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第1部 第2章
リューベック王国御前会議(下)ナーロッパ歴1056年11月14日
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「提案でありますか?」
と軍務卿が尋ねる。
「うむ。もし、オレンボー辺境伯単独の行動の場合、オレンボー辺境伯を買収してこちらの軍勢に組み込めば良いのではないか?」
アルベルトの提案を受け軍務卿は
「成程。これであれば我が軍は2正面作戦を回避できるし、戦力の増強も見込める。試してみる価値はありますな。」
と賛同し外務卿も
「それに加えてオレンボー辺境伯と関係を強めておく事にも価値があります。外務卿としても同意いたします。」
も支持を表明する。
「反対する者がいなければ、この件は我と3務卿で協議して進めていく事とするが、異存ないか?」
とアルベルトが尋ねると、会議参加者も「異存なし」と同意する。
「では軍務卿、現状我が軍の戦力を説明せよ。」
と軍務卿に命じて、軍務卿は立ち上がり一礼した後説明を開始する。
「我が陸軍は2週間後には黒狼隊を含む国軍、諸侯軍も含め9千弱の兵力が整う予定です。傭兵の募兵もしておりますが、時間があまりないので傭兵はそこまでそろわないかと。海軍に関しては第1艦隊は物資の搬入が済めばすぐに出撃可能、第2艦隊の半数は哨戒任務についており、戦力として用いるには数日の時間がかかると思われます。ただ、第2艦隊は海上治安維持に当てたいと言った所です。」
軍務卿が席に座ると内務卿が
「沿岸警備や哨戒は交易路を守るのに重要であり、第2艦隊はそれらの任に当てるべきです。」
と同意するが、外務卿が
「交易路の維持が必要な事は解りますが、第1艦隊のみで海上優勢は確保できるのかが問題です。イートン提督、その辺りはどうですか?」
と尋ねる。
それに軍務卿であるレーベン伯は眉をひそめた。普通、そういう事を尋ねる際、軍務省のトップである軍務卿に尋ねるのが常識である。それを外務卿があえて破ったのは対立する軍務卿の権威を少しでも削ぐ事が目的と軍務卿は考えたのだ。しかし、それを口にする事なくイートン提督は
「旧フラリン王国属国相手であれば6カ国連合であっても第1艦隊のみで十分であります。」
と答える。
リューベック王国第1艦隊は仮想敵国(主にデーン王国)の正規艦隊と対抗、もしくは大海賊を討伐するために編成された艦隊である。旧フラリン王国属国相手であれば艦隊決戦を行っても勝利できる自信はイートン提督は無論の事、第1艦隊将兵にもあった。
「イートン提督の言葉、とても頼もしい。しかし、これ以上は敵情も解らぬゆえ、一旦この会議は終えるが国軍や諸侯には軍の動員を抜かりなく進めて欲しい。内務省は兵糧や軍需物資等の用意、軍部は作戦の策定を急いでくれ。次回の御前会議の日程は追って通達する。軍務卿、外務卿、内務卿は2時間後オレンボー辺境伯の対応で話し合いたいのだが問題ないか?都合が悪ければ言って欲しい。」
とアルベルトが口にすると会議参加者は「御意」と頭を下げ、三務卿も「問題ありません」と答えるとアルベルトは「解散」と伝え、本日の御前会議は終了した。
と軍務卿が尋ねる。
「うむ。もし、オレンボー辺境伯単独の行動の場合、オレンボー辺境伯を買収してこちらの軍勢に組み込めば良いのではないか?」
アルベルトの提案を受け軍務卿は
「成程。これであれば我が軍は2正面作戦を回避できるし、戦力の増強も見込める。試してみる価値はありますな。」
と賛同し外務卿も
「それに加えてオレンボー辺境伯と関係を強めておく事にも価値があります。外務卿としても同意いたします。」
も支持を表明する。
「反対する者がいなければ、この件は我と3務卿で協議して進めていく事とするが、異存ないか?」
とアルベルトが尋ねると、会議参加者も「異存なし」と同意する。
「では軍務卿、現状我が軍の戦力を説明せよ。」
と軍務卿に命じて、軍務卿は立ち上がり一礼した後説明を開始する。
「我が陸軍は2週間後には黒狼隊を含む国軍、諸侯軍も含め9千弱の兵力が整う予定です。傭兵の募兵もしておりますが、時間があまりないので傭兵はそこまでそろわないかと。海軍に関しては第1艦隊は物資の搬入が済めばすぐに出撃可能、第2艦隊の半数は哨戒任務についており、戦力として用いるには数日の時間がかかると思われます。ただ、第2艦隊は海上治安維持に当てたいと言った所です。」
軍務卿が席に座ると内務卿が
「沿岸警備や哨戒は交易路を守るのに重要であり、第2艦隊はそれらの任に当てるべきです。」
と同意するが、外務卿が
「交易路の維持が必要な事は解りますが、第1艦隊のみで海上優勢は確保できるのかが問題です。イートン提督、その辺りはどうですか?」
と尋ねる。
それに軍務卿であるレーベン伯は眉をひそめた。普通、そういう事を尋ねる際、軍務省のトップである軍務卿に尋ねるのが常識である。それを外務卿があえて破ったのは対立する軍務卿の権威を少しでも削ぐ事が目的と軍務卿は考えたのだ。しかし、それを口にする事なくイートン提督は
「旧フラリン王国属国相手であれば6カ国連合であっても第1艦隊のみで十分であります。」
と答える。
リューベック王国第1艦隊は仮想敵国(主にデーン王国)の正規艦隊と対抗、もしくは大海賊を討伐するために編成された艦隊である。旧フラリン王国属国相手であれば艦隊決戦を行っても勝利できる自信はイートン提督は無論の事、第1艦隊将兵にもあった。
「イートン提督の言葉、とても頼もしい。しかし、これ以上は敵情も解らぬゆえ、一旦この会議は終えるが国軍や諸侯には軍の動員を抜かりなく進めて欲しい。内務省は兵糧や軍需物資等の用意、軍部は作戦の策定を急いでくれ。次回の御前会議の日程は追って通達する。軍務卿、外務卿、内務卿は2時間後オレンボー辺境伯の対応で話し合いたいのだが問題ないか?都合が悪ければ言って欲しい。」
とアルベルトが口にすると会議参加者は「御意」と頭を下げ、三務卿も「問題ありません」と答えるとアルベルトは「解散」と伝え、本日の御前会議は終了した。
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