ーーリアム物語ーー天使と悪魔の天秤

しおじろう

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第3章

逡巡

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 ーー逡巡ーー


 身体を得たリアムはネロを抱き抱え、襲い来る町人を
殴り倒しながら、ネロを町人から見え難い場所へ避難させる。

目の苦痛に顔を歪めるネロの頭を撫でながら

「ここに居てくれ……この場所は最早、安全な場所は……無い
安全になるまで隠れていろ……」

優しくリアムはネロに語りかける。
ネロもまた、リアムの白く光る仮面の様な顔を
その小さな手で撫でる、精一杯の優しさを込めて……

 ネロ「お兄さんの仮面、ヒーローみたいだね……」

 リアム「俺はヒーロー何かじゃねぇ……俺がもっと早く
行動していれば……悩んだ時間がこの結果だ……すまねぇ」

ネロ「泣き虫だなぁ、お兄さんは、子供の僕より泣いてるよ
それに助けてくれたよ?僕はもっと強くなる、生きる意志も
場所も時間も……お兄さんがくれたのに
そんな悲しい事言わないで」

 リアムの涙を血だらけの手で、懸命に拭うネロの気丈な姿を
見て立ち上がるリアムの顔は迷いの無い、強き目を放っていた。

 町人から斧を奪い、リアムは町人を次々と殺めてゆく
その白き仮面は血で染まり、未だ彼を縛りつける片足の
足枷の鉄が鈍く光る。

「俺は、お前達を許さねぇ……ネロを傷つけた者
見て見ぬふりをした者……真相を探ろうともしないで
影でネロを傷つける者も……己の欲望の為に他人を傷つけた
お前たち全員をだっ‼︎」

 その凄惨な光景は阿鼻叫喚というより、地獄そのものの光景と
なって行く……

 ある者は命乞いをし、ある者は仲間を殺し、ある者は他人を
盾に逃げ惑う、叫び立ち尽くす者、独り言を言いながら
放心の者、リアムとハグロに錯乱状態で襲いかかる者……

それを機に、ネロ殺害に雇われた殺し屋が逃げようとするも
リアムは逃さずネロと同様、目をえぐり取った。

 叫び、命乞いをする殺し屋を冷静な目で、リアムはその身体を
掴み、崖へと引きずると、殺し屋を崖から放り投げた。
ワザと崖の壁へとぶち当たる様に……
ピンポン玉の様に、その身体は崖の壁に複数回激突しながら
暗い闇の谷底へ落ちていった……




 「落ちるに相応しいのはオメェだ……お前がやった事の
数倍の恐怖を味わいながら落ちるがいい……」

無残な肉片となり落下して行く殺し屋。

 上から冷徹に見下ろす白い仮面は、周りに恐怖を
植え付けるには充分なものであった。


 時を見計らった様に、数が残り少なくなってきた頃
ネロに向かい黒い影が疾走する。

その動きにいち早く反応するリアム

 持っていた斧を黒い影の前方に投げ、動きを一瞬止めるのと
同時に、振りかぶった拳を黒い影に渾身の一撃を打ち込んだ

 影は重い音と共に、木の葉を大量に落としながら
激しく大木に、ぶち当たる。
《ズドドドドォォォォ……ン》

大木は蜃気楼の様に揺れ、空間が歪んで見えるかのようだった
倒したか?と思わせる痛烈な強打は人ならば間違い無く
終わりを思わせる一撃に何が起こったのか解らない町人が
ざわめき、その黒い影を一斉に見つめた。

