解らないけど、共通の趣味を持つ事に成功している。
そのため、共通の趣味を持つ彼女はあたしより楽しく過ごせる雰囲気を作る事が可能となった。
あたしには出来ない事が出来る彼女には強い嫉妬を覚えるし、もしこのまま武田さんと誠がくっつくかも知れないと思うと不安に……いや、これはもう恐怖だ。とても強い恐怖を感じる。
「あたしどうすれば良いのかな?」
あたしがぼつりと呟いた言葉に香は苦笑を浮かべて尋ねてくる。
「どうすればって……八神君の事を諦めきれるの?」
「諦めるって……」
誠の顔を思い浮かべる。
諦める……そんなの無理だ。ならあたしが取る道は一つしかない。
「そうだよね。向こうが趣味で来るならあたしは別の何かで対抗すれば良いだけだよね……」
まあ、その別の何かが思いつかなくて問題なのだけどそれはおいおい考えていこう。
「頑張れ、恋する乙女。」
親友は微笑を浮かべて応援してくれた。
☆☆☆☆
武田・薫視点
夜、私は八神君とFPSのB◯と言うゲームをオンでやっていた。
「でも、まさか武田さんがあの時の娘と言うのにもびっくりだったけど、空のしゃもじさんが武田さんだったのはもっとびっくりだよ」
八神君がボイチャで言ってくるので
「私もまさかマコトが八神君だと思ってなかったわ。凄い偶然ですね」
と答える。
現在、今やっているゲームの分隊は私と八神君二人だけなので問題ない。
(まあ、最初からわかっていたけどね)
心の中で呟いて口には出さない。
偶然ではなく最初から全てわかっていて接近していった。
少しでも八神君と関係を持つために。
最初はゲームなんてやった事もなく戸惑い等もあったが、まあ続けて行ったらそこまで苦でもなく、現在に至るとこれはこれで楽しい。
想い人と一緒にやっているからかも知れないと……
「武田さん、話少し変わるけど良いかな?」
急に八神君の声が真剣な物となり、私の体は若干緊張する。
「何でしょう?」
振られるとかじゃないよね。
「ごめん。今の所武田さんは友人としては好きだけど、恋人になりたいかと言われるとそうでもないんだ。」
八神君の言葉を聞いて若干安心する。今のところ振られてはいるけど、これはまだ予定の範囲内。むしろ、当初の計画より上手く行っていると言っても良い。
「謝る事はないですよ。友人からと言う話ですし……それにいずれあなたを必ず振り返らせて見せますから」
「そうですか……」
この八神君の返事で会話が止まる。
LMGで敵陣に制圧射撃をしながら、このまま名前で呼び合う事を提案してみようかなと一瞬頭に思い浮かぶ。
香月さんと八神君は名前で呼び合っているし、山口君もそれは同様。なら私だってと言う感情が私を襲ったのだ。
しかし、理性で感情を押さえつける。
名前で呼び合う事自体は可能だろう。しかし、それをしてしまえば間違いなく香月さんを刺激してしまい、良くて今までとは比べ物にならない強い牽制……下手すればなりふり構わず仕掛けて一気に決着をつけようとしてくるであろう。
残念ながら今の私にそれを防ぐ事は出来ない。
(当面は香月さんを強く刺激せず、八神君との関係を強めていく。これしかないわね)
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