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第2部

天啓

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 4月25日午後9時



 武田・薫視点



 このままでは香月さんに勝てない。危機感を持った私は山口君に電話で相談した。


「やっぱり放課後にほぼ毎日八神君を取られるのは痛いですわね」
 そう、これは幼馴染の強い所でもある。ああも放課後に一緒にいられるとどうしようもない。休日の時とかは一緒にオンラインゲームを一緒にやってはいるが、現実で一緒にいるのとはやはり訳が違う。

「だよね。一回限定なら手がない訳ではないんだけど……それをすると百パーセントエミリアに感づかれる」
 山口君の答えに私は首を傾げる。
「一回ならやりようがあるのですか?」

「ある。エミリアも誠が男友達と遊びにいくと言うのは何もして来なかった。その友達がドタキャンしてその時に武田さんと会うとすれば恐らく行ける。でも……」

「そうあからさまだと香月さんもこの関係に気づく可能性は高いですね。八神君も特にその事を香月さんに隠そうとは思わないでしょうし……」

「そういう事。そして、間違いなくその友人から事情を聞きだし対策を取ってくる。それは俺にとっては宜しくない」
 山口君の目的を考えれば私と密かにつながっていると香月さんにばれるのは困るだろう。それは理解できるため、彼の保身的な言葉を聞いても特に何も思わなかった。

「成る程。それだと打つ手がありませんわね」

「だね。しかも誠の家族とも深い関係だから、そちらもどうにかしないと……」

「それなら手を打ってあります。」
 山口君の言っている事は正しいが、それはすでに対策済みである。巨大財閥の令嬢と言う立場に感謝しか浮かばない。

「手?」

「ええ。後は八神君の周りに張りついている香月さんをどう排除していくか。これが最大の問題なのですが。」
 私は何かヒントがないかと学校行事の予定表に目を通していると天啓が頭に下りてきた。

「あった。文化祭……」

「はっ……文化祭?……そうか、実行委員になれば」

 私の言葉で山口君も気づいたらしい。
 香月さんは他所のクラスである以上、これはどうしようもないだろう。
「問題はどう持っていくかだね?」
 山口君は問題点を指摘をするが、担任の性格を考えれば問題なくいける。

「藤森先生の性格を考えれば容易く行けるかも知れません。例え失敗したとしてもこのまま何をしないよりはマシなはずですし……」
 そう、このままずるずる何も打つ手がないと言う状況を続けるより無駄に実行員になるかも知れないと言うリスクを覚悟で勝負に出た方がはるかにマシである。

「私は明後日勝負に出ます。山口君にお願いがあるのですが、私が立候補した後男子に参加しないよう根回しお願い出来ませんか?」

「自主的にやりたがる奴はいないと思うけど、それとなく出来る範囲で根回ししとくよ。ただ、大きくやるとエミリアにばれるかも知れないから、エミリアの影響下にない男子限定になるけどね」

「ありがとうございます、それで十分ですよ。でも、それで八神君が私の事嫌いになったりしないか心配です」

 そう、これが一番大きなデメリットだ。小細工して本命が嫌われたりしたら意味がない。

「愚痴は言うだろうけど最後まで付き合ってくれると思うし、そのぐらいで武田さんを嫌うと言う事はないと思うよ」



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