ーー

黒い影がピクリと動き出す。

ゆらりと立ち上がり、その姿をようやく現した……

緊張が張り詰める……

最初に、その魔物を一番近くで見た男が呟く

「あ……あく……ま……」

 その姿は醜く、皮膚はただれ、ゾンビを彷彿させる姿に左目は
眼球は無く、ただ奥深く黒く闇であった
右の目は腐った魚の様に白く、歯茎が露呈し
口を大きく開いていた。

 さらに町人達が、その異形の姿を見て叫び声を上げる
町人にとって、恐怖の対象が3対に増えたのだ。

 カエルの顔を持ち、サーベルで、踠くもがく人々を
刺し続けるハグロ。

白い仮面で、顔の半分を覆った斧を振りかざすリアム

更にゾンビに似た獣の様に素早く、一際、醜さと異様な
雰囲気を放つ魔物に人々は震え、踠き、思考は止まり
本能の恐怖に踊る。

 甲高い奇声をあげながら、間髪入れずリアムを無視して
執拗に鋭い爪でネロを狙う魔物に、リアムも対抗する。

 激しい戦闘が続く、殴っても吹き飛ばされても
まるでリアムを無視するかの様に、ネロに襲いかかる魔物

 一歩も引かないリアムの足は、その場から全く動かない。
血飛沫だけが彼等の顔を徐々に真紅に染めあげる。


その気迫に、魔物が怯んだ一瞬の隙をつく。

彼の長い手は蛇の様に魔物の首に絡みつく。

 リアムは魔物の首を羽交い締めにするも、魔物は地面に
爪を立て、ネロに近付こうとする。

魔物は一層、甲高い叫び声をネロに向け放つ

鈍い音を立て、リアムは魔物の首をへし折った。

くにゃくにゃになった首は、産まれたてなのか、魔物の
皮膚のただれと、涎やヌルヌルとした体液で滑りやすく
なったリアムの腕からすり抜ける。

 首を折られ、ぶら下がるだけの頭部を振り回しながらも
動きの勢いは衰えることなく、ネロに向かう、ただひたすらに
殺意に忠実に襲いかかる魔物……

 リアムもまた、感情の赴くまま、衰えるどころか、激しく
ひたすらに、守る為に魔物と戦うのであった。

 その光景は壮絶なものだった。純粋にだた、ひたすらに
殺そうとするものと、同等の心の力で激しくぶつかり合う。

 息も切らす暇もなく殴り合い、互いの血液が雨の様に
飛び散る光景に、しばしハグロも町人もその動きを止めた……

 ハグロ「心の力とは恐ろしい、2体は今、肉体の限界を超えた
所にある……彼等は息をしていない、呼吸が人の活動に必要と
される常識を超えた戦いが今ここにある……」

 呆然とする町人達にハグロは問いかける。

「お前達はこの光景に何を思う、守る者の為に戦う白い仮面の
男の姿に何を思う」

「お前達の今している事はなんだ!己のことしか考えず
その結果がもたらした光景がここにあるというのに
お前達が一番恐怖を感じる、あの魔物を見よ、醜いか!
その忌み嫌う魔物の行動と、お前達の何が違うのかっ!」

「人を陥れ、互いが互いに猜疑心を持ち、先を見ず、己が欲望
のみに執着し、不利益になりそうなモノを多勢で排除
しようとする、その目は本当の意味で良き未来を見ることもなく
魔物と同じ、魚の腐った目をして、醜いか!やつが!人間達よ
隣人を見ろ!その目を、その行動を、私はお前達に言おう
お前達はあの魔物と同じである!」

ーー

 リアムと魔物の戦いは終盤を迎えた。魔物はリアムの肩に
噛み付き、その肉をえぐり取った、しかし彼は痛みに声を出す
事も無く、魔物の吸い込まれそうな闇に包まれる目に、手ごと
突き入れ、その脳をワシ掴みに潰した……

倒れ込む魔物……

魔物の闇の目から、ドス黒い大量の霧が空中に漂う……

呼吸を再開するリアムは激しく咳込み、倒れ込む。

 嘔吐を繰り返すリアムは衰弱仕切っていた。
その隙を突き、町長の奥方がネロに忍び寄る。

 駆け寄るネロの背後から、奥方がネロに刃を向けた。
動けないリアムはそれに気付くも、最早、身体の自由は
きかず、のたうち回り、口に土が入りながらも噛み締めながら
駆け付けようとする。

奥方「お前が全て悪いんだ!悪魔の子供め!」

 奥方のナイフが、後部からネロの頭にナイフを突き立てる瞬間
彼女の動きが止まる……

 口から血を吹き出す奥方、その胸から突き出たサーベルは
深く、ユックリと奥方の体から切っ先を前へと押しやる。

ズリズリと倒れ込む奥方の背後にハグロの姿があった。

 ハグロ「やれやれ……詰めが甘いですね貴方も、女、子供を
避けて、ネロを守っていましたね?その結果がこれです。
性別や成長過程は、罪を測れるものではありませんよ
人のそれは、全て、ただの細胞が集まって出来た
肉の塊に御座います」

「価値があるかどうかは心のあり方次第。肉は心で
価値が変わり、人と呼べる生物と変貌を遂げます、
名称だけで付いた人など、肉の塊に過ぎません
人で存るかは人……次第なのです」

「そして……」

「罪は成長過程だとしても、良い行いをすれば、消えるものでは
ありません、その罪は、良い行いで差し引きされるモノでは無く
常に加算されてゆくモノです」

「善い行いをすれば、善行が積み重なります。
悪い行いをすれば、罪が重くなるだけで別物なのです。
当然、報いは受けていただきます」

「故に、老若男女に価値は有りませぬ、貴方が避けたものは女
子供はよもや、人ではないのですから」

ハグロの足元で婦人が叫ぶ

「私の子だけは助けて……」

 ハグロ「貴方、私の言葉聞いてました?では何故、貴方は
貴方の子供にネロを虐めてる事実を知りながら
何故、放置していました?
我が子が可愛いのは解ります……が、可愛がるだけの愛情は
愛とは申しません。それは、持ち物に対する愛情と同じです」

「子供には未来があります、往々にして子供は純粋です。
子は親を見て育ちます、親が悪ければ、子も悪になりやすい。
まして罪は消えません。この子らが大きく育った時、何人の
子が貴方の真似をして生き、何人の子らの未来が奪われる事
でしょう……」

「間違った事をした時に、謝ったり、改心を素直に
受け入れられるのは子供の内が大半です、貴方達は自分の欲の
為に、その機会をも奪っているのです」

「そして今、起こったこの現実を焼き付け、逝くがよい
この子らの未来を奪ったのは自分自身だと!」

  改心した老婆が1人、ハグロの前に脆くひざまつ

「 後悔はしとった……その親らを育てたのも私達じゃ……
アンタの言う通りだ、老い先短い命ではあるが、どうか……
子供や孫達に改心する機会を与えてはくれぬだろうか……」

 数人の老人や婦人、大人達が次々とハグロに背を向け、脆いた。

ハグロ「潔よし、では罪を償うがよい、誰一人として
決して逃しはしないがな」

 最初に脆いた老婆の首に、サーベルの切っ先を密着させる
ハグロ、その横から突然、飛び出てきた女が、ナイフでハグロの
腹部を刺した……

 それを期に複数の子供や婦人、男達に、一斉に刺されるハグロ

 「げほっ……」

婦人達「ごめんなさい、ごめんなさい」

嗚咽しながら泣く婦人達

ハグロ「げほっ…お前達は、脆いた奴らの身内だな?……」

 身体がまだ、上手く動けないリアムは涙ながらに
ハグロの倒れ込む姿が目に映った……

  ハグロの剣さばきからみて、避けれない攻撃など
一つも無かった。
それは戦闘経験の浅いリアムから見ても、明白だった。
ハグロは自ら刺されたのだ……

何故、いや……わかってる……リアムは心の中で、そう呟いた……

 町人達は倒れ込むハグロに、祈るようにお辞儀をし
そして引き上げていった。

 少し身体が動くようになったリアムは、ハグロを抱き抱えた。
側にはネロも駆けつけていた。

 ハグロの手をしっかりと握りしめ、泣き崩れるネロ
その、えぐり取られた片目からの血も、リアムには涙に見えた。

リアムは優しくハグロに言葉をかける

「お前……わざと刺されたな……」

ハグロ「リアムよ覚えておくと良い……私のやった事も、
また罪。裁かれ無ければならないのだ。」

「これでいい……いいんだ……元より私はこの結果になる事を
望んでいたのだから……」


 「町人達が改心をしなければ、完全なる壊滅するつもりだった
親が子を想い……子が親を想う……行為に対する選択も、
正解では無いだろう……その罪を、町人達はこれから背負って
生きねばならない……対象が私である事が、町人の罪を
少しは軽くするだろう……私の行為もまた、罪なのだから」

リアム「なら、何が罪でなくて、何が正義なんだ……」

 地面を手で搔きむしり、悲しみと苦悶に顔を歪ませ、問う

ハグロ「その答えは、己で見つけるしかないのだよ……
答えは無い……のかも知れないですが……ただ言える事は
本来、生きるものには心の中に教科書を持っている
ものではないでしょうか……」

 「子供は純真で無垢です、それは成長し、経験から安易に
怠惰や欲望に流されるから、忘れているのでしょうね」

 「大人になる、と言うことは、ただ生きる事ではなく
その限られた時間で、生まれた時の魂を磨く為の……
誕生ではないか、と私は考えます」

「私、少しお喋りが多いですね……知識ではなく後は貴方が感じ
その答えを見つけるのです……ないかも知れない答えに……」

「リアム、貴方は何か宿命を宿しておられるようだ……
これだけは、覚えておくが良いでしょう……
守る事は己自身、その報いを受ける覚悟がある者だけが
成せる事を……守るのは己ではありません。己の為に戦う者は
決して誰かを守ろうとする二つの意思には敵いません
簡単な足し算ですけどね……ゴホ……」

「守るのが己の為なのか……守りたい別の何かなのか、それが
強さの秘訣ですよ……」

「もう時間がありません……今の内に貴方に渡しておきます」
ハグロは持っていたサーベルをリアムに差し出した。

「よく聞いて下さい、魔物は本来、異界のモノ、その力は現世の
力では倒す事は容易ではありません、異界のモノは異界のモノで
対抗すると良いでしょう、武器は力を安易に増強し、距離や
速さを飛躍的に倍増できるものです」

「いつか貴方の最適な力の助けとなる武器が現れるまで
その武器を使うが良いでしょう、異界の材質に私の想いや
ネロの想いが入っています、是非使ってやって下さい」

リアム「……ネロ……?」

リアムは言われて初めて気が付いた……隣で泣いていたネロの
泣き声が、いつの間にか、聞こえない事に

 恐る恐る、ネロの方を見たリアムは、既に生き絶えたネロ
の姿だった……

 その小さな手は、ハグロの手を強く握りしめ、もう片方の手は
リアムの腕をしっかりと掴んでいた。

リアム「俺……俺……気付かなかった……なんで……なんで」

「守れなかった……俺、何も……何もできているないし、何も
何も!守れてないじゃないかっ!!」

「俺は何なんだ!!すまねぇ、すまねぇ!!!」

 叫ぶリアムはネロの傷口から未だ出る血と同じ、赤い血を
その眼から大量な涙を流した。

 ハグロ「私も一番守りたかった者を……守れませんでした」
この無垢な魂は、守りたかった……守らねば成らなかったのに」

ハグロの大きな眼からも、大粒の涙が溢れ出ていた。

 しかし、その口からはもう……言葉が発せられる事は
無くなった……

彼の体が徐々に白い霧となり、静かに吹く風に重なり
消えていった……

 風の音だけがするこの空間に、リアムの獣の様な叫び声が
ずっと響いていた……


ーー


 次の日、町人がその場所へ花を持って集まると、既にリアムの
姿は無かった……

 町人は3人の姿を探し回った。

 そして、池のほとりで墓と思われる石が2つ並び
小さな花が添えらていた。町の人達は事の経緯を察し
池を大事にする事を、ネロの墓に誓ったのであった。


そして……


 この時から、リアムは言葉を殆ど話す事がなくなった……
彼は強さと、優しさとは何かに、悩み苦しむ。
人間の彼が、強さを身につけるには、その答えが必要であった。




彼の進む道は、この時から、大きく捻じ曲がってゆく事となる。



































